eぶらあぼ 2017.4月号
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1946月の見もの・聴きもの2017年6月の曽そし雌裕ひろかず一 編〔Ⅰ〕オーストリアウィーン芸術週間[会場:アン・デア・ウィーン劇場(ウィーン)](6月分/主要公演のみ/他会場は省略)★◎6月4(18:00)(TA)、6(18:00)(TA)、8(18:00)(TA)日 B.ラング:Mondparsifal Alpha 1-8 (Erzmutterz der Abwehr)(ワーグナー:パルジファルによる)[プレミエ] 指/S.ヤング、演出/J.メーセ、出/T.トマソン、W.バンクル、演奏/クラングフォルム・ヴィーン第38回ウィーン国際音楽祭(38.Internationales Musikfest)[会場:コンツェルトハウス大ホール(ウィーン)](6月分/主要公演のみ/小ホール分は省略)〔注〕従来は「ウィーン芸術週間」の一環としてプログラムに組み込まれていた音楽祭ですが、本年度については、同芸術週間のHP中にリンクがないため、個別の音楽祭として記述します。6月1(19:30)日 M.ピンチャー指揮ウィーン放送響 ブーレーズ:フィギュール・ドゥブル・プリスム、メモリアル(…固定/爆発…オリジナル)、イベール:フルート協奏曲、M.ピンチャー:オシリス、ドビュッシー:海 独/E.パユ6月2(19:00)、3(15:30)日 R.ブッフビンダー(p)指揮ウィーン響 モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番(3日のみ)、ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番、合唱幻想曲6月6(19:30)、7(19:30)日 J.フルシャ指揮ウィーン響 ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲、フランク:交響曲ニ短調 独/F.P.ツィンマーマンvn◎6月9(19:30)日 C.ティーレマン指揮ウィーン・フィル ブラームス:大学祝典序曲、J.ヴィトマン:フルート協奏曲、ブラームス:交響曲第4番 独/D.フルーリー6月19(19:30)日 B.ブレニマン指揮クラングフォルム・ヴィーン ブーレーズ:…固定/爆発…、レポン6月20(19:30)日 R.ブッフビンダーp シューベルト:ピアノ・ソナタ第21番、ディアベッリのワルツによる変奏曲、ベートーヴェン:ディアベッリの主題による33の変奏曲6月21(19:30)日 A.ハルテロスS シューベルト、シューマン、ベルク、R.シュトラウスの作品 共/W.リーガーpウィーン国立歌劇場6月2日 ベートーヴェン:フィデリオ 指/C.マイスター、演出/O.シェンク、出/A.ドーメン、P.ザイフェルト、C.ニュールンド6月3日 R.シュトラウス:ばらの騎士 指/S.ゲッツェル、演出/O.シェンク、出/A.デノーケ、P.ローズ、S.コシュ、D.ファリー◎6月5日 ワーグナー:神々の黄昏 指/P.シュナイダー、演出/S.E.ベヒトルフ、出/S.フィンケ、F.シュトルックマン、P.ラング、W.マイヤー6月6、10、13、17日 ヴェルディ:リゴレット 指/S.ゲッツェル、演出/P.オーディ、出/Y.カン、R.フロンタリ6月9、14、16日 ドニゼッティ:ドン・パスクワーレ指/S.スカプッチ、演出/I.ブルック、出/M.ペルトゥージ◎6月11、15、21日 ヴェルディ:ドン・カルロ(4幕・イタリア語版) 指/チョン・ミョンフン、演出/D.アバド、出/F.フルラネット、R.ヴァルガス、P.ドミンゴ◎6月18、20、24、27、30日 ドビュッシー:ペレアスとメリザンド[プレミエ] 指/A.アルティノグリュ、演出/M.A.マレッリ、出/F.J.ゼリッヒ、B.フィンク、B.ブルンス、S.キーンリサイド、O.ベズスメルトナ6月19、23、26日 R.シュトラウス:エレクトラ指/M.ボーダー、演出/U.E.ラウフェンベルク、出/W.マイヤー、N.シュテンメ6月22、25、28日 ドニゼッティ:愛の妙薬 指/G.ガルシア・カルヴォ、演出/O.シェンク、出/V.ナフォルニタ、R.ヴィリャソンウィーン・フォルクスオーパー★6月1(19:00)、3(19:00)、6(19:00)、8(19:00)、12(19:00)、16(19:00)、22(19:00)、24(19:00)、28(19:00)日 C.コロノヴィッツ:ヴィヴァルディ-5番目の四季(ミュージカル)[プレミエ(3日)] 演出/R.マイヤー6月4(19:00)、10(19:00)日 ミレッカー:乞食学生 演出/A.プライスラー6月5(19:00)、30(19:00)日 ヨハン・シュトラウス:こうもり 演出/R.ヘルツル、新校訂演出/H.ツェドニク◎6月11(19:00)、14(19:00)、18(16:30)、20(19:00)、23(19:00)、25(19:00)、29(19:00)日 ボロディン:イーゴリ公 演出/T.シュルテ=ミヒェルス6月15(19:00)、17(19:30)、19(19:30)、21(19:30)、27(19:30)日 M.リー:ラ・マンチャの男(ミュージカル) 演出/O.タンボシアン・デア・ウィーン劇場→ 〔ウィーン芸術週間〕参照ウィーン・フィル[会場:無印=ムジークフェライン(ウィーン)、(KH)=コンツェルトハウス(ウィーン)]◎6月9(19:30)(KH)、10(15:30)、11(11:00)日 C.ティーレマン指揮 ブラームス:大学祝典序曲、J.ヴィトマン:フルート協奏曲、ブラームス:交響曲第4番 独/D.フルーリー → 9日は〔第38回ウィーン国際音楽祭〕も参照◎6月16(19:30)、17(15:30)、18(11:00)日M.ヤンソンス指揮 ドヴォルザーク:交響曲第8番、R.シュトラウス:死と変容、ストラヴィンスキー:火の鳥(組曲/1919年版)【本文中の記号】★=プレミエ[新演出]公演、◎=注目公演 今年から「ウィーン芸術週間」のインテンダントが代わり、クラシック・コンサート部門を毎年交替で担当するムジークフェラインやコンツェルトハウスとの直接の連携はHP上では明確にされなくなったようだ。ということで「ウィーン芸術週間」としては、クラシック関係の企画はアン・デア・ウィーン劇場で上演される「Mondparsifal」(月のパルジファル)という何だか胡散臭そう(失礼!)な演目だけだが、これがただ者ではない。演出のジョナサン・メーセは、実は昨年のバイロイト音楽祭でプレミエとして出された「パルジファル」の当初演出家だったのだが、その当初案にはナチを賞賛する内容が含まれていたといわれ、結局音楽祭側は予算オーバーを理由に演出家を変更したという事件が起こっていたからだ。その演出家が新たに制作する、ワーグナーのパロディとも言えそうな「月のパルジファル」とは何者か? どうもロボット仕立てのパルジファルらしいのだが… さて、今年の「ザルツブルク聖霊降臨祭音楽祭」は6月に行われるが、その中で「アンネ=ゾフィー・ムター/ザルツブルク音楽祭40周年記念演奏会」というコンサートが開かれる。5月にはベルリン・フィル・デビュー40周年を迎える彼女だが、わずか13歳のムターをカラヤンがベルリン・フィルにデビューさせて早40年。月日の経つのは早いものだ。ちなみにムター中心のアンサンブルはバーデン・バーデン祝祭劇場でも公演があり、さらにスカラ・フィルではシャイーの指揮でブラームスのヴァイオリン協奏曲も演奏する。 注目公演に戻ると、オペラ関係では、サイモン・ラトルが5月の「ファウストの劫罰」に続き、6月はベルリン州立歌劇場(シラー劇場)でヤナーチェクの「カーチャ・カバノヴァ」を振る。そのシラー劇場では、御大バレンボイムはビゼーの「真珠採り」という彼としては意表を突いた演目を取り上げる。またシラー劇場横のヴェルクシュタットでは、ライマンの「幽霊ソナタ」という注目公演も、現代音楽劇フェスティバル「INFEKTION!」の中で行われる。ロシア系のオペラも活況で、ベルリン・ドイツ・オペラではリチャード・ジョーンズ演出のムソルグスキー「ボリス・ゴドゥノフ」、シュトゥットガルト歌劇場ではカンブルランの振るチャイコフスキー「スペードの女王」、フランドル歌劇場ではロシア以外では上演機会のまれなリムスキー=コルサコフ「サトコ」などどれも面白そう。ロシアもの以外では、英国ロイヤル・オペラでキース・ウォーナーの演出するヴェルディ「オテロ」、ベルリン・コーミッシェ・オーパーのラモー「ゾロアストル」、パリ・オペラ座のロッシーニ「チェネレントラ」なども要注目。 オーケストラでは、ケント・ナガノがハンブルクのオペラのオケでシェーンベルクの「グレの歌」、バイエルン放送響への客演でメシアンの「われらの主イエス・キリストの変容」という意欲作2曲を振る。キリル・ペトレンコは手兵のバイエルン州立管でマーラーの5番(秋の日本公演でも演奏)を振るほか、ロイヤル・コンセルトヘボウ管に客演してルプーのピアノとの共演もある。さらにロジェストヴェンスキーがシュターツカペレ・ドレスデンとショスタコーヴィチの交響曲1番・15番を演奏するのはマニア垂涎の公演。リヨン国立歌劇場の音楽監督退任が近付いている大野和士は、同歌劇場のオケでプロムナード・コンサート風の演奏会を指揮。オペラ・シーズンを終了したメトロポリタン歌劇場のオケには先月に続きサロネンが登壇する。古楽系の出し物や、ベルリン古楽アカデミーと共演するヴァイオリンのイザベル・ファウストのシリーズなどまだまだ紹介したいものはあったが、本文の◎印付き公演をご参照いただきたい。 (曽雌裕一・そしひろかず)(コメントできなかった注目公演も多いので本文の◎印をご参照下さい)
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