eぶらあぼ 2016.12月号
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『ダフニスとクロエ』より/Photo:Agathe Poupeney/OnP41新・芸術監督デュポンが目指す“バレエの殿堂”の未来取材・文:濱田琴子 来年3月、パリ・オペラ座バレエ団を率いて、オレリー・デュポンが芸術監督として来日する。急遽辞任を決めたバンジャマン・ミルピエの後を継いで彼女が現ポストについたのは、今年の8月1日。2017〜18年期からが彼女によるプログラムなのだが、クラシック作品を増やすことをすでに公言している。 「なぜって、オペラ座バレエ団はクラシック・バレエの学校を持つ、クラシック・バレエのカンパニーなのですから。もちろんコンテンポラリー作品についても、オープンであり続け、過去にここで踊られたことのない振付家の作品を迎えます。ハイレベルのクラシックと最先端のコンテンポラリーを、観客に提案したいと思っています。両方に優れたダンサーをエトワールに任命することになりますね」 学生時代から42歳での引退まで、人生の長い時間を過ごしたオペラ座。350年以上の歴史をもつバレエ団のフランス文化における位置を、彼女は正しく理解し、敬意を払う。だからこそ近代化は必要だが、急激に行うことをせず、時間をかけて進めてゆく。また、バレエ団を愛し、団員を愛する彼女は、芸術監督の権限をダンサーにとって有益と信じることのために発揮するつもりでいる。この美しく、頼もしい監督にダンサーたちは、すでに厚い信頼を寄せている。要求の高い彼女の期待に応える必要があることは、ダンサーたちにとって刺激的な挑戦でもあるようだ。 エトワール・ダンサーとして圧倒的人気を誇っていたオレリー。今も毎朝若い団員とともに朝のクラスレッスンをとり、時々海外の舞台に立っている。オハッド・ナハリンの振付作品を、11月にディアナ・ヴィシュネヴァと一緒に踊り、また、モーリス・ベジャールの『ボレロ』を東京で2月に、というように。芸術表現の場を持つことで、監督業という仕事と良いバランスがとれるのだろう。3月の来日公演でも、バンジャマン・ミルピエの『ダフニスとクロエ』を創作ダンサーとして、エルヴェ・モローと舞台に立つ。 「ミルピエの振付はオーガニックで体にとても自然なので、好きです。ダンサーの個性を尊重して振り付けるので、踊るのがとても快適。東京でも一緒ですが、フランソワ・アリューとも踊ることが楽しく、コール・ド・バレエと一丸となっての良い雰囲気…といった思い出がこの作品にあります。ダニエル・ビュランによる舞台装置も、意外性に富んでいますね」 なおこの『ダフニスとクロエ』を踊るもう1組は、ジェルマン・ルーヴェとアマンディーヌ・アルビッソン。ジェルマンは若手の中で、次期エトワールとの呼び声の最も高いダンサーである。 2つのプログラムで構成される来日公演。まずは〈グラン・ガラ〉。前述『ダフニスとクロエ』を含む、ネオ・クラシック3作品で、ほかにジョージ・バランシンの『テーマとヴァリエーション』、ジェローム・ロビンスの『アザー・ダンス』という内容。 「リュドミラとマチアス、そしてドロテとジョシュア。この2組を『アザー・ダンス』に配役しました。ダンサーに何よりも要求されるのは音楽性。そして技術的難しさを感じさせず、ユーモアとフレッシュさを保ちながら、まるで即興で踊っているかのように見せる、という作品なんですよ。『テーマとヴァリエーション』は見た目のシンプルさの裏に、複雑なテクニックがこめられていてハードですが、ダンサーたちは素晴らしくやり遂げるはずです」 〈グラン・ガラ〉に先立つプログラムは、ロマンティック・バレエの傑作『ラ・シルフィード』である。19世紀にオペラ座で踊られ、それをパリ・オペラ座のためにピエール・ラコットが復元した名作だ。 「主役を踊る二人が良い組み合わせであること。それだけで公演の半分はうまくいった、といえるほど大切です。今回の3組は、ミリアムとマチアス、アマンディーヌとマチュー、そしてリュドミラとジョシュア。個性の異なる3組ですが、それぞれ美しいカップルなので、ぜひ楽しみにして欲しいですね」Prole1989年パリ・オペラ座バレエ団に入団。ヴァルナ国際コンクールで金賞受賞。98年『ドン・キホーテ』主演後にエトワールに任命された。早くから古典とコンテンポラリーの両分野で活躍し、マニュエル・ルグリ率いるグループ公演や世界バレエフェスティバルで数多く来日。2015年5月にアデュー公演を行い、翌シーズンはバレエ・ミストレスとしてパリ・オペラ座で活動。その途中の16年2月、次期芸術監督への就任が電撃的に報じられた。16/17シーズンよりその任にある。

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