eぶらあぼ 2017.1月号
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57高関 健(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団颯爽たる「皇帝」とブラームスの“もう一つ”の交響曲文:オヤマダアツシ第14回 東京音楽コンクール 優勝者&最高位入賞者コンサート将来有望な若き才能たちの競演文:長井進之介第305回 定期演奏会2017.3/18(土)14:00 東京オペラシティ コンサートホール問 東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 http://www.cityphil.jp/2017.1/9(月・祝)15:00 東京文化会館問 東京文化会館チケットサービス03-5685-0650 http://www.t-bunka.jp/ 2016年はベルリオーズ作品を続けて取り上げた東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団だが、シーズン後半となる2017年1月~3月にプログラムの軸となるのはベートーヴェンの作品。高関健が指揮する3月の定期演奏会には、10代後半となってますます音楽的成長が楽しみな牛田智大がソリストとして登場し、ピアノ協奏曲第5番「皇帝」を演奏する。威厳のある皇帝というより、若き皇太子による爽快な音楽がホールに鳴り響くのだろうと楽しみになるが、感覚が鋭敏な10代真っ只中の音楽家だけに、期待を上回る演奏が聴ける可能性は大だろう。 後半に演奏されるのは、そのベートーヴェンから受け継がれたドイツ音楽の系譜を守り、ロマン派音楽の王道を築き上げたブラームスのピアノ四重奏曲第1番。もちろん演奏されるのは、“もう一つの交響曲”と呼ばれることがあるほど堅牢なオーケストレーションが施されたシェーンベルク編曲版だ。 これまで国内外で活躍する多くの音楽家を輩出してきた東京音楽コンクール。各部門に外国人審査員を迎えるなど新たなスタートを切った昨年に続き、今年も大きな変化を迎えた。金管部門でテューバが審査対象に加わり、最高位入賞者もテューバから出たのである。さらに声楽とピアノ部門では、初の韓国人優勝者の登場が注目を集めた。この話題性に富んだ今回の優勝者と最高位入賞者が一堂に会する「第14回 東京音楽コンクール 優勝者&最高位入賞者コンサート」が、東京文化会館で開催される。 ピアノ部門からはチョン・キュビンが出演。まだ10代ながら「透徹した技術と音楽」と評された演奏で、ベートーヴェンの「ピアノ協奏曲第3番」を聴かせてくれる。続いては、金管部門より木村皓一(テューバ)。審査員から「テューバ界の“強者”」と評された力強い音色でクーツィールの「テューバ数々のドラマが展開される第1楽章から、「ハンガリー舞曲集」と共通するロマ(ジプシー)風の味わいが印象的な第4楽章に至るまで、凝縮されたブラームス・サウンドを味わえるだろう。 シェーンベルクの編曲は先輩ブラーと弦楽オーケストラのための小協奏曲」を演奏する。「新しい歌唱スタイルを生み出すエネルギーとセンスの持ち主」と評された、声楽部門のアン・ジョンミン(バリトン)は、ヴェルディの《ドン・カルロ》のアリアなどを歌唱する。 彼らを力強く支えるのは、イタリアムスへの敬愛に満ちたものであり、決して奇をてらったものではないので、ブラームス・ファンを自認する方なら必聴の一作だ。高関&シティ・フィルの骨太で引き締まったサウンドが、スコアに内包される高度な精神を表出させる。を中心に活躍が目覚ましい指揮者、園田隆一郎と読売日本交響楽団。さらに今回も、軽妙なトークで人気の朝岡聡によって演奏後インタビューも行われ、演奏家の素顔に迫る予定だ。これからの音楽界を担う若き才能の熱演をぜひ見届けたい。牛田智大 ©Kunio Onishi木村皓一アン・ジョンミンチョン・キュビン高関 健 ©Masahide Sato
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