eぶらあぼ 2017.1月号
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154CDCDSACDCDショパン:エチュード&バラード/辻井伸行Eternally~永遠のジゼル~/山形由美ハイドン:交響曲集 Vol.1/飯森範親&日本センチュリー響アフターグロウ~残像~/進藤麻美ショパン:12のエチュード op.10、バラード第1番~第4番辻井伸行(ピアノ)アダン:永遠のジゼル/リュリ:パッサカイユ/グルック:精霊の踊り/モーツァルト:ロンド K.Anh.184/バルトーク:ルーマニア民俗舞曲/チャイコフスキー:感傷的なワルツ/ピアソラ:カフェ1930/加藤昌則:フルートとピアノのためのカプリス~旅する笛~ 他山形由美(フルート)菅野 潤(ピアノ)金子鈴太郎(チェロ)ハイドン:交響曲第6番「朝」・第17番・第35番飯森範親(指揮)日本センチュリー交響楽団モンポウ:湖/ヴィラ=ロボス:オリオン座の3つの星/メンデルスゾーン:甘い思い出/リスト:ラ・カンパネラ/スコット:蓮の国/ドビュッシー:月の光/ラヴェル:ソナチネ/ヴァイン:ピアノ・ソナタ第1番 他進藤麻美(ピアノ)エイベックス・クラシックスAVCL-25913 ¥3000+税イマジンベストコレクションIMGN-5003 ¥2900+税収録:2015.6/5、いずみホール(ライヴ)オクタヴィア・レコードOVCL-00610 ¥3200+税ナミ・レコードWWCC-7825 ¥2500+税辻井伸行は、数々のショパン作品を発表しており、本作は2015年リリースのソナタ集に続くオール・ショパン・アルバム。「練習曲」は透明度の高い水が流れるような演奏で、「10-1」や「10-5」で聴かせる音の輝き、「別れの曲」や「10-6」から伝わる控えめな感傷は辻井ならでは。一方のバラード全4曲ではのびのびと情感を投入しながらドラマを描いてゆく。濃密な低音を思い切りよく響かせる第1番からは、力強く思いをぶつける新しい辻井の一面を垣間見るよう。暖かい音と感情的な音のコントラストが随所に光る第3番も良い。聴き終えると、爽やかな感動ですっきりした気持ちになる。(高坂はる香)山形由美のデビュー30周年記念アルバムは、少女時代をバレエ一色で過ごした彼女らしい、バレエをテーマにした作品集だ。収録曲は、アダン、グルック、チャイコフスキーなどバレエやダンスにまつわる作品。加藤昌則の編曲も素晴らしい、喜びと哀しみが交錯する表題作や、モーツァルトの「ロンド」では、上品で凛とした音色が秀逸で、聴けば聴くほど心が清められる。また、バルトーク「ルーマニア民俗舞曲」や、ピアソラ「カフェ1930」のような濃密な作品を、あえて芝居気を極力抑えて描いているのも山形らしい。30年の集大成と、今後のさらなる飛躍への期待を、同時に味わえる1枚だ。(渡辺謙太郎)飯森範親と日本センチュリー交響楽団は、昨年から「ハイドンマラソン」と題して、遠大な交響曲全曲シリーズを続けている。本CDはその第1回ライヴ。第6番「朝」は、29歳のハイドンがエステルハージ宮廷の副楽長として着任直後の曲で、若々しい気概と覇気に満ち溢れている。また名手揃いのオーケストラに感激して、様々なパートに独奏を配してもいる。飯森とセンチュリー響はその名作を実に爽やかに、端麗な響きで描ききっている。より古典的なスタイルを持つ第17番との違いもくっきり。第35番冒頭楽章の前進駆動エネルギー、凝った中間楽章、ウキウキする終曲と充実。(横原千史)アフターグロウ(残像)をテーマに掲げ、愛する近現代のピアノ作品をギュッと一枚に詰め込んだ進藤麻美の意欲的なデビュー盤。モンポウの「湖」やヴィラ=ロボスの「オリオン座の3つの星」、ラヴェルの「ソナチネ」などは、きめ細やかなテクスチュアがキラキラと輝く。メンデルスゾーン「甘い思い出」やスコット「蓮の国」は旋律美を冷静に浮かび上がらせる。圧巻のヴァインのピアノ・ソナタ第1番は、テクニカルな面白さと構造美をクールに提示。進藤はリューベック音大に学び、国際的な受賞歴を持つ。小品から大曲まで、選曲の妙を含め、聴き応えある一枚だ。 (飯田有抄)

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