eぶらあぼ 2017.2月号
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492/21(火)19:00 東京オペラシティ リサイタルホール問 東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999 http://www.operacity.jp/東京オペラシティ Bビートゥーシー→C 浜野与志男(ピアノ)ソ連時代の作曲家を独自にクローズアップ文:高坂はる香©Shigeto Imura 「バッハからコンテンポラリーへ」をテーマに、若手奏者が独自の感性に基づくプログラムを演奏する人気シリーズ『B→C』。その2月公演に、浜野与志男が登場。日本人の父とロシア人の母を持つ彼にとってロシアものは心に近い存在だといい、バロック時代の作品にソ連時代の作曲家を組み合わせたプログラムを披露する。 バッハとスカルラッティの間には、エストニアの作曲家ペルトの小品「アリーナのために」を挟む。そして、シチェドリンが、妻であるプリセツカヤのために書き上げたバレエ音楽「アンナ・カレーニナ」の中からプレトニョフ編曲版の2つの小品、近年注目度が増しているシルヴェストロフのピアノ・ソナタ第3番、そしてタタール共和国出身の女性作曲家グバイドゥーリナによる「シャコンヌ」を選曲。併せて浜野の友人だという網守将平の作品から、「破壊力にソヴィエト音楽との共通点を感じる」という「M7ATION / Ver.13」を取り上げる。浜野がその生い立ちの中で培った感性を発揮する一夜となりそうだ。2/25(土)19:00 紀尾井ホール問 オーパス・ワン042-313-3213 http://opus-one.jp/野尻多佳子(ピアノ) ~如月 音幻想 2017~繊細さと烈しいドラマが交錯する世界文:長井進之介 野尻多佳子は国内外でソロ、室内楽と多岐にわたる演奏活動で高く評価されるピアニスト。彼女の演奏会は毎回、詩情豊かなテーマを持っているのが特徴であり、この2月に紀尾井ホールで開催される公演も「如月 音幻想」のタイトルが冠されている。 ショパン「ソナタ第2番」に、リスト「ソナタ ロ短調」というロマン派のソナタの傑作を軸に、シューマン「子供の情景」、シルヴェストロフ「2つの小品」が並び、高い技巧と錯綜する感情や情景を描き出す音楽性をアピールする内容となっている。シルヴェストロフはウクライナ出身の現代作曲家だが、機能和声や旋法も駆使しながら“抒情性”を追求した作風であり、今回演奏される「ベネディクトゥス」と「サンクトゥス」という聖歌のタイトルを持つ2つの小品はそれを体現したもの。 奏者の息遣いまで伝わる紀尾井ホールで、繊細さと烈しいドラマが交錯する世界に浸ってみてはいかがだろうか。第367回 定期演奏会 2/26(日)15:00 広島文化学園HBGホール問 広響事務局082-532-3080 http://hirokyo.or.jp/クレメンス・シュルト(指揮) 広島交響楽団俊英指揮者と鬼才ピアニストが織りなすロマン派の傑作文:笹田和人ケマル・ゲキチクレメンス・シュルト 変幻自在なプレイで世界中の聴衆を魅了する、クロアチア出身のピアノの鬼才ケマル・ゲキチ。広島交響楽団の2月定期演奏会にソリストとして登場し、クレメンス・シュルト指揮で、リストの傑作・ピアノ協奏曲第1番に対峙する。 ユーゴスラヴィアのノヴィ・サド音楽院に学び、史上最高得点でディプロマを取得。リスト国際ピアノコンクールで第2位となるなど、難関登竜門で次々に実績を重ねるも、世間の評価は真っぷたつに。特に、85年のショパン国際コンクールの際、彼の本選進出がならなかったことに反発した審査員が次々に辞退する騒ぎとなった出来事は、これを象徴的に裏付ける。 指揮者のシュルトは、2016年にミュンヘン室内管弦楽団の首席指揮者に就任したドイツ楽壇期待の俊英。さらに、精鋭集団・広響とリストの傑作が相まっての“化学反応”の結果は、きっと凄いはず。そして、併演のシューマンの交響曲第1番「春」、メンデルスゾーンの序曲「美しいメルジーネの物語」と共に、コンサートのタイトル通りの「ロマンの謳歌」(チラシより)が堪能できよう。Photo:JUNKO TOMIYAMA
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