eぶらあぼ 2017.1月号
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52寺田悦子 & 渡邉規久雄 ニューイヤー・ピアノ・デュオ ~愛のワルツ~気持ちが華やぎ、元気になれるコンサートを目指して文:笹田和人ピエタリ・インキネン(指揮) 日本フィルハーモニー交響楽団気鋭のマエストロが切り開く新たなブルックナーの世界文:飯尾洋一2017.1/18(水)18:45 名古屋/ザ・コンサートホール問 クラシック名古屋052-678-5310 http://clanago.com/2017.1/19(木)19:00 紀尾井ホール問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 http://www.japanarts.co.jp/第687回 東京定期演奏会2017.1/20(金)19:00、1/21(土)14:00 サントリーホール問 日本フィル・サービスセンター03-5378-5911 http://www.japanphil.or.jp/ 共に日本を代表する名ピアニストとして活躍する一方、“楽壇きってのおしどり夫婦”としても知られる寺田悦子と渡邉規久雄。「聴くと、幸せな気分になれる」と評判のデュオでの活動も30年以上に。そんな2人が「愛のワルツ」と題し、連弾と2台ピアノを弾き分けるニューイヤー・コンサートを開く。 「毎回、プログラミングには頭を悩ませています。年始に相応しく、穏やかで平和な曲、明るく元気になれる曲をと、考えました。今回は、新年のご挨拶を兼ねた軽いトークを織り交ぜながら、気持ちが華やぎ、元気になれる音楽会にしたい」と話す。 前半は、19世紀後半の作品をまとめて。「ウィーンのニューイヤーを意識して…」のJ.シュトラウスⅡの喜歌劇《こうもり》序曲で幕開け。そして、「作曲家が本来持っていたポジティブな性格を反映する、人生の希望が感じられるワルツで、いつか弾きたいと温めていた」と評するブラームスのワルツ集「愛の 日本フィルハーモニー交響楽団の新たな首席指揮者として注目を浴びるピエタリ・インキネンが、1月の東京定期演奏会でブルックナーの大曲、交響曲第8番に挑む。インキネンの首席指揮者就任後、初となる記念すべき東京定期が本公演。すでに多数の共演を重ねる同コンビなので、これが初の東京定期というのも意外に感じるが、門出の公演にブルックナーを持ってきたあたりは、新シェフの所信表明とでもいえるだろうか。インキネンにとって、ブルックナーが特別なレパートリーであることをうかがわせる。 フィンランドの俊英インキネンは、もとよりワーグナーやブルックナーといった重厚なドイツ音楽を好んでとりあげる指揮者である。2017/18シーズンからは、ザールブリュッケン=カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルの首席指揮者に就任することも決まっている。しかし、インキネンのブルック歌」、「のどかな自然との語らいや素朴な踊りが心和ませてくれる」というグリーグ「ペール・ギュント」第1組曲から3つの旋律を弾く。 後半は、2台ピアノによる近代20世紀の響き。まずは、「透明な美しさを持った3拍子で、優雅な輝きを感じる逸品」というハープと弦楽四重奏のためのラヴェル「序奏とアレグロ」を作曲者自身による編曲で。そして、「音楽の対話と共鳴、そして時に挑戦…2台ピアノの醍醐味が満載の立体的な響きを堪能していただければ」というラフマニノフの「組曲第2番」で締め括る。ナーが、ドイツの伝統を受け継ぐような重々しく巨大な音楽になるかといえば、そこは微妙なところかもしれない。これまでの日本フィルとの共演から察するに、インキネンはブルックナーに重厚さだけではなく、透明感や精妙さを同時に求めているように思える。 ブルックナーの交響曲はいずれの作品にもこの作曲家特有の宗教的な恍惚感があふれているが、なかでもこの交響曲第8番は格別。インキネンと日本フィルが独自の美の世界を切り開いてくれることを期待している。©Akira Mutoピエタリ・インキネン ©堀田力丸

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