eぶらあぼ 2017.3月号
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72伊藤理恵(ピアノ) 深化する響き mit Bösendorferベートーヴェンの精神世界に迫る文:笹田和人トッパンホール アンサンブル VOL.10天才たちの名品を鮮やかに対比文:片桐卓也3/12(日)14:00 CHABOHIBA HALL問 春渓プロモーション090-6008-9240http://www.facebook.com/Rie-Ito-1713796538934015/3/16(木)19:00 トッパンホール問 トッパンホールチケットセンター03-5840-2222 http://www.toppanhall.com/ 折りごとに自己の内面と対話し、作品への深化の度合いを高めてゆく異色のピアニスト、伊藤理恵が今年、「自分の心に最も近い」3人の作曲家を取り上げるリサイタル・シリーズをスタート。その第1回のテーマにベートーヴェンを選び、「ハンマークラヴィーア」「テレーゼ」「月光」という3つの名ソナタを通じて、その精神世界を掘り下げる。 「あたかも32人の違った人間のように異なる個性を持つ、ベートーヴェンのピアノソナタ。まず意識したのは、ベートーヴェンの様々な顔を知ってほしいということです」と伊藤。「“眉間にしわを寄せた偉大な楽聖”という印象だけでなく、ユーモアと人間味にあふれた、血の通った作曲家像を感じてほしい」と言う。 国立音楽大学ピアノ科を中退し、一般職に従事するも、指揮で音楽活動を再開。ピアノでのソロ活動も開始し、個性的な音楽創りで大きな話題に。 トッパンホール アンサンブルは、トッパンホールが主体となってプログラムを組み立て、それに合わせてメンバーを選び、演奏会を開催する企画である。その第10回目は、管楽器の名手たちと、ウィーンの音楽に精通するヴァイオリニストの久保田巧、気鋭のチェリスト上野通明、そして仙台国際音楽コンクールの優勝者であり、トッパンホールで行われた<室内楽マイスターへの道>でも素晴らしい演奏を聴かせたピアノの津田裕也が加わり、モーツァルトとベートーヴェンの傑作を演奏する。数年間の活動休止を経て、2011年に演奏活動を再開し、写真家としても独自の表現を追究。銘器ベーゼンドルファーを弾く当シリーズでは、7月にシューベルト、10月にブラームスの披露を予定している。 「『ハンマークラヴィーア』には、作曲家の全人生が詰め込まれていて、演奏にはかなりの覚悟を必要とします。相反する様々な要素が混在する、晩年の様式の極みです。畏敬の念と感謝を持ちつつ、広大な音の森に分け入りたい」と語る。 1784年、ウィーンに定住したモーツァルトが書いた「ピアノと木管のための五重奏曲」は、作曲者自身が「これまでに書いた最高の作品」と考えていた傑作。オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴットとピアノという楽器編成だが、それを古部賢一、四戸世紀、日橋辰朗、吉田将、津田裕也が演奏する。管楽器奏者の面々は説明するまでもなく日本を代表する奏者ばかり。そして、1796年ウィーンにやって来たばかりの 一昨年12月に東京・立川市にオープンした約100席のCHABOHIBA HALL(チャボヒバホール)を会場に選んだのも注目だ。若きベートーヴェンの意欲が満ちた「ピアノと木管のための五重奏曲」も同じメンバーで演奏する。モーツァルトのヴァイオリン・ソナタ変ロ長調 K.454(1784年)は久保田が、ベートーヴェンのチェロ・ソナタ第2番(1796年)は上野がそれぞれ演奏し、津田が共演する。 非常にシンメトリーに、しかし慎重に考えられたプログラムで、18世紀末のウィーンの音楽的充実ぶりが理解できるだろう。©reiko.hayakawa左より:久保田 巧 ©藤本史昭/上野通明/古部賢一 ©土居政則/四戸世紀/吉田 将 ©読売日本交響楽団/日橋辰朗/津田裕也 ©Christine Fiedler
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