eぶらあぼ 2017.1月号
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45ディートリヒ・ヘンシェル(バリトン)名匠によるドイツ・リートの“王道”文:宮本 明 不世出の名ドイツ・リート歌手フィッシャー=ディースカウの存在は、あとに続くバリトン歌手たちにとって大きすぎて、今後は彼と比較してはいけないのではないかとさえ思っていたが、そんなことはなかった。ディースカウ亡きあとのリート界にも、後継たるべき名バリトンたちが続々と名乗りをあげている。多くのディースカウ門下の中で、早くから最も師を彷彿とさせる歌いぶりを示していたのがディートリヒ・ヘンシェルだ。 もちろん師のコピーなどではない。1967年生まれで近く50歳を迎える。そ2017.2/19(日)14:00 トッパンホール問 オーパス・ワン042-313-3213 http://opus-one.jp/他公演 2/18(土)豊田市コンサートホール(0565-35-8200)の美しい声の響きと深い表現力にはますます磨きがかかり、独自の高みを極めつつある。8年ぶりの来日公演では、〈魔王〉などシューベルトの名曲集と、シューマンの最高峰「リーダークライス」を歌う。ピアノは長く共演を重ねているパートナーの岡原慎也。というより、日本にヘンシェルを紹介したのが彼と言っていい盟友だ。深い信頼で結ばれたデュオが丁寧に紡ぐ最上のリートの世界。2017.1/22(日)14:00 Hakuju Hall問 プロアルテムジケ03-3943-6677http://www.proarte.co.jp/髙橋治子(マリンバ)マリンバ音楽の魅力を多角的に伝える文:笹田和人 「時代とともに変化し続けている現代のマリンバ音楽。その多様な世界の醍醐味を探究し、より多くの方にお伝えしたい」。そんな熱い思いと共に、精力的な演奏活動を展開するマリンビストの髙橋治子。自身のリサイタルで、先鋭的かつ多彩な6つの佳品に対峙しマリンバの魅力を多角的に伝える。 3歳からマリンバを始め、武蔵野音楽大学や同大学院に学んだ。イタリアで開かれた第1回国際打楽器フェスティバルにおける国際打楽器コンクール・マリンバ部門の第1位をはじめ、数々の登竜門で入賞。2015年の初リサイタルをはじめ、多くのステージで活躍。武蔵野音楽大学や、都留文科大学などで、後進の指導にも力を注いでいる。 今回のリサイタルは、ピアノの石川和男が共演。西村朗「ウォーター・ヴォイス」とプッツ「リチュアル・プロトコール」のデュオ作品をはじめ、一柳慧「源流」など邦人作曲家によるソロ作品、さらにピアッティ「12のカプリス」と他楽器のための作品からの編曲まで、表情豊かで奥の深い、マリンバ音楽の世界への扉を開く。2017.1/17(火)19:00東京オペラシティ リサイタルホール問 東京オペラシティチケットセンター  03-5353-9999http://www.operacity.jp/Bビートゥーシー→C 依田真宣(ヴァイオリン)バッハへの敬愛をこめた渾身の挑戦文:柴田克彦©Michiharu Okubo 2017年最初の「B→C」は、東京フィルのコンサートマスター、依田真宣。1985年生まれの彼は、東京芸大を経てソリストやゲスト・コンマスとして活動し、2015年4月から現職にある。 まず基本の“B=バッハ”は無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番。「シェリングの演奏に衝撃を受け、バッハという作曲家が自分の中でとても大切な存在になった」と語る、原点ともいうべき作品だ。当シリーズには入りにくいロマン派=メンデルスゾーンのソナタの選曲も特徴的。これは「バッハと同じ位大切な作曲家。不思議な魅力と人間への愛が沢山含まれている」がゆえに選ばれた。“C=コンテンポラリー”は、シュニトケ、ファジル・サイ、池辺晋一郎の作品。中でもサイには「大好きな音楽家で、作品も本当に魅力的」と心を寄せる。同曲と池辺の無伴奏の難曲も要注目だ。「バッハへ共感している作曲家と、自分自身の彼らへの共感度の強さ」を視点に組まれたこのプログラムは、「今の自分の音楽を全て出せる選曲」と力も入る。 ピアノはベテランの山田武彦。東京フィルの明日を担う精鋭の真摯かつ意欲的なステージにぜひ触れたい。

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