eぶらあぼ 2017.1月号
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滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールは、関西随一のオペラ劇場として、一流のオペラやバレエに加えコンサートも開催。また、国内外の実力派アーティストが充実したアンサンブルやソロも披露するほか、講座なども開催しています。このコーナーではびわ湖ホールが主催する注目の公演をご紹介します。びわ湖ホールPreviewびわ湖ホールチケットセンター077-523-7136 https://www.biwako-hall.or.jp/文:横原千史名技が冴えるオペラ・ブッファの傑作と、進化著しい小菅 優の“特別な”リサイタルびわ湖ホール オペラへの招待ドニゼッティ作曲 歌劇《連隊の娘》(全2幕)フランス語上演・日本語字幕付2017.2/11(土・祝)、2/12(日)各日14:00 びわ湖ホール 中ホールびわ湖ホール名曲コンサート「小菅 優 ピアノ・リサイタル」2017.2/4(土)14:00 びわ湖ホール 大ホール留学中で、今年のペーザロのロッシーニ・オペラ・フェスティバルで主要な役で出演し、大いに評判をとっている。そんな彼らの歌う第1幕のアリア〈友よ、なんて楽しい日!〉の「ハイC」の連発は聴き手を興奮の坩堝に誘うに違いない。 マリーを歌う藤村江李奈(2/11)と飯嶋幸子(2/12)(ダブルキャスト)にも、第1幕〈さようなら〉や第2幕〈お金も地位も〉など、コロラトゥーラのテクニックを駆使したアリアでの健闘が楽しみだ。指揮者の園田隆一郎は本場でも度々指揮するイタリア・オペラのスペシャリストであり、びわ湖ホールでも《フィガロの結婚》、《ドン・キホーテ》等で好評を博した。演出の中村敬一は「びわ湖ホール オペラへの招待」の常連、今回も親しみやすい舞台となるだろう。大阪交響楽団のサウンドも楽しみだ。また上演前には作品により親しめるよう、中村の分かりやすい解説も用意されているのも嬉しい。間違いなくお薦めの舞台である。 一流の演奏家を毎回迎えている 好企画「びわ湖ホール オペラへの招待」。今回はドニゼッティの《連隊の娘》を取り上げる。オペラといえば難しいとか入場料が高額とかで敷居が高いと思われがちだが、この「オペラへの招待」シリーズは、毎回びわ湖ホール声楽アンサンブル中心の若い歌手陣の卓抜した演技と水準の高い歌唱、しかもリーズナブルな料金設定がなされており、初心者からオペラ通まで幅広い観衆が楽しめるように工夫されているのだ。 《連隊の娘》は言うまでもなく、ドニゼッティのオペラ・ブッファ(喜歌劇)の代表作で、軽妙洒脱な笑いに満ちた傑作だが、それだけではなく、歌手に超絶技巧を要求するオペラとしても有名だ。とりわけ、連隊の娘マリーの恋人トニオは、テノールの限界と呼ばれる「ハイC」(高いドの音)が9回も出てくるアリアのある難役である。今回の上演の最大の注目は、トニオを歌う二人の若いテノール、山本康寛(2/11)と小堀勇介(2/12)(ダブルキャスト)。山本はびわ湖ホール声楽アンサンブル出身でソロ登録メンバーとして様々なオペラで活躍している。小堀は昨年の《竹取物語》でびわ湖ホールデビューして注目された。二人とも現在イタリアに「びわ湖ホール名曲コンサート」に小菅優が登場する。小菅といえば、完結したベートーヴェンのソナタ全曲演奏会とCD録音が記憶に新しい。筆者もその大半を聴いているが、その音楽のスケールの大きさ、確かなテクニック、硬軟使い分ける音色の多彩さなど、驚くべき完成度といわねばならない。またツィクルスの後半に行くに従って、ベートーヴェンに対する理解度が深まり、最後の後期ソナタは更なる高みに上り詰めたようだった。 今回のリサイタルでは前半にそのベートーヴェンから「月光」と「ワルトシュタイン」という大作を取り上げる。後半は、湖畔の劇場にふさわしい“水”にちなんだ曲を集める。まず没後20年の武満徹の2つの「雨の樹 素描」。小菅の透明な美音が楽しめるだろう。リストの「エステ荘の噴水」「バラード第2番」も水に関係がある名作。さらに官能的な法悦を描く「イゾルデの愛の死」など、小菅の面目躍如たるヴィルトゥオーゾ・プログラムとなっている。ドニゼッティ《連隊の娘》小菅 優ピアノ・リサイタル園田隆一郎 ©Fabio Parenzan山本康寛小堀勇介小菅 優 ©Marco Borggreve

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