eぶらあぼ 2017.3月号
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54仲道郁代 ©Kiyotaka Saito千住真理子 ©Kiyotaka Saitoウィーン少年合唱団 ©www.Lukasbeck.com牛田智大 ©Ariga Terasawa5/31(水)牛田智大(ピアノ) 6/16(金)ウィーン少年合唱団7/14(金)千住真理子(ヴァイオリン)8/16(水)仲道郁代(ピアノ)各日13:30 東京オペラシティ コンサートホール問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040http://www.japanarts.co.jp/アフタヌーン・コンサート・シリーズ 2017-2018前期絶妙なラインナップが魅力の月に一度のお楽しみ文:飯尾洋一 最近、とみに目立つようになったのが、平日昼間のコンサート。どんどん数が増えてきた。こういった平日昼の公演に足を運んでみると、おおむね客席も盛況で、客層は予想以上に幅広い。決して仕事をリタイアした年配の方々ばかりが集まっているわけではなく、現役世代の方も少なくないのだ。子育てや働き方の多様化など、さまざまな事情で「帰宅が夜遅くなるのは困る」「週末は出かけづらいので平日のほうがありがたい」といったニーズがあるのを実感する。 さて、そんな平日昼間の時間帯に定番の名曲を楽しめるのが、『アフタヌーン・コンサート・シリーズ』。東京オペラシティ コンサートホールを舞台に、月に一度、人気のアーティストたちが登場する。2017/18前期シーズンは、牛田智大、ウィーン少年合唱団、千住真理子、仲道郁代といった華やかな顔ぶれがそろっている。 5月の牛田智大ピアノ・リサイタルでは、リストのピアノ・ソナタや「ラ・カンパネラ」、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第31番他が演奏される。デビュー5周年を迎えた新星による、聴きごたえ十分のプログラムだ。 6月に登場するのはウィーン少年合唱団。「天使の歌声」と形容される澄みきった歌声に癒されたい。今回はモーツァルト組が来日。「美しく青きドナウ」や「アメイジング・グレイス」、さらにタケカワユキヒデの「ビューティフル・ネーム」や菅野よう子の「花は咲く」など、おなじみの名曲が並ぶ。 7月は千住真理子のヴァイオリン・リサイタル。「ドラマティック・ブラームス」と銘打たれ、ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番「雨の歌」や同第3番が演奏される。ブラームスが敬愛したクララ・シューマンの「ロマンス」なども演奏され、ブラームスの世界をより奥行きをもって感じられるプログラムとなっている。ピアノは丸山滋。 8月は仲道郁代の「青春の輝き 若き女神(ミューズ)たちとともに」。第1部で仲道郁代のピアノ独奏でショパンとシューマンが演奏され、第2部ではヴァイオリンの松田理奈ら若手奏者たちとともにブラームスのピアノ四重奏曲第1番が演奏される。ソロと室内楽、両方を一度に堪能できるのがうれしい。 いずれの公演も開演は13時30分で、ランチの後にちょうどよい時間帯。プログラムも重すぎず、しかし軽すぎず。月に一度の楽しみとして、絶妙なラインナップが並ぶ。4/14(金)19:00 王子ホール問 王子ホールチケットセンター 03-3567-9990 http://www.ojihall.jp/タベア・ツィンマーマン(ヴィオラ) ~無伴奏の夕べ~最高峰の名奏で味わう無伴奏の真髄文:柴田克彦 ©Marco Borggreve “ヴィオラの女王”が帰ってくる! そう形容するに相応しいのが、王子ホールの「タベア・ツィンマーマン~無伴奏の夕べ~」だ。ドイツ生まれのタベアは、10代で頭角を現して以来、長年ソリストとして活動。ベルリン・フィル等の一流楽団と共演し、近年はケラスらと結成したアルカント・カルテットでも活躍している。3歳からヴィオラに専心した稀な奏者だけあって、濃密な音で自在に奏される音楽は吸引力抜群。この楽器でこそ表現し得る豊潤かつ深淵な世界を満喫させてくれる。 王子ホールは、2014年に日本での15年ぶりのリサイタルを実現。彼女も圧倒的な無伴奏で驚嘆させたが、今回の演目も、バッハ、ヒンデミット、ストラヴィンスキー等の難曲ばかり。「シャコンヌ」を含むバッハのパルティータ第2番も聴きものだし、彼女のために書かれたリゲティのソナタは、全6楽章の多様性と相まって特に注目される。無伴奏ヴィオラの至難な技のみならず、音楽的な真髄を表出するのが彼女の凄さ。世界トップ奏者の“大人の音楽”を堪能しよう!
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