eぶらあぼ 2017.4月号
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184CDSACDCDCDブラームス:交響曲第2番/ユロフスキ&ロンドン・フィルフランス室内楽作品集―花房晴美ライブ・シリーズⅢ―仮面舞踏会/柴田・福山ギターデュオMy favorite songs―私のお気に入り―/嘉目真木子ブラームス:交響曲第2番ウラディーミル・ユロフスキ(指揮)ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団サン=サーンス:オーボエとピアノのためのソナタ、七重奏曲/ミヨー:オンド・マルトノとピアノのための組曲/サルツェード:ハープとピアノのためのソナタ/デュパン:小品集第1巻 スネアドラムとピアノのための 他花房晴美(ピアノ)、マチルド・ルベール(オーボエ)、原田節(オンド・マルトノ)、篠崎史子(ハープ)、加藤恭子(パーカッション) 他 コシュキン:バッハによるプレリュード/D.スカルラッティ:ソナタK.30「猫のフーガ」、ソナタK.141「トッカータ」/ハチャトゥリアン:仮面舞踏会/サイ:リュキアの王女/ロドリーゴ:トナディーリャ/J.S.バッハ:われ汝に呼ばわる、主イエス・キリストよ 他柴田・福山ギターデュオ【柴田 健、福山敦子(以上ギター)】シューベルト:アヴェ・マリア/ジョルダーニ:カロ・ミオ・ベン/ドヴォルザーク:我が母の教え給いし歌、月に寄せる歌/高田三郎:くちなし/寺島尚彦:さとうきび畑/ロウ:踊り明かそう/ロイド=ウェッバー:メモリー/グリーグ:ソルヴェイグの歌 他嘉目真木子(ソプラノ)武田朋子(ピアノ)収録:2008.9/27、ロンドン(ライヴ)エイベックス・クラシックスAVCL-25927 ¥2000+税収録:2012.10/10、13.10/25、14.4/17、16. 10/14、東京文化会館(ライヴ)日本アコースティックレコーズNARD-5051 ¥3000+税コジマ録音ALCD-7210 ¥2800+税オクタヴィア・レコードOVCL-00616 ¥3000+税ユロフスキ&ロンドン・フィル(LPO)の来日記念盤からの1枚。輸入盤でも発売されていたが、国内盤ではSACDハイブリッド仕様で音質が向上しているのが嬉しい。全曲にわたりリズミカル、全く停滞感のないキビキビとしたテンポとしなやかかつ重量感のある響きで構築された名演奏だろう。老巨匠のように滋味溢れる、という演奏ではない代わりに瑞々しい抒情と若さに富み、非常に説得力がある。録音バランスにもよろうが、この曲で重要なスパイスとなっているトロンボーンとテューバの響きが美しく録られているのも良い。LPOも目の詰まった響きを聴かせて好調だ。 (藤原 聡)デビュー40周年を迎えた花房晴美の“ライブ・シリーズ”第3弾は、フランス室内楽作品集。2012~16年に共演したオーボエのM.ルベール、オンド・マルトノの原田節、ハープの篠崎史子、打楽器の加藤恭子らとのアンサンブル音源。19~20世紀のフランス人作曲家たちによる、洒脱でエスプリに富んだピアノ室内楽の世界が見渡せる。ミヨーの組曲では、管楽器にも弦楽器にも聞こえるオンド・マルトノとピアノとの美しい重奏が光る。スネアドラムとの共演が楽しいデュパンの小品集や、実演の迫力を伝えるサン=サーンスの七重奏曲など、聴き応えあるアルバムだ。 (飯田有抄)1988年に結成されたギター・デュオの最新録音。まずは、演奏者・柴田の編曲作品に、2台用のオリジナル曲をほどよく交えた選曲が光っている。そして何より、30年近く二重奏を専門に活動してきただけあって、二人の呼吸感が素晴らしく、フレージングや抑揚の自然な揃い方など、急造デュオには不可能な域にある。スカルラッティはこの形態に合っていて魅力十分だし、ハチャトゥリアンはギターの新作の如く高鮮度。サイのエキゾティックかつしっとりとした情感、バッハのしみじみとした味わいも胸に染みる。ギター・デュオの妙味を存分に満喫できる1枚。 (柴田克彦)聡明な歌。着実にキャリアを重ね、みるみるうちに、いくつものオペラ公演に名を連ねる売れっ子歌手となった嘉目(よしめ)真木子のデビュー盤。タイトルどおり、古典からオペラ、ミュージカルまですべて自分で選曲したという名曲集だけれど、気分で歌い飛ばすようなところはない。旋律の形だけをなぞるのでなく、透明な湖のように深みのある澄んだ声が、どの歌にも確かな核を与えている。そして自身と歌との関わりまで織り込んだ丹念な曲目解説や、外国語詞の対訳も本人が書いていて、その姿勢と内容からも、作品への愛が伝わってくるようで、すがすがしい。 (宮本 明)
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