eぶらあぼ 2017.4月号
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35〈ハーモニーホール〉では「能」など新しい試みも キャパシティが約200席という〈ハーモニーホール〉では、5月20日に能アーティストの青木涼子が登場。能と現代音楽のコラボレーションを追究している彼女が、どんなパフォーマンスを繰り広げるのか、興味深い。また7月15日には、『ヨルタモリ』への出演で話題となったU-zhaan(タブラ)と沖仁(フラメンコギター)の共演、11月19日には宮川彬良(作曲・ピアノ)と岡崎裕美(ヴォーカル)が「未来の音楽授業! アキラ塾」を開講するなど、多彩な内容で、クラシック初心者の方も充分に楽しめる内容となっている。 浦安市民にこの音楽ホールに親しんでもらうための企画として、12月に登場する弦楽四重奏団、クァルテット・エクセルシオが、その公演を前に公開リハーサルやアウトリーチ的なイベントを行うことが決定している。「クァルテットを少しでも多くの人に聴いてほしい」という浦安音楽ホールの姿勢がうかがわれる。浦安でクラシック音楽を楽しむという新たなスタイル これまでJR京葉線の沿線には、本格的な音楽専用ホールはほとんど無かった。また地元の浦安市民にとっても、東京に仕事場を持つ人が多く、東京で音楽を楽しんで、その後、自宅へ帰って来るという方が多かったはず。だが、地元に素晴らしい音響を持つホールが完成すれば、これまでの音楽鑑賞のパターンも変化する可能性がある。また、東京駅から最寄りの新浦安駅までは京葉線・武蔵野線で各駅停車でも21分、快速ならば16分という距離なので、ちょっと遠回りして浦安でクラシック音楽を楽しみ、その後帰宅する、という音楽ファンも出てくるだろう。 音響とコンサートのラインナップの点で、まったく妥協を感じさせず、世界的な演奏家を集めたファースト・シーズンは、多くの音楽ファンにとって興味深いものだろう。そういう点で、この浦安音楽ホールの誕生は、ひとつの波紋を音楽界に作り出すものだ。また、京葉線と言えば新浦安駅のひとつ前の駅に東京ディズニーリゾートがあり、そこだけが注目されて来た訳だが、その先にあるコンサートホールにも注目が集まって欲しいと思う。 山本周五郎の小説『青べか物語』(1961年)で描かれた浦安の街の景観は変わった。しかし、新しい文化の種がまかれ、それと共に育っていくというのは常にエキサイティングである。そんな体験を共有したいものだ。諏訪内晶子 ©Tamihito Yoshida仲道郁代 ©Kiyotaka Saitoダン・タイ・ソン高橋悠治 え・柳生弦一郎クァルテット・エクセルシオ青木涼子 ©Hiroaki Seo宮川彬良 ©Mikako Ishiguro鈴木優人 ©Marco Borggreveハーモニーホール内観問 浦安音楽ホール047-382-3035http://www.urayasu-concerthall.jp/

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