eぶらあぼ 2017.3月号
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176CDCDCDCDスパニッシュ・プログレッシヴ・バロック/メディオ・レジストロ暁は光から/高橋 淳幻想ポロネーズ、舟歌~ショパン後期作品集/マウリツィオ・ポリーニカルメン・ファンタジー〈サラサーテ〉 加藤元章ライヴ・イン東京芸術劇場カバニーリェス:第2旋法による足鍵盤付きティエント/コレア・デ・アラウホ:第4旋法によるティエント/オルティス+カベソン:フォリアス/アギレラ・デ・エレディア:第8旋法による戦いのティエント、第4旋法によるティエント・リェーノ 他メディオ・レジストロ(バロック・アンサンブル)中野哲也(ヴィオラ・ダ・ガンバ)カプア:私の太陽/クルティス:忘れな草、泣かないお前/カルディッロ:カタリ カタリ/ドナウディ:ああ、愛する人の/ベッリーニ:マリンコニーア/デンツァ:妖精の瞳/トスティ:さようなら、君なんかもう、最後の歌、暁は光から高橋 淳(テノール)御邊典一(ピアノ)ショパン:舟歌 op.60、3つのマズルカ op. 59、幻想ポロネーズ op.61、2つの夜想曲 op.62、3つのマズルカ op.63、3つのワルツ op.64、マズルカ op.68-4マウリツィオ・ポリーニ(ピアノ)タファネル:ミニヨンの主題によるグランド・ファンタジー/マルティヌー:第1ソナタ/バートン:ソナティナ/ジョリヴェ:リノスの歌/サラサーテ:カルメン・ファンタジー/J.S.バッハ:アリオーソ加藤元章(フルート)東 誠三(ピアノ)録音研究室(レック・ラボ)NIKU-9006 ¥2800+税コジマ録音ALCD-9169 ¥2400+税ユニバーサルミュージックUCCG-1753 ¥2800+税収録:1992.6/25、東京芸術劇場 (ライヴ)ナミ・レコードWWCC-7828 ¥2000+税どうしてこうも、我々の感性へダイレクトかつ斬新に訴えかけるのか。17世紀に栄華を極めたイベリア半島のオルガン作品を、器楽作品へと翻案。元々が多彩な音色を持つオルガンを想定して書かれただけに、複数の奏者のアイディアと自発性により、より豊かな想像力の翼を得る。リコーダーの古橋潤一やヴァイオリンの川久保洋子ら古楽界の手練たちの絶妙のアンサンブルが、ガムランも能くする濱元智行らのプレイとも“化学反応”し、フラメンコどころか、ロックをも彷彿させる、個性的な響きの世界を創出。その魅力の前には、もはや作品の出自など、どうでも良いことに思えてくる。 (寺西 肇)高橋淳といえば、「カルミナ・ブラーナ」で、焼かれる白鳥の悲哀をコミカルに歌うソロの独自の濃いキャラクター作りが印象的で、すっかり彼の代名詞になった。もちろんレパートリーはバロックから現代、オペラから歌曲まで広範にわたり、この初ソロ・アルバムではイタリア歌曲を歌ってその魅力の一端を聴かせてくれる。選ばれているのはカンツォーネやトスティなどの歌謡性の高い近代歌曲が中心だが、声や旋律の心地よさに安易に身を任せて歌い飛ばしてしまうのではなく、生真面目とさえ感じる折り目正しさで、おなじみの名歌たちに正面から向かい合っている。(宮本 明)ポリーニが愛奏してきたショパンの新録音シリーズ第三弾は晩年の作品集。その指先から紡がれる音の輝かしい粒立ちが、楽譜に書かれた音符を隈なく照らす。それは「舟歌」ではヴェネツィアの川面にきらきらと光る陽光となり、「幻想ポロネーズ」では旋律線に潜む影を浮かび上がらせ、分厚いトリルから爆発する歓喜へと大きなクライマックスを形成する。「2つの夜想曲」では内省的な運びの中に和声の妙や転調を滋味豊かに描出。マズルカやワルツもフォームはきっちりとしているが、多彩なタッチや細やかなテンポの揺れによってニュアンスを繊細に作りこみ、ノーブルな愉悦を演出している。(江藤光紀)全篇に、凛とした覇気がみなぎる。圧倒的なテクニックと変幻自在の美音を武器に、先鋭的な活動を展開してきたフルートの加藤元章が、25年前に東京芸術劇場で行った“伝説のライヴ”。当時30代半ばだった名手は、この日、ピアノの名匠・東誠三と共に、20世紀を軸とする5つの佳品に挑んだ。要求される技巧は超絶そのものだが、美しく音楽的、しかも完璧に吹きこなす様は圧巻。東も鬼気迫る名演で対峙し、もはや“伴奏”の域を超えている。特に、ジョリヴェ「リノスの歌」は、白刃を交えるよう。途切れぬ緊張感の後だからこそ、アンコールで奏されたバッハの余韻は、いっそう胸に染みる。 (笹田和人)

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