eぶらあぼ 2017.1月号
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46©Naoya YamaguchiNHK交響楽団 第1855回定期公演 Aプログラム2017.1/28(土)18:00、1/29(日)15:00 NHKホール問 N響ガイド03-5793-8161 http://www.nhkso.or.jp/下野竜也(指揮)渾身の音楽に平和へのメッセージを聴く取材・文:柴田克彦Interview NHK交響楽団2017年1月定期のAプログラムを指揮するのは、同世代きっての実力者・下野竜也。彼は、05年の初共演以来何度も同楽団に客演し、定期の指揮も6回目となる。 「N響は演奏する全ての音に意味と重みがあり、自分の力がダイレクトに返ってきます。それと同時に、可能な限り曲を選べますので、前回(14年)の定期では、ドヴォルザークの交響曲第6番を取り上げました」 今回は、「その繋がりもあって」前半にチェコの作品、マルティヌー「リディツェへの追悼」とフサ「プラハ1968年のための音楽」、後半にブラームスのヴァイオリン協奏曲を置いた、若干珍しいプログラムが組まれている。 「前半2曲は戦時中の残虐な行為と弾圧への祈りや怒りが込められたメッセージ性の強い作品で、後半は人間賛歌ともいうべき音楽。どちらも同じ人間が作ったものであることに恐怖すら感じます。ただ、希望や平和な気持ちをもって会場を後にして欲しいので、あえてブラームスを後半に置きました」 マルティヌーの作品は、ナチスの将校を暗殺した人々を匿ったことで壊滅させられた村のための追悼曲。 「全編にわたって祈りのような音楽が続きます。クライマックスにベートーヴェンの『運命』の一節が登場し、しかも美しく終わる。そこに怖さがありますし、それが意味するものを感じていただきたいと思います」 フサの曲は、ソ連軍のプラハ侵攻への怒りに充ちた、吹奏楽の傑作の管弦楽版。下野は複数の楽団で演奏し、作曲家自身から手紙ももらっている。 「聴き手を捉えて離さない、エネルギーと緊張感をもった作品。元々吹奏楽曲なので管打楽器が活躍しますし、打楽器だけの第3楽章ではN響のパーカッション奏者たちの演奏も見どころです。それにこうした悲劇によって生まれた作品を聴くと、平和な当たり前の生活を守り、次世代に繋げていくことが我々の責任であるのを痛感します。これらを最高クラスの楽団と取り組み、放送を通じて全国の方々にも聴いてもらえることに感謝したいですね」 ブラームスのソロは、ハンガリーの俊英クリストフ・バラーティ。 「彼は、N響15年5月定期のバルトークの成功によって再登板となった名手で、私も3年前にブラームスで共演しています。今回は音楽の要素が全て凝縮された名作を、ヴァイオリンを高らかに鳴らす王道の演奏で聴けるのが楽しみ。第3楽章ではハンガリー人のもつリズムが生きるでしょう。それにオーケストラが雄弁な協奏曲ですから、独墺音楽のDNAをもつN響の、底鳴りがして温かなブラームス・サウンドを味わっていただきたいと思います」 興味津々の本公演。下野が語る通り「演奏時間は長くはないものの、非常に内容の濃い演奏会」ゆえに、ぜひ足を運びたい。2017.1/19(木)、1/20(金)各日19:00 横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fホール問 現代舞踊協会03-5457-7731 http://www.gendaibuyou.or.jp/新進舞踊家海外研修員による現代舞踊公演坂田 守 × 長谷川まいこ『Coco』 米沢麻佑子 × 幅田彩加『跡』注目の二組が紡ぐ清新なる世界文:高橋森彦幅田彩加 文化庁の新進芸術家海外研修制度に選ばれ海外留学した現代舞踊家が、その成果を世に問う『新進舞踊家海外研修員による現代舞踊公演』。本年度は「新進舞踊家ふた組による熱い競演 ふたりで創る 新たな世界」という惹句である。 坂田守と長谷川まいこは、仏・パリに留学し、「Tarinof dance company」を結成して欧州のコンペティションで受賞を重ねた。今回は2016年夏に二人が踊った『Coco』を群舞版として再構築する。フィジカルの強さが半端なく、空間造形も緊密な彼らの持ち味を堪能できそうだ。 米沢麻佑子と幅田彩加は、早くから天才肌として名をはせる逸材で、共に名伯楽の黒沢輝夫・下田栄子に学び、名門・筑波大学ダンス部の先輩後輩でもある。留学先も同じ米・ニューヨークだが共作は今度の新作『跡』が初めて。二人が織り成す繊細かつスリリングな群舞作品に時を忘れて魅入られるだろう。 確かな技量と豊かな個性を兼ね備えた二組が紡ぐ清新な世界に注目したい。米沢麻佑子長谷川まいこ坂田 守
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