eぶらあぼ 2017.3月号
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1905月の見もの・聴きもの2017年5月の曽そし雌裕ひろかず一 編〔Ⅰ〕オーストリアウィーン芸術週間(コンサート関係のみ)[会場:コンツェルトハウス大ホール(ウィーン)](5月分の主要公演/小ホール分は省略)◎5月14(19:30)、17(19:30)日 D.バレンボイム指揮ウィーン・フィル(開幕演奏会(14日))ブーレーズ:ノタシオン〜Ⅰ-Ⅳ・Ⅶ(14日のみ)、スメタナ:わが祖国5月16(19:30)日 P.ウンジャン指揮トロント響ブーレーズ:水の太陽、ブラームス:ヴァイオリン協奏曲、バルトーク:管弦楽のための協奏曲 独/M.ヴェンゲーロフvn、C.フータネンS5月18(19:30)日 D.ハーディング指揮スウェーデン放送響 ブーレーズ:ブルーノ・マデルナ追悼のリチュエル、ショーソン:詩曲、ラヴェル:ツィガーヌ、ブラームス:交響曲第1番独/J.ベルvn5月21(19:30)日 C.マイスター指揮ウィーン放送響 ブルックナー:聖木曜日のためのコラール・ミサ、ブーレーズ:婚礼の顔、メシアン:ほほえみ、ドヴォルザーク:聖書の歌 独/イェリー・サーS、H.サマーズA、A.ルチンスキBr5月23(19:30)、24(19:30)日 P.ヤルヴィ指揮ウィーン響 マーラー:交響曲第7番5月31(19:30)日 R.ブッフビンダー(p)指揮ウィーン響 モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番、ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番、合唱幻想曲ウィーン国立歌劇場◎5月1、21日 ワーグナー:ワルキューレ 指/P.シュナイダー、演出/S.E.ベヒトルフ、出/R.D.スミス、B.ターフェル、C.ニールンド、P.ラング、藤村実穂子5月2、4日 モーツァルト:フィガロの結婚 指/A.フィッシャー、演出/J.L.マルティノーティ、出/A.プラチェトカ、C.アルバレス◎5月3日 ショスタコーヴィチ:ムツェンスク郡のマクベス夫人 指/I.メッツマッハー、演出/M.ハルトマン、出/W.バンクル、E.M.ヴェストブレック、B.ジョヴァノヴィチ5月5、8、11日 プッチーニ:トスカ 指/E.イェンセン、演出/M.ヴァルマン、出/A.ゲオルギュー、J.カウフマン、M.ヴラトーニャ5月6、9、13日 チャイコフスキー:エフゲニー・オネーギン 指/P.ランゲ、演出/F.リヒター、出/O.ベズスメルトナ、C.マルトマン◎5月7、28日 ワーグナー:ジークフリート 指/P.シュナイダー、演出/S.E.ベヒトルフ、出/S.フィンケ、P.ラング、B.ターフェル、O.フォン・デア・ダメラウ◎5月10日 ワーグナー:神々の黄昏 指/P.シュナイダー、演出/S.E.ベヒトルフ、出/S.フィンケ、F.シュトルックマン、J.シュメッケンベッヒャー、P.ラング、W.マイヤー◎5月19日 〔ガラ・コンサート〕 出/P.ドミンゴT、他◎5月20日 ワーグナー:ラインの黄金 指/P.シュナイダー、演出/S.E.ベヒトルフ、出/B.ターフェル、N.エルンスト、藤村実穂子5月23、27、31日 R.シュトラウス:ばらの騎士指/S.ゲッツェル、演出/O.シェンク、出/A.デノーケ、P.ローズ、S.コシュ◎5月24、26、30日 ベートーヴェン:フィデリオ指/C.マイスター、演出/O.シェンク、出/A.ドーメン、P.ザイフェルト、C.ニュールンド、G.グロイスベックウィーン・フォルクスオーパー5月1(19:00)日 M.リー:ラ・マンチャの男(ミュージカル) 演出/O.タンボシ5月3(19:00)、10(19:00)、14(19:00)、19(19:00)、24(19:00)、29(19:00)日 ミレッカー:乞食学生 演出/A.プライスラー5月4(19:00)、15(19:00)、17(19:00)日 カタラーニ:ラ・ワリー[17年3月プレミエ] 演出/A.シュティール5月6(19:00)、7(16:30)、13(19:00)、18(11:00)、20(18:30)、25(19:00)、27(19:00)日 J.ボック:アナテフカ(ミュージカル) 演出/M.ダヴィッズ5月12(19:00)、22(19:00)、26(19:00)、31(19:00)日 J.シュトラウスⅡ:こうもり 演出/H.ツェドニクアン・デア・ウィーン劇場★◎5月2(19:00)、4(19:00)、7(19:00)、9(19:00)、11(19:00)日 ヘンツェ:若い恋人たちへのエレジー[プレミエ] 指/M.アルブレヒト、演出/K.ウォーナー、出/A.キルヒシュラーガー、L.エイキン、演奏/ウィーン響ウィーン・フィル[会場:無印=ムジークフェライン(ウィーン)、(KH)=コンツェルトハウス(ウィーン)、(BER)=コンツェルトハウス(ベルリン)、(BB)=祝祭劇場(バーデン・バーデン)、(M)=フィルハーモニー[ガスタイク](ミュンヘン)、(PRA)=スメタナホール[市民会館](プラハ)、(LI)=ブルックナーハウス(リンツ)]5月2(19:30)、4(20:00)(BER)、5(19:00)(BB)日 H.ブロムシュテット指揮 モーツァルト:交響曲第39番(2/5日)/ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番(4日)、ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」(1878/1880年版)独/K.アームストロングp(4日のみ)◎5月11(20:00)(M)、12(PRA)、13(PRA)、16(19:30)(LI)日 D.バレンボイム指揮 スメタナ:わが祖国◎5月14(19:30)(KH)、17(19:30)(KH)日D.バレンボイム指揮 → 〔ウィーン芸術週間〕参照【本文中の記号】★=プレミエ[新演出]公演、◎=注目公演 今年は「ウィーン芸術週間」の内容発表が遅れている。コンサートは会場(コンツェルトハウス)のHPでも確認はできるが、オペラの内容がわからない。恐縮ながら、本誌発行の時点では全体の内容が掲載されているはずのウィーン芸術週間HP(www.fest wochen.at/2017/)でご確認いただきたい。 その「ウィーン芸術週間」だが、5月下旬のオーケストラ・コンサートのラインナップは、むしろ音楽祭とは関係ないムジークフェラインのホールの方が皮肉なほど豪華。ティーレマン指揮シュターツカペレ・ドレスデンとネルソンス指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管が2公演ずつ、その後ヘンゲルブロックとハーディングがパリ管を振り、そしてピアノのルプーがさらに続く…と、どちらが音楽祭か見まがうほどの内容。肝心のコンツェルトハウスの方は、バレンボイムがウィーン・フィルと共にスメタナ「わが祖国」全曲を演奏するのが音楽祭序盤の目玉。しかも、このコンビは、チェコに飛んで「プラハの春国際音楽祭」の開幕演奏会でもこの曲を演奏してしまう。では、ビエロフラーヴェクの振るチェコ・フィルは何を演奏するのかというと、ショスタコーヴィチの交響曲第13番「バビ・ヤール」という意表を突いたプログラム。ところが、このコンビは「ドレスデン音楽祭」で「わが祖国」全曲を演奏するというから、なかなか入り組んでいる。ちなみに「プラハの春国際音楽祭」では、他にもウィリアム・クリスティの振るエイジ・オブ・エンライトメント管やヘンゲルブロック指揮のパリ管、と5月中から大いに充実したプログラム。なお、このヘンゲルブロックは、パリ管への客演と並行して、手兵のNDRエルプフィルと共にワーグナーの「ラインの黄金」も演奏する。これも要注目だ。 指揮者では、ラトルの活動も面白い。ベルリン州立歌劇場(シラー劇場)でベルリオーズの「ファウストの劫罰」を演出付で上演する他、ベルリン・フィルではブルックナーの交響曲第8番を取り上げる。彼がこの曲を振るのはかなり珍しいのではなかろうか。 一方、イベント的な公演としては、ドミンゴの出演するメモリアル・コンサートがウィーン国立歌劇場、ベルリン州立歌劇場、メトロポリタン歌劇場(開場50周年記念ガラ)である。ヴァイオリンのムターも、ベルリン・フィル・デビュー40周年記念コンサートをムーティ=ベルリン・フィルと共に開く。メトロポリタン歌劇場は5月でオペラ・シーズン終了だが、その最後にサロネン指揮のオーケストラ・コンサートがカーネギーホールで予定されている。ちなみにサロネンは、ピアノのエマールと共に5月4日と7日にロンドン(フィルハーモニア管)でドビュッシーやバルトークやマーラーといった極めて魅力的な演奏会を行う。 一方、オペラ関係では、シュヴェツィンゲン音楽祭で、古楽団体のラ・ヴェネクシアーナがモンテヴェルディの3作品「オルフェオ」「ポッペア」「ウリッセ」を連続上演(セミ・ステージ形式)するのが聴きもの。古楽系ではパリ・オペラ・コミークでジョルディ・サヴァールがマレの「アルシオーヌ」を振るのも見逃せない。なお、サヴァールは、本文では紹介できなかったが、ウィーン芸術週間(コンツェルトハウス/モーツァルトザール・5月15日)にエスペリオンXXIを振る。 そして、忘れてはいけないのは、ペトレンコの振る「タンホイザー」(バイエルン州立歌劇場)。秋に日本公演が予定されている演目だ。タイトルロールは人気者のフォークト。さらには、チューリッヒ歌劇場のビエイト演出のプロコフィエフ「炎の天使」も興味をそそるし、ミラノ・スカラ座では、何とバレエ公演をパーヴォ・ヤルヴィが振るという「珍品(?)」ものの出し物まである。(曽雌裕一・そしひろかず)(コメントできなかった注目公演も多いので本文の◎印をご参照下さい)
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