eぶらあぼ 2017.4月号
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40©Kaapo Kamuフィンランド タンペレ・フィルハーモニー管弦楽団5/19(金)、5/23(火)各日19:00 東京文化会館5/20(土)15:00 ふくやま芸術文化ホール リーデンローズ5/24(水)19:00 浜松アクトシティ(中)5/25(木)19:00 ザ・シンフォニーホール(※田部京子出演5/19,5/20,5/24、堀米ゆず子出演5/23,5/25)問 プロアルテムジケ03-3943-6677 http://www.proarte.co.jp/ フィンランドを代表する名門オーケストラ、タンペレ・フィルハーモニー管弦楽団が、同国独立100周年を記念するイベントの一環として初来日する。同フィルを率いる首席指揮者はフィンランド出身の俊英、サントゥ=マティアス・ロウヴァリ。来日公演では、シベリウスを中心とした北欧の名曲を披露する。「まさに今、スカンジナビアの音楽を世界中に広めるのが、私の目標。それを叶えるのが、この日本ツアーです」。若きマエストロ、ロウヴァリは熱っぽく語る。 フィンランド第2の都市タンペレで、1930年に創立。名指揮者エーロ・コソネンが率いた30数年の間に実力を磨き、同国のみならず、スカンジナビア諸国を代表するオーケストラに上り詰めた。 2013年から首席指揮者を務めるロウヴァリは、ダイナミックなタクトさばきで、今や世界各国の一線楽団に客演する実力派。2017/18シーズンからは、スウェーデンの名門、イェーテボリ交響楽団の首席指揮者にも就任。 「タンペレ・フィルとイェーテボリ響は、共に北欧を代表する楽団であり、独自のサウンドを持つ点で、共通しています。しかし、大きな違いは、その歴史。タンペレ・フィルは若い分だけ、とても情熱的です。そして、どこよりも“シベリウスを極めてフィンランド的に”演奏できる。聴衆の皆さんには、彼らがどう個性的に音楽を表現するか、ぜひ聴き取っていただきたいですね」 来日ツアーでは、シベリウスの交響曲から、俊英が「イタリアを感じる」という第2番と、「一言で表せば“雄大”。ダイナミックな音のパノラマです」と評する第5番が核に。 「第2番は、波の音がそこここに聞こえ、作曲者が20世紀初め、イタリア中を旅した経験が反映されているよう。なぜ私が、流れるように音楽を奏でているか、分かっていただけるはず。そして、シベリウスの音楽の基本にあるのは、フィンランドの自然。ここに生まれ育った私が演奏することで、その特性を感じていただけるでしょう」 そして、ヴァイオリンの堀米ゆず子とシベリウス、ピアノの田部京子とはグリーグと、2人の名手を迎えて、北欧の2大協奏曲も披露。 「シベリウスの協奏曲には、美しさと憂鬱さの裏に、素晴らしい歌心が隠れています。彼は自国の民俗音楽を創作に生かしましたが、この曲が最も特徴的。おふたりとの共演は楽しみだし、楽団にも良い経験となるでしょう」 さらに、幕開けには「フィンランド人にとって、とても重要な作品」と断言する交響詩「フィンランディア」や、交響詩「エン・サガ」を用意。 「『フィンランディア』は、初演時の『フィンランドの目覚め』というタイトルが、本質を物語ります。何度も何度も指揮しましたが、常に楽しかったですし、今も大好きな曲ですね」 欧米楽壇で大人気のロウヴァリ。その原点こそ、“オーケストラ”だ。 「両親がラハティ交響楽団(母国の名門楽団)に勤めていて、数多くの練習を聴き、やがて指揮に興味を持って、今の私があります」 日本でも既に東京交響楽団へ客演し、快演を聴かせている。 「良い仲間と良い音楽を作る作業は、最もやりがいがある。何より大切なのは、楽団員と同じ目線で、緊密にコミュニケーションをとること。そうして初めて、サウンドに磨きをかけられるのです」スカンジナビアの音楽を世界中に広めたいのです取材・文:寺西 肇interview サントゥ=マティアス・ロウヴァリSanttu-Matias Rouvali/指揮
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