eぶらあぼ 2016.12月号
49/187

46ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン(指揮) 香港フィルハーモニー管弦楽団2017.4/18(火)19:00 ザ・シンフォニーホール問 ザ・シンフォニー チケットセンター06-6453-2333 http://www.symphonyhall.jp/ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン(指揮)香港フィルは世界で最も優れたオーケストラのひとつになるでしょう取材・文:綾部浩司Interview 来年4月、香港フィルハーモニー管弦楽団が29年ぶりの来日を果たす。 「2006年に香港フィルを初めて指揮した時、更に成長する可能性がある、楽員それぞれの才能の芽が信じがたいほど素晴らしいオーケストラ。自分が水を注いでいけば、必ずその芽が実になる」と当時の出会いを語るヤープ・ヴァン・ズヴェーデン(香港では“ヤープ”と親しみを込めて呼ばれている)が、香港フィルの音楽監督に就任したのは2012/13シーズン。音楽監督就任発表の記者会見では「香港フィルをアジアのベルリン・フィルに育て上げる」と述べ大きな注目を浴びた。両者の関係は音楽監督契約期間延長の更新の結果、現時点では2021/22シーズンまで続くことが決定している。 「香港フィルは宝石です。才能ある各メンバーがこのオーケストラを素晴らしいものにしています。今後香港フィルは世界で最も優れたオーケストラのひとつになるでしょう」と並々ならぬ香港フィルへの熱い期待と思いが強く感じられる。 今回の来日は、ヤープ自身も05年3月に東京フィルを指揮して以来、ひさびさの日本でのコンサートとなる。 「香港フィルの来日、長らくお待たせしましたね。日本のお客様はとても注意深く音楽を聴いてくださると記憶していますので、香港フィルを日本でお聴きいただけることはとても誇りに思っています」 今回のプログラムはバルトークのヴァイオリン協奏曲第2番とブラームスの交響曲第1番がメイン。バルトークのソリストは、香港フィル音楽監督オープニングコンサートや昨年の香港フィル欧州ツアーといった重要な演奏会でヤープと共演しているニン・フェンが務める。 僅か19歳でコンセルトヘボウのコンサートマスターに就任し、その後指揮者に転向したヤープは、ニン・フェンについて「信じられないほどの可能性と素晴らしいテクニックや様々な音楽スタイルを兼ね備えたソリストで、バルトークにうってつけのヴァイオリニストと言えるでしょう」と全幅の信頼と期待を寄せる。 「バルトークのこの作品はハンガリーの民族音楽に深く根付いており、実に力強い曲です。ブラームスの交響曲とはよいコンビネーションだと思います」 かつてレナード・バーンスタインとイスラエル・フィルがブラームスの交響曲第1番を、今回唯一の公演会場であるザ・シンフォニーホールで演奏したことを話すと、「レニーは自分が指揮者になるきっかけとなった特別の存在。そしてレニーはニューヨーク・フィルの音楽監督を長年務めていました。私がそのニューヨーク・フィルの音楽監督となり(2018/19シーズンより)、そしてザ・シンフォニーホールでブラームスを演奏することになるとは…」 “La Forza del Destino(運命の力)”では? と向けると、ヤープは嬉しそうにほほ笑んだ。12/23(金・祝)14:30 京都府立府民ホール アルティ問 KCMチケットサービス0570-00-8255 http://www.kojimacm.com/漆原朝子(ヴァイオリン)& 今峰由香(ピアノ)濃密な独墺プログラムで聴く鮮烈なデュオ文:笹田和人今峰由香漆原朝子 ©Naoya Yamaguchi,Studio Diva ヨーロッパを舞台に第一線で活躍を続ける一方、ミュンヘン国立音大ピアノ科教授として後進の指導にあたるピアノの今峰由香。そして、国際舞台で活躍し、やはり東京芸大准教授として若手の育成に力を注ぐヴァイオリンの漆原朝子。2人の名手が、充実の独墺プログラムで対峙する。その出会いの先に、どんな響きの宇宙が形作られるのか。 今峰は、関西学院大学文学部を卒業後、ミュンヘン音大やローマ・サンタ・チェチーリア音楽院で学んだという異色の経歴を持ち、数々の登竜門で実績を重ね、2002年、32歳の異例の若さでミュンヘン音大教授に就任した。一方の漆原も、ジュリアード音楽院に学び、数多くの檜舞台での活躍を続けてきた。 今回のデュオ・リサイタルは、寂漠感に満ちたブラームスの第3番、嵐のようなベートーヴェンの第4番、そして、推進力あふれるモーツァルトの第42番と、3つの個性的なヴァイオリン・ソナタが軸©Cheung Chi Waiに。ここへ、シューマンの「3つのロマンス」と、ウェーベルンの「4つの小品」が挟み込まれる。

元のページ 

page 49

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です