eぶらあぼ 2017.1月号
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1683月の見もの・聴きもの2017年3月の曽そし雌裕ひろかず一 編〔Ⅰ〕オーストリアウィーン国立歌劇場3月2、5、9日 モーツァルト:ドン・ジョヴァンニ指/A.フィッシャー、演出/J.L.マルティノーティ、出/A.プラチェトカ、A.シャギムラトヴァ、S.ピルギュ、O.ベズスメルトナ3月3、8日 プッチーニ:トゥーランドット 指/P.カリニャーニ、演出/M.A.マレッリ、出/E.パンクラトヴァ、M.ロイダー、R.S.グリーン、S.ラ・コッラ、A.ハルティヒ3月7日 D.ホロストフスキーBr 共/I.イリヤp3月11、14、17、20日 R.シュトラウス:アラベラ指/P.シュナイダー、演出/S.E.ベヒトルフ、出/W.バンクル、C.ニュールンド、C.レイス、B.スコウフス、J.カイザー3月12、15、19日 ワーグナー:トリスタンとイゾルデ指/M.フランク、演出/D.マクヴィカー、出/S.グールド、ヨン・クワンチュル、P.ラング、M.ゲルネ、S.コシュ3月18、21、25日 グノー:ファウスト 指/S.ヤング、演出/N.ジョエル、出/J.F.ボラス、L.ピサロニ、O.イルディス◎3月24日 E.グルベローヴァS 共/P.ヴァレントヴィチp3月26、28、31日 マスネ:ウェルテル 指/F.シャスラン、演出/A.シェルバン、出/L.テジエ、A.エレート、S・コシュ3月29日 ロッシーニ:アルジェのイタリア女指/E.ピド、演出/J.P.ポネル、出/A.プラチェトカ、M.ミロノフ、M.グリツコヴァ★◎3月30日 ワーグナー:パルジファル[プレミエ] 指/S.ビシュコフ、演出/A.ヘルマニス、出/G.フィンリー、H.P.ケーニヒ、C.ヴェントリス、N.シュテンメウィーン・フォルクスオーパー[会場:無印=ウィーン・フォルクスオーパー(ウィーン)、(KS)=カジノ・アム・シュヴァルツェンベルクプラッツ(ウィーン)]3月1(20:00)(KS)日 M.トロヤーン:シチリアのレモン[17年2月プレミエ] 演出/M.ペルツゲン3月3(19:00)、8(19:00)、13(19:00)、16(19:00)、21(19:00)、28(19:00)日 モーツァルト:ドン・ジョヴァンニ 演出/A.フライヤー3月4(18:30)、10(19:00)、24(19:00)日 レハール:メリー・ウィドウ 演出/M.A.マレッリ3月5(16:30)、7(19:00)、9(19:00)、11(19:00)、15(19:00)、18(19:00)、20(19:00)、27(19:00)日 F.レッサー:努力しないで出世する方法(ミュージカル)[17年2月プレミエ] 演出/M.ダヴィッズ3月6(19:00)日 ロッシーニ:セビリアの理髪師 演出/J.E.ケップリンガー3月12(16:30)、17(19:30)、19(16:30)、26(19:00)日 W.R.ハイマン:会議は踊る 演出/R.マイヤー3月14(19:00)、23(19:00)、30(19:00)日ヨハン・シュトラウスⅡ:こうもり 演出/R.ヘルツル、新校訂演出/H.ツェドニク★3月25(19:00)、29(19:00)日 カタラーニ:ラ・ワリー[プレミエ] 演出/A.シュティールアン・デア・ウィーン劇場★◎3月17(19:00)、19(19:00)、21(19:00)、24(19:00)、26(19:00)、28(19:00)日 ロッシーニ:イングランドの女王エリザベッタ[プレミエ]指/J.C.スピノージ、演出/A.ニールマイヤー、出/A.デショーティーズ、N.ラインハルト、I.エーレンス、N.カヴァレク、B.バンクス、演奏/アンサンブル・マテウス◎3月22(19:00)日 モンテヴェルディ:ウリッセの帰還(演奏会形式) 指/R.ヤーコプス、出/S.ドゥグー、K.ブラディチ、A.Z.ジュスティニアーニ、M.スターヴェラン、M.C.シャピュイ、演奏/B'Rock(バロック・オーケストラ)◎3月30(19:00)日 N.A.ポルポラ:ドイツのジェルマニコ(演奏会形式) 指/J.T.アダムス、出/M.E.チェンチッチ、M.E.ネジ、J.レジネヴァ、演奏/カペラ・クラコヴィエンシスウィーン・フィル[会場:無印=ムジークフェライン(ウィーン)、(NP)=ヘイズ・ホール[アーティス=ネープルズ](ネープルズ/アメリカ)、(P)=シャンゼリゼ劇場(パリ)、(F)=アルテオーパー(フランクフルト)、(D)=コンツェルトハウス(ドルトムント)]3月1(20:00)(NP)日 F.ウェルザー=メスト指揮シューベルト:魔法の竪琴〜序曲、R.シュタール:タイム・サイクリング、R.シュトラウス:英雄の生涯3月3(20:00)(NP)日 F.ウェルザー=メスト指揮ブラームス:ピアノ協奏曲第1番、シューベルト:交響曲第7番「未完成」、バルトーク:中国の不思議な役人(組曲) 独/R.ブッフビンダーp3月18(15:30)、19(11:00)、21(19:30)、22(20:00)(P)、23(19:30)、25(20:00)(F)、26(16:00)(D)日 A.ネルソンス指揮 ドヴォルザーク:チェロ協奏曲、ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」 独/T.ヴァルガvcウィーン響[会場:(KH)=コンツェルトハウス(ウィーン)、(MV)=ムジークフェライン(ウィーン)]3月4(19:30)(KH)、5(15:30)(KH)日 P.ジョルダン指揮 バッハ:ヨハネ受難曲 独/W.ギューラT、A.エレートBr、G.キューマイヤーS、E.クールマンA、D.ベーレT、F.ベッシュBr3月8(19:30)、9(19:30)、10(19:30)日 P.ジョルダン指揮 ベートーヴェン:交響曲第4番、第5番「運命」3月18(19:30)(KH)、19(11:00)(KH)日P.ジョルダン指揮 バルトーク:ピアノ協奏曲第3番、ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」独/F.F.ギーp【本文中の記号】★=プレミエ[新演出]公演、◎=注目公演 3月はベルリンに注目すべき新ホールのオープンという興味深いニュースがある。指揮者のバレンボイムが2012年に創設したバレンボイム=サイード・アカデミー(改装中のベルリン州立歌劇場に近接し、もともとは同歌劇場のセット保管庫であった建物)の中に新設されたピエール・ブーレーズ・ザールがそれだ(http://boulezsaal.de/)。ブーレーズ・アンサンブルなる室内アンサンブルやバレンボイム自身のピアノを中心とした演奏会で3月4日に幕を開くが、4月以降はシュターツカペレ・ベルリンのシューベルト・ツィクルスなど規模の大きな演奏会も増えてゆく。 さて、同じベルリンでも、3月のベルリン・フィルには、いよいよ次期常任指揮者のキリル・ペトレンコが登場する。ポスト決定後の初めての登壇、しかも今シーズン唯一のプログラムということで、いやがうえにも期待が高まる。メインに名曲中の名曲であるチャイコフスキーの「悲愴」を配して、いきなりその真価を問う自信が吉と出るのか凶と出るのか、その結果を世界中のファンが注目する。 もう一つ、トーマス・ヘンゲルブロックが客演するロイヤル・コンセルトヘボウ管も要注目公演。何が注目かというと、共演する合唱団にヘンゲルブロック自らが主宰するバルタザール・ノイマン合唱団を連れてくることだ。この合唱団の精度の高さは今さらあれこれ解説するには及ばず、団員全員がソロ歌手としても通用するハイパー合唱団で、今回の演奏会でも声楽のソロ部分は全て合唱団のメンバーが担当する。独唱と合唱の目指す音楽性がまさに一体となったモーツァルトの「レクイエム」というのは、一聴の価値ある演奏に違いない(ちなみに、3月から4月にかけて行われるバルタザール・ノイマン・アンサンブルのバッハ『ヨハネ受難曲』ツアーでは、さすがにエヴァンゲリスト役その他にゲスト歌手を配している)。 上記2公演の他では、ラトル=ベルリン・フィルのHKグルーバー:ピアノ協奏曲、ケント・ナガノの客演するベルリン・ドイツ響とミュンヘン・フィル、ヤンソンスがリームの現代曲に挑戦するバイエルン放送響、メッツマッハーが指揮するショスタコ15番(バンベルク響)やマーラーの7番(SWR響)、元気で登場してほしいプレートル指揮のスカラ・フィルなど、どれも要注目の公演。 一方、オペラでは、相変わらず魅力ある企画を提供するアン・デア・ウィーン劇場のピリオド系オペラ(スピノジやヤーコプスの指揮)、キース・ウォーナーが演出を担当するブゾーニ「ファウスト博士」(ドレスデン・ゼンパーオーパー)、先月号で紹介したOpernwelt誌で年間最優秀歌劇場の票を集めたシュトゥットガルト歌劇場のヘンデル「アリオダンテ」、ネッロ・サンティ指揮の「椿姫」(ミラノ・スカラ座)、ゼッダの指揮するロッシーニ「イタリアのトルコ人」(ボローニャ歌劇場)、ビエイト演出の「カルメン」(パリ・オペラ座とフェニーチェ歌劇場)、同じパリ・オペラ座でドゥヴィエルの出演するベルリオーズ「ベアトリスとベネディクト」、ドミンゴ出演のマスネ「タイス」(リセウ大劇場)、ミンコフスキ指揮のモーツァルト「ドン・ジョヴァンニ」(ヴェルサイユ/オペラ・ロワイヤル。8月のドロットニングホルム・フェスティバルでのプロダクション)、ホールテン演出のワーグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガー」(英国ロイヤルオペラ)などが注目公演。 ただ、何と言っても、個人的には、パリのシャンゼリゼ劇場でメゾ・ソプラノのフォン・オッターが開く「愛のシャンソン・リサイタル」というのがとっても気になって仕方がないのだが…。(曽雌裕一・そしひろかず)(コメントできなかった注目公演も多いので本文の◎印をご参照下さい)

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