eぶらあぼ 2016.12月号
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章が特に好きですね。バルトークもそうですが、それに加え、ショスタコーヴィチ、マーラー、そしてヴィラ=ロボスなんかも好きです。ビゼー、ハイドン、ライヒも聴きます」 「くるり」とクラシックといえば、ウィーンで現地のクラシック奏者と録音したアルバム『ワルツを踊れ Tanz Walzer』(2007)がある。ウィーンで岸田は、アーノンクール&ウィーン・フィルの演奏を聴き『メガトン級の衝撃』(『くるりのこと』くるり+宇野維正 著/新潮社刊より)を受けたそうだ。K「有名な楽友協会の金ピカのホールの、かなり前の席で聴きました。モーツァルトの交響曲40番と41番『ジュピター』だったのですが、もう、もの凄かったです。“昨日までラーメンしか食べてなかったのに、こんな豪華で美味い料理があるなんて!”といった感じでしたね。レゲエでもテクノでもなんでも好きですが、この演奏を聴いて“オレ、こっちやったんだ”と感じました。それから、現地でゲルギエフ指揮でショスタコーヴィチの交響曲4番という強烈なやつも聴きました」H「凄い感性ですよね。アーノンクールという、ある意味非常にマニアックな世界の指揮者を好きになるなんて。理屈ではなく“感じる力”が強烈なんだと思います。それに、アーノンクールの後がゲルギエフのショスタコなんて、“ヘビの生殺しの料理”の次に“ライオンとトラの活き造り”を食べるような感じではないでしょうか」 このウィーン滞在では、『ワルツを踊れ』で管弦楽のアレンジをしてくれた、ウィーン交響楽団の打楽器奏者フリップ・フィリップとの貴重な出会いもあった。K「彼に今回の交響曲を少しずつ聴いてもらっていました。かなりダメ出しされましたが、ときどき金言もくれたりするので、自分の中では彼の背中をみながら作品を書いていたという感覚があります」 演奏会の第一部『岸田繁 with 京都市交響楽団』はどのような構成なのだろうか。 K「交響曲より小編成のオーケストラで、僕が編曲した『くるり』の曲を組曲形式で演奏します。僕は1曲だけオーケストラをバックに歌う予定です」 広上は今回の企画にある願いを託している。H「この企画が、『ぶらあぼ』読者や、クラシック音楽業界の人たちに対して、クラシックの音楽家もロックバンドの音楽家も基本的に垣根はない、という一つのデモンストレーションになればいいと思ってます。これだけの楽想を持った音楽家がたまたまバンドをやっている、こういうバンドが好きな音楽家がたまたま指揮者をやっているという感覚。『くるり』のファンが『私たち、クラシックのコンサートに行ってもいいんだ』と思ったり、クラシック音楽ファンが『くるりって面白そうだから、今度聴きにいってみよう』といったようになってくれればいいですね」取材・文:大塚正昭 写真:寺司正彦Prole広上淳一/東京生まれ。東京音楽大学指揮科に学ぶ。第1回キリル・コンドラシン国際指揮者コンクール優勝。ノールショピング響首席指揮者、ロイヤル・リヴァプール・フィル首席客演指揮者、リンブルク響首席指揮者、コロンバス響音楽監督を歴任する傍ら、フランス国立管、ベルリン放送響、ウィーン響、コンセルトヘボウ管、モントリオール響、イスラエル・フィル、ロンドン響、サンクトペテルブルク・フィルなどに定期的に客演。現在、京都市交響楽団常任指揮者兼ミュージック・アドヴァイザー。東京音楽大学指揮科教授。京響プレミアム 岸田繁 交響曲第一番 初演第一部 岸田繁 with 京都市交響楽団 第二部 岸田繁「交響曲第一番」出/岸田 繁(作曲/ヴォーカル) 広上淳一(指揮) 京都市交響楽団 12/4(日)16:00 ロームシアター京都 メインホール(完売) 問 YUMEBANCHI 06-6341-352512/6(火)19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 HOT STUFF PROMOTION 03-5720-999939
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