eぶらあぼ 2016.12月号
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162CDCDCDCDショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番 他/服部百音エディット・ピアフへのオマージュ/トリオ・サンクァンシュ野田暉行 邦楽作品集/邦楽四重奏団Lラa vヴィie/森下幸路&川畑陽子ワックスマン:カルメン・ファンタジーショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番服部百音(ヴァイオリン)アラン・ブリバエフ(指揮)ベルリン・ドイツ交響楽団プーランク:即興曲第15番「エディット・ピアフへのオマージュ」、愛の小径/サティ:ジュ・トゥ・ヴ/オーリック:トリオ/ヘンデル:アラ・ホーンパイプ/モーツァルト:きらきら星変奏曲/J.S.バッハ:シンフォニア第1番・第2番・第8番 他トリオ・サンクァンシュ【池田昭子(オーボエ)、松本健司(クラリネット)、菅原恵子(ファゴット)】野田暉行:尺八、二面の箏、十七絃のための四重奏曲第1番尺八、箏、チェロのための「リフレクション」邦楽四重奏曲第2番「レジェンド」・第3番「松の曲」、十七絃独奏のための「夜想曲」邦楽四重奏団【平田紀子、寺井結子、中島裕康(以上箏)、黒田鈴尊(尺八)】山澤 慧(チェロ)フォーレ:ロマンス、ヴァイオリン・ソナタ第1番/リリー・ブーランジェ:夜想曲、行列、春の朝に/タイユフェール:即興曲/イザイ:子供の夢/フランク:ヴァイオリン・ソナタ/ドビュッシー:美しき夕暮れ森下幸路(ヴァイオリン)川畑陽子(ピアノ)エイベックス・クラシックスAVCL-25904 ¥3000+税マイスター・ミュージックMM-3091 ¥3000+税収録:2016.6/15、ムジカーザ(ライヴ)コジマ録音ALCD-112 ¥2800+税ナミ・レコードWWCC-7822 ¥2500+税数々の国際コンクールで実績を上げている新鋭のデビュー・アルバム。今年17歳の服部だが、年齢を知らずに聴いた場合、果たしてそれが分かるだろうか? と思わせるほど完成度の高い演奏だ。収録された2曲共に難曲だが、デビュー盤にあえて選んだだけあって、ただ達者に弾きこなすのではなく、作品を咀嚼し、音楽と同化したパフォーマンスを展開。作品の本質を現在可能な自分の言葉で語ろうとしている点が素晴らしい。エネルギッシュな「カルメン・ファンタジー」もさることながら、隅々まで研ぎ澄まされ、しかも高揚感十分のショスタコーヴィチが見事だ。 (柴田克彦)N響の3人の名手から成る、いわゆる「トリオ・ダンシュ」であるトリオ・サンクァンシュ2枚目のアルバムは、前半がフランス近代作品、後半にヘンデル、モーツァルト、バッハを配する構成。オーリック作品以外は全てアレンジものだが、その演奏は洗練の極みである。こういう奏者が揃っていることにN響の凄さを改めて思い知るが、例えば「愛の小径」における音色の美しさと音楽的呼吸の完全な一致。オーリック作品での急速部分で聴かせる全く危うげない技巧の冴え。編曲もツボを押さえた仕上がりで、広くクラシック・ファンにお薦めしうる名アルバムであろう。(藤原 聡)1970年代は現代音楽が邦楽器と出会い、創造の果実が次々に産み落とされた。これを可能にしたのは邦楽奏者たちの未知の領域への好奇心と野心だったが、その第一世代が退きつつある今日、頼もしい後継者が現れた。東京芸大卒の音楽家たちが結成した邦楽四重奏団のデビュー盤は、野田暉行が主に70年代に書いた作品集。邦楽器の即興性が生み出す緊張を孕んだ時間を現前させ、時には作曲家自身も意識せざる西洋的な感性をアンサンブルの相のもとに浮かび上がらせる。“日本と西洋”という図式ではなく、一つの世界へとスムーズに接合し昇華した点が彼らの新しさであり強みではないか。(江藤光紀)大阪交響楽団コンサートマスター森下幸路とピアノの川畑陽子のデュオ第3弾はフランスもの。森下の骨太で豊かな音に川畑の繊細な伴奏が絡んで素敵なアンサンブルとなる。それはフォーレのソナタ第1番でも明らかで、冒頭ののびやかな主題の歌から世界が広がり、展開部の激しい表現と鬱屈した楽句との対比なども見事だ。フランクでは一転してひそやかな表情の美しさがこの曲に相応しく、上品な抒情が光る。夭折の作曲家リリー・ブーランジェの小品もなかなかきれい。「夜想曲」の物憂げな始まりから次第に伸びのびと雄弁になる歌やほのかな陰りのある中間部など、魅力的だ。(横原千史)
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