eぶらあぼ 2016.12月号
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入魂の大作シンフォニー、いよいよ世界初演! ロックバンド「くるり」の岸田繁が「交響曲第一番」を書き上げ、この12月に広上淳一指揮京都市交響楽団(以下、京響)により世界初演される。この異色の企画、そもそもどのような経緯でスタートしたのだろうか?岸田(以下 K)「京響のチーフマネージャーの柴田さんから『オーケストラ作品を書いてみませんか?』とお話をいただいたのがきっかけです。本業は違うタイプの音楽をやっているのですが、ずっとやりたかったことなのでお引き受けしました。また、京響は京都出身の僕にとって、小さい頃から聴いている親しみのあるオーケストラです。今まで、映画の劇伴などで管弦楽を使ったものは少し書いていましたが、このような長尺のものは初めてです」広上(以下 H)「私自身『くるり』は存じ上げていたのですが、娘のほうが詳しかったですね。私のラジオ番組に岸田さんに出演してもらって、彼の音楽を流したりしているうちに、すっかりファンになってしまいました」 デモを聴き、譜面を読んだ広上は岸田の作品に驚きを覚えたという。H「簡単に言ってしまうと、もう凄いです。ストラヴィンスキーやマーラー、バルトークといった作曲家の片鱗のようなものも感じられるのですが、岸田さんのオリジナルな部分が本当にいいですね。岸田さん自身のイメージの中から音を作って組み立てていると思うのです」 新作は5楽章の大曲だ。K「僕は一番食べたいものを先に決めて、それを食べながら他のものを注文するタイプなので、最初から5楽章にするとは決めていませんでした。コントラファゴットも入った大きな編成で、演奏時間が50分くらいになりそうです。作曲中によく聴いていたのがセル&クリーヴランド管のバルトーク『管弦楽のための協奏曲』。あの“1,2,3,4”ではなく“1,2,3,4,5”でちょっと“ウォーン”って入って“ボワー”となり、また“ウォーン”となっていく、あの感じが凄く好きですね」 岸田のクラシックの趣味は実に幅広い。K「子どもの頃、父がチャイコフスキーやリムスキー=コルサコフといったロシアものやベートーヴェンをよくかけていたので、それを自然と聴いていました。『第九』では第2楽作曲 岸田 繁(くるり) × 指揮 広上淳一Prole岸田 繁/1976年京都府生まれ。ロックバンド「くるり」のシンガー、ギタリスト、作曲家。98年のデビュー以降、コンスタントに作品を発表し続け、映画のサントラ制作、CMやアーティストへの楽曲提供も行う。2016年4月より京都精華大学の客員教員に就任。くるり 公式サイト http://www.quruli.net/岸田日記Ⅱ(くるり ofcial blog) http://note.mu/quruli/m/md5f6dd04a3e2interview 38

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