eぶらあぼ 2017.2月号
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57曽根麻矢子 プロデュース チェンバロの庭 vol.1〈パリの庭〉バロック時代の貴族になった気分でどうぞ文:片桐卓也紀尾井午後の音楽会 花鳥風月 其の弐邦楽と洋楽を一度に楽しむ贅沢文:宮本 明3/22(水)19:00 Hakuju Hall問 Hakuju Hallチケットセンター03-5478-8700 http://www.hakujuhall.jp/『花』4/3(月) 『鳥』7/5(水) 『風』10/4(水) 『月』2018.1/17(水)各日13:30 紀尾井小ホール問 紀尾井ホールチケットセンター03-3237-0061 http://www.kioi-hall.or.jp/ チェンバロ(フランス語ではクラヴサン)のための音楽の最盛期と言えば、やはりフランソワ・クープラン(1668~1733)が活躍した17世紀後半から18世紀前半にかけてだろう。バロック音楽の巨匠ヨハン・セバスティアン・バッハもほぼ同じ時代の作曲家であり、この時期はヨーロッパの各地で様々な傑作が生まれた。 日本を代表するチェンバリスト(クラヴシニスト)である曽根麻矢子がHakuju Hallで『チェンバロの庭』という全3回のコンサート・シリーズを開催する。その第1回(3/22)は〈パリの庭〉というタイトルで、ダングルベール、F.クープラン、アーデル、フォルクレ、バルバットル、デュフリなどの作品が演奏される。 曽根が所有するフランス式2段鍵盤のチェンバロが使われるが、これは現代の名匠デヴィッド・レイの製作による 本誌の読者なら、東京・四谷の紀尾井ホールはよくご存知だろう。何度もコンサートに出かけている人も多いはず。でも、同じ建物の5階にある小ホールを訪れたことがある人となると、ぐっと少なくなるのでは。客席数250席の紀尾井小ホールは、貴重な邦楽専用ホール。東京の邦楽コンサートの中心地のひとつとなっている。 その紀尾井小ホールで、邦楽と洋楽のコラボレーションを楽しめるのが「紀尾井午後の音楽会」。昨年に続く4回シリーズの『花鳥風月』(其の弐)が、今年も4月から開催される。初回は「花」をテーマに、ヴァイオリンの篠崎史紀と長唄三味線方の今藤長龍郎を中心にした企画。邦楽と洋楽のコラボといっても、しかつめらしい現代音楽のそれとは違う。篠崎のヴァイオリンが、歌舞伎でも有名な、『勧進帳』で弁慶が舞う「延年の舞」に参加してしまうのだから、どんなセッションが生まれるのか興味津々。洋楽ファンにとっては、邦楽への入口としても好機だろう。前もの。白いボディに美しい装飾が施されている。庭園で戯れるフランス貴族の絵柄ということだが、曽根いわく「パリにはいくつも庭園があります。“パーク”(公園)ではなく、“ジャルダン”(庭園)なのです。公園と呼ぶよりお庭のほうがどことなく親密な感じがします。そこでお茶を味わう時に欠かせなかった楽器がクラヴサン。“貴族に招かれたクラヴサン奏者”として私は登場します。私自身のフランス時代の思い出などもお話しできそうです」とのことだ。 ナビゲーターを、バロック音楽に深い知識を持ち、コンサート・ソムリエとしても活躍する朝岡聡が担当するのも楽しみだ。回シリーズで篠崎は袴着物姿で登場していたので、今回はどうするのかも楽しみのひとつ。入江一雄(ピアノ)、杵屋勝眞規(唄)、望月太津之(囃子)他の共演。 シリーズのラインナップはこのあと、7月の『鳥』(カウンターテナー彌勒忠史、チェンバロ曽根麻矢子ほか)、10月の『風』(サクソフォン須川展也、マリンバ塚越慎子ほか)、18年1月の『月』(チェロ遠藤真理、ピアノ三浦友理枝ほか)と華やか。©Shunichi Atsumi今藤長龍郎篠崎史紀

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