eぶらあぼ 2017.3月号
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180CDSACDSACDSACDブラームス:交響曲第1番/ユロフスキ&ロンドン・フィル祈り~チェロとハープ珠玉の名曲集/新倉 瞳コダーイ:二重奏曲 他/大宮臨太郎&藤村俊介ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 他/堀米ゆず子ブラームス:交響曲第1番ウラディーミル・ユロフスキ(指揮)ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団ピアソラ:タンティ・アンニ・プリマ/ヴィラ=ロボス:黒鳥の歌/サン=サーンス:白鳥/グリーグ:ソルヴェイグの歌/シューベルト:アヴェ・マリア/ルニエ:アンダンテ・レリジオーソ/J.S.バッハ:主イエス・キリストよ、われ汝に呼ばわる/パルムグレン:白鳥/ペルト:鏡の中の鏡 他新倉 瞳(チェロ)朝永侑子(ハープ)コダーイ:二重奏曲/ベートーヴェン(ヘルマン編):3つの二重奏曲第3番/J.S.バッハ(ノイマン編):フランス組曲第6番よりポロネーズ、2声のインヴェンション第1番・第13番・第14番/J.S.バッハ=グノー:アヴェ・マリア 他大宮臨太郎(ヴァイオリン)藤村俊介(チェロ)ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番ブラームス:ヴァイオリン協奏曲堀米ゆず子(ヴァイオリン)アレクサンドル・ラザレフ(指揮)日本フィルハーモニー交響楽団ジョアン・ファレッタ(指揮)チェコ・フィルハーモニー管弦楽団収録:2008.5/25、ロンドン(ライヴ)エイベックス・クラシックスAVCL-25926 ¥2000+税ソニー・ミュージックダイレクトMECO-1037 ¥3000+税マイスター・ミュージックMM-3099 ¥3000+税収録:2015.6/12,13、サントリーホール(ライヴ)他オクタヴィア・レコードOVCL-00609 ¥3200+税注目の俊英ユロフスキとロンドン・フィルのブラームス。2008年、彼が30代半ばのライヴである。序奏も主部も速いテンポでぐいぐいと進む。細部まで丁寧に造形されているので、軽い感じはしない。とりわけ展開部終わりから高揚して再現部に突入する箇所の、鮮度と切れ味の良さは抜群であり、聴きものだ。緩徐楽章は内声を際立たせながらたっぷりと歌う。終楽章ではメリハリの効いた雄大な解釈が魅力的である。特に再現部中間の下降音型のストレッタからコーダへの息詰まる高揚は、オーケストラの実力を最大限に引き出して、この指揮者の実力を遺憾なく発揮している。(横原千史)いいものを聴いた。デビュー10年。聴こえてくるのは実に自然で心地よい、でも豊かな歌だ。湧き上がってくる“弾きたいという気持ち”が、楽器上の表現に適切に落とし込まれているというか、自分の武器に合った攻め方をしているというか。妙な仕掛けも過度な思い入れも感じさせない自然な歌い方。活動と並行してスイスに留学して古楽などを学んだのも結実しているのかもしれない。全曲ハープとのデュオというのも効いている。バッハ「主イエス、われ汝に呼ばわる」の禁欲的な祈りが胸に迫る。『惑星ソラリス』の監督タルコフスキーもこれを聴いたら原曲のオルガンでなくこっちを使ったんじゃないか。 (宮本 明)N響のフォアシュピーラーを務める大宮臨太郎と藤村俊介のデュオ録音第2弾は、最初にコダーイを置いてその後にベートーヴェンとバッハの原曲アレンジ版を続けるという面白い構成、中ではやはりコダーイが大変に聴き応えのある演奏に仕上がっているが、特筆すべきは両者の細やかな対話だろう。野性味で聴かせる演奏ではないが、これを日本人的繊細さ、と言ってよいのかはさておき、この音楽的なニュアンスの素晴らしい合致はデュオとして最高のレベルにあると言える。ベートーヴェンの原曲はクラリネットとファゴットによるものだが、この弦楽器2本によるものも劣らず魅力的。(藤原 聡)堀米ゆず子の最新協奏曲アルバム。ブルッフが最初からとても美しい。堀米の透徹した音が冴えわたる。ラザレフと日本フィルによる充実したトゥッティの響きに対峙する気迫も充分だ。緩徐楽章のオーケストラの優しい歌と絡む独奏の繊細な表情もとてもきれい。終楽章はライヴの熱気も加わり、彼女のヴァイオリンが自由自在に駆け回る。ブラームスも美しい仕上がり。独奏提示部で次々と現れる主題素材が、いずれも丁寧に彫琢され、美感も研ぎ澄まされている。チェコ・フィルの弦や管のまろやかなサウンドも特筆に値する。重厚さと繊細さを兼ね備えた見事なブラームスだ。(横原千史)

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