eぶらあぼ 2016.12月号
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53ヤクブ・フルシャ(指揮) 東京都交響楽団躍進顕著な俊才が戦後の傑作交響曲を解明文:柴田克彦新日本フィルハーモニー交響楽団落語 & オーケストラ ニューイヤー・コンサート 2017 in すみだ曳舟笑いとオーケストラ・サウンドが開く新年の幕明け文:飯田有抄第822回 定期演奏会 Aシリーズ12/19(月)19:00 東京文化会館問 都響ガイド03-3822-0727 http://www.tmso.or.jp/2017.1/4(水)15:00 曳舟文化センター 劇場ホール問 トリフォニーホールチケットセンター03-5608-1212 http://www.triphony.com/ 前回から少し間が空いたので、待望の思いひとしおだ。12月の都響定期に首席客演指揮者ヤクブ・フルシャが登場する。1981年チェコ生まれの彼は、チェコ・フィルの常任客演指揮者を務め、欧米の一流楽団にも定期的に出演する俊才。しかもこのところロイヤル・コンセルトヘボウ管、ミラノ・スカラ座フィル、ウィーン国立歌劇場等へデビューし、今年9月にはバンベルク響の首席指揮者に就任するなど、その活動は充実を極めている。こうした勢いの中で、大野和士音楽監督就任後の都響を初めて振る今回は、快演が続いた以前にも増して注目が集まる。 特に目をひくのが、マルティヌーの交響曲第5番とショスタコーヴィチの交響曲第10番が並ぶ公演だ。国際マルティヌー協会の会長を務めるフルシャは、都響でも、全曲演奏を目指す交響曲(3、4、6番)をはじめ、同作曲家 笑いと朗らかな音楽で、新しい1年をスタートしたい。そんな方にぴったりなコンサートが新日本フィルハーモニー交響楽団の『落語&オーケストラ ニューイヤー・コンサート 2017』だ。会場は、曳舟文化センター。劇場ホールは582席という大きさで、落語とオーケストラの組み合わせを楽しむには絶妙なサイズの空間だ。 第1部には落語家の古今亭志ん輔が登場する。NHK-FMの「名曲リサイタル」パーソナリティを経て、新日本フィルとはファミリーコンサートで共演。幅広い世代の音楽ファンに親しまれる志の作品を次々に披露。当コンビの看板レパートリーともなっている。今回の5番は1946年に書かれたマルティヌー充実期の所産で、複調、ボヘミアの旋法、ドゥムカ等を織り交ぜながら万華鏡のように音楽が変化する。ここは、最大の理解者が伝えるマルティヌー再発見の喜びに浸りたい。ショスタコーヴィチの10番は、1953年に書かれた20世紀屈指の傑作交響曲。スタイリッシュな表現も重厚な表現も可能だし、暗号や隠れたメッセージの扱いを含めて、フルシャのアプローチに熱視線が注がれる。共に“ダイナミックかつ古典性を有しながら、一筋縄ではいかない交響曲”。複雑な曲も明快に構築し、引き締まった活力をもたらす当コンビにん輔師匠が、どんな話で初笑いを届けてくれるのか楽しみだ。またこの第1部には、紙切りの林家楽一も出演。日本に伝わる即興的な妙技も堪能できる。 第2部は新日本フィルによる演奏、そしてソプラノの小林沙羅が可憐で華やかな歌声を聞かせる。アメリカをベースに活躍中の若手指揮者、原田慶太楼を迎え、賑やかで楽しいプログラムが用意されている。 J.シュトラウスIIの喜歌劇《こうもり》序曲で幕開けし、素早いテンポの「雷鳴と雷光」、ニューイヤーには欠かせない「美しく青きドナウ」を含むポルカやワルツが続く。小林沙羅が歌うのは、プッチーニの歌劇《ラ・ボエーム》からムゼッタのアリア〈私が街を歩くと〉を含む3曲。コンサートの締めくくりは、外山雄三の「管弦楽のためのラプソディー」。日本の旋律やリズムで熱く盛り上がるオーケストラの名曲で、元気に新春を迎えよう。はピッタリの作品だけに、新鮮な名演が期待される。原田慶太楼新日本フィルハーモニー交響楽団 ©K.MIURA小林沙羅 ©武藤 章古今亭志ん輔ヤクブ・フルシャ © Petra Klacková

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