eぶらあぼ 2017.3月号
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58シルヴァン・カンブルラン(指揮) 読売日本交響楽団古典派と後期ロマン派の名交響曲を絶妙にカップリング文:飯尾洋一上岡敏之(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団輝かしくも幸福な音楽文:オヤマダアツシ第196回 土曜マチネーシリーズ 4/8(土)14:00第196回 日曜マチネーシリーズ 4/9(日)14:00東京芸術劇場 コンサートホール問 読響チケットセンター0570-00-4390 http://yomikyo.or.jp/ 第570回 トパーズ〈トリフォニー・シリーズ〉3/17(金)19:00、3/18(土)14:00 すみだトリフォニーホール問 新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 http://www.njp.or.jp/ シルヴァン・カンブルランが読売日本交響楽団の常任指揮者に就任したのは2010年のこと。もう7年にもなるということに驚いてしまう。これは単に「月日の経つのは早いもの」ということではなく、両者の作り出す音楽や意欲的なプログラミングがいまなお新鮮さを失っていないがゆえのこと。毎回の共演がエキサイティングであるという点で、在京オーケストラのなかでも屈指の名コンビが築かれている。 そんなカンブルランと読響がこの春に聴かせてくれるのは、ハイドンの交響曲第103番「太鼓連打」とマーラーの交響曲第1番「巨人」というプログラム。「交響曲の父」とも呼ぶべきウィーン古典派のハイドンと、世紀末ウィーンで交響曲を解体再構築したマーラーという、ふたりの交響曲作曲家の名曲が組み合わされた。 両曲の共通項はティンパニの活躍。ハイドンが大成功を収めた「ロンドン交 新日本フィル、3月の『トパーズ』定期演奏会は、上岡敏之が指揮をするドイツ語圏音楽のプログラム。となれば、これまでの演奏会でスタンダードな曲を斬新なアプローチにより刷新してきた実績ゆえ、期待を胸に足を運びたくなる。ベートーヴェンの交響曲第1番、シューマンの第2番という2つのハ長調交響曲は、19世紀ドイツ音楽の本流を形成する作品。長くドイツを拠点に活動してきたという上岡の実績が、雄弁な音楽を創造することだろう。揺るぎない音楽の軸と、そこから生まれるエネルギー、そしてライヴの躍動感。上岡&新日本フィルならではの演奏には、不思議な興奮が満ちているのだ。 さらには首席ファゴット奏者の河村幹子が「この2つの交響曲の間であれば、この曲しかない!」と選んだ、モーツァルトのファゴット協奏曲を演奏。18歳のとき、ザルツブルクで作曲したと伝えられるが、「天才による若々しい音楽は、無駄がないゆえに難しい」と曲を響曲」のなかの一曲である交響曲第103番「太鼓連打」は、第1楽章の序奏がティンパニの連打で開始されることからこの愛称で呼ばれている。この連打は楽章の終盤でふたたび現れて、強い印象を残す。太鼓の連打はマーラーの「巨人」にも通じる。ふたりのティンパニ奏者を要し、とりわけ終楽章では力強い連打がくりひろげられ、大きな高揚感が生み出される。評価する河村により、充実した音楽が味わえるに違いない。「家族のようなオーケストラ、まるで“わが家”のようなホール、そして曲やオーケストラの魅力を無理なく自然に引き出してくれる指揮者(音楽監督)」と語る最高の環境 このコンビならではの精妙なアンサンブルと美しい響きも聴きもの。エキサイティングな公演になりそうだ。から、輝かしくも幸福な音楽が生まれる時間を楽しんでいただけるだろう。 この定期演奏会は、まだ上岡&新日本フィルのコンビを体験していない聴き手にこそ、強くおすすめしたいプログラムである。シルヴァン・カンブルラン ©読響河村幹子上岡敏之 ©大窪道治

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