eぶらあぼ 2016.12月号
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34パーヴォ・ヤルヴィ(指揮)NHK交響楽団第1856回定期公演(Aプロ) 2/11(土・祝)、2/12(日)第1857回定期公演(Cプロ) 2/17(金)、2/18(土) NHKホールN響横浜スペシャル 2/22(水)、2/23(木) 横浜みなとみらいホール問 N響ガイド03-5793-8161※公演情報は下記ウェブサイトでご確認ください。http://www.nhkso.or.jp/ NHK交響楽団の首席指揮者として2年目のシーズンを迎えたパーヴォ・ヤルヴィ。同楽団との度重なる名演に、自身大きな手応えを感じている。 「この1年、お互いを知るために多種多様な曲を取り上げましたが、素晴らしいオーケストラで反応もよく、楽員との関係も密になってきました。中でもハイライトはR.シュトラウスの3つの録音。1年目でこれほどのプロジェクトを成し遂げるのは稀なことです」 次の共演は、2017年2月の東京・横浜公演の3プログラム、及び「今シーズンの1番のプロジェクト」と語る同月のヨーロッパ公演(2/28〜3/8)。まずは「バルト海の国に焦点を当てた」プログラム(2/11, 2/12)が注目される。 「エストニア出身で最も有名な作曲家ペルトの『シルエット』は、エッフェル塔の設計者に捧げた作品で、塔の構造そのものが音楽的に描かれています。音楽に“レベル”(階層)があり、高くなるに従って変化します。そして一番上の“レベル”では、ピッツィカートをふんだんに使って、塔の先端の風通しの良い空間が表現されます。私の盟友トゥールの『プロフェシー』は、アコーディオン協奏曲。楽器のイメージを覆すほどアコーディオンが効果的に使われています。独奏のクセニア・シドロヴァは、ラトヴィア出身のトップ奏者にして容姿端麗な女性。日本でもおなじみのシベリウスの交響曲第2番は、19世紀のロマンを色濃く反映した作品ゆえに、熱く情感たっぷりな演奏を目指します」 次いで、シベリウスのヴァイオリン協奏曲とショスタコーヴィチの交響曲第10番のプログラム(2/17,2/18)。これはヨーロッパ公演でも披露される。 「ショスタコーヴィチの10番は、ドラマティックで中身が濃い作品。昨年の5番におけるN響の壮絶な演奏に新鮮な驚きがありましたので、彼の交響曲の中核を成すこの作品を選びました。シベリウスはショスタコーヴィチとの最高のペアリング。ヨーロッパ公演ではジャニーヌ・ヤンセン、日本では諏訪内晶子と、親しい名手がソロを弾くのも嬉しいですね」 もうひとつのプログラムは、武満徹の「弦楽のためのレクイエム」とマーラーの交響曲第6番(2/22, 2/23)。こちらもヨーロッパ公演の演目だ。 「マーラーの6番は特に好きな作品。やはりドラマティックで革新性に富んでおり、悲劇的な最後には心を打たれます。武満作品は、ヨーロッパ公演を意識すると同時に、マーラーとのストーリー的な繋がりを考慮しました」 ヨーロッパ公演への意気込みも熱い。 「世の中には、オーケストラといえばヨーロッパが主流で、次にアメリカ、その下がアジアとの偏見があります。しかし今や、国や言葉など関係がなく、作曲者の音楽言語を巧みに話せるか否かが重要。私は、N響がいかに世界有数のオーケストラであるかを見せつけたいと思っています」 R.シュトラウスのCDは、第2弾の『ドン・キホーテ 他』も絶賛を博し、来年には第3弾の「メタモルフォーゼン」&「ツァラトゥストラはかく語りき」がソニー・ミュージックよりリリースされる。 「曲の隅々まで熟知した楽員が、心をこめて深みのある演奏をしてくれています。最初の2枚も大満足でしたが、第3弾はそれらを超える出来ではないかと思っています」 あらゆる点でエキサイティングな当コンビ。首席指揮者の契約も2021年8月まで延長され、今後への期待がいっそう膨らむ。interview パーヴォ・ヤルヴィPaavo Järvi/指揮2年目のシーズンに期待が膨らむ“世界的”コンビ取材・文:柴田克彦©Kaupo Kikkas

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