eぶらあぼ 2016.12月号
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51ウィーン・シュトラウス・フェスティヴァル・オーケストラ ニューイヤー・コンサート2017新年の幕開けは本場のウィンナ・ワルツで!文:笹田和人シルヴァン・カンブルラン(指揮) 読売日本交響楽団“フランス管弦楽の精華”を聴く好企画文:江藤光紀2017.1/7(土)14:00 兵庫県立芸術文化センター(0798-68-0255)1/8(日)15:00 よこすか芸術劇場(046-823-9999)1/9(月・祝)14:00 大田区民ホール・アプリコ(03-3750-1555)1/12(木)19:00 サントリーホール(ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040)http://www.japanarts.co.jp/第600回 名曲シリーズ 2017.1/25(水)19:00 サントリーホール問 読響チケットセンター0570-00-4390 http://yomikyo.or.jp/ 数ある演奏団体の中で、「世界に対して、ウィーン市を代表するオーケストラ」とJ.シュトラウスⅠ没後150年にあたる1999年、市当局から唯一、“太鼓判”を押されたのが、「ウィーン・シュトラウス・フェスティヴァル・オーケストラ」。伝統的な様式と響きを堅持して芸術性を追求する中から、音楽の歓びと魅力を紡いできた。ウィーン交響楽団コンサートマスターを務めるヴィリー・ビュッヒラーに率いられ、日本へと降り立ち、音楽の都からの、華やかな年賀の便りを届けてくれる。 この楽団は、ウィーン響など、一線で活躍する名手たちによって1978年に設立。ビュッヒラーと、シュトラウス音楽の研究で知られるペーター・グートの2人が共同で音楽監督を務め、どちらもヴァイオリンを弾きつつ指揮をする、伝統的なスタイルで演奏に臨む。2000年からはウィーン・コンツェルトハウス大ホールでニューイヤー・コンサートを開き、街の 2017年1月に600回を迎える読響名曲シリーズに、常任指揮者のカンブルランが、母国フランスの近代音楽を切り開いたデュカス、ドビュッシー、ショーソンを並べたプログラムで登場する。マエストロが最も得意とするフランス音楽の粋に触れる絶好の機会だ。 まずはデュカスの舞踊詩「ラ・ペリ」。不死の蓮を巡るペリとイスカンダル王の舞踊を、円熟期のデュカスの達者な筆先が妖しく彩る。もともとロシア・バレエ団の委嘱で書かれたが、自分の愛人を起用しようとしてディアギレフから待ったがかかった。とはいえこの愛人の存在がデュカスをして美しい音楽を書かせたのだとも言えよう。 ドビュッシー「夜想曲」は、形を変えながらゆっくりと流れていく「雲」、にぎやかな祝祭行進を描写した「祭り」、ヴォカリーズによる女声合唱(新国立劇場合唱団)を伴う蠱惑的な「シレーヌ」からなる。ドビュッシーの詩的なファンタジー風物詩として定着。今回も、その熱気さめやらぬ中での、日本公演となる。 J.シュトラウスⅡ「皇帝円舞曲」など、ワルツやポルカの名曲はもちろん、豪華な声楽ソリストを迎えて、オペレッタの名旋律も。わが国が誇る名メゾソプラノ林美智子とのステージ(1/7,1/8,1/12)では、カールマン《チャールダーシュのが、精妙な管弦楽法によって映像のように映しだされる。 後半はショーソン「交響曲」。1889年から翌年に書かれたが、この頃フランスではサン=サーンスをはじめ、ラロ、フランク、ダンディらが傑作交響曲を次々に発表していた。そうした山脈にあってショーソンの交響曲はとりわけ繊細で陰影感豊かな作品として知られている。 ところで、これらフランス管弦楽の精華は、ワーグナーを隠れテーマに聴くと一層楽しめるのではなかろうか。実はこの作曲家3人、1889年にバイロイト音楽祭に赴くなど、ワーグナーから女王》から〈ハイア、山こそわが心の故郷〉など、華麗な技巧と美声が要求されるアリアの数々を披露。そして、ソプラノ安藤赴美子、テノール西村悟というフレッシュなコンビが登場する公演(1/9)では、レハール《メリー・ウィドウ》からの二重唱〈唇は語らずとも〉のほか、それぞれのソロでアリアも歌う。の影響を強く受け、その影響を消化し発展させることで、新しいフランス音楽を作っていったのである。柔らかく甘美な響きの向こうに、アンチ・テーゼとしてのワーグナーの影を探ってみるのも一興だ。西村 悟 ©Yoshinobu Fukaya(aura)林 美智子 ©Toru Hiraiwa安藤赴美子 ©Shingo Azumayaヴィリー・ビュッヒラーシルヴァン・カンブルラン ©読響

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