eぶらあぼ 2016.12月号
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157コンサートギャラリーチケット発売情報News & TopicsNew Release Selection新譜情報TV&FMBooks海外公演情報今月の注目公演公演情報ぶらPAL■「びわ湖リング」が始動、来年3月に 《ラインの黄金》上演 びわ湖ホールが2017年より、ワーグナーの大作《ニーベルングの指環》を4年かけて連続上演する。3月に上演される序夜《ラインの黄金》の制作発表が10月21日に行われ、山中隆(びわ湖ホール館長)、沼尻竜典(同ホール芸術監督・指揮)、砂川涼子(フライア)、ヴィタリ・ユシュマノフ(ドンナー)、清水徹太郎(ローゲ)が出席し、抱負を述べた。 まず山中は「400万年前にできた古代湖である琵琶湖に相応しい壮大な《指環》の物語にしたい。これまでのような共同制作ではなく単独で、独自の『びわ湖リング』を創りたい」と述べた。 続いて沼尻は「《指環》は上演すること自体が劇場のステイタスであり、2007年の監督就任以来の宿願だった」と語り、ミヒャエル・ハンペの演出について「彼は、最近よく見られる演出家の自己満足のような“読み替え”による、音楽無視のひどい演出に批判的。歌手に無理をさせることも、非音楽的になることも一切ない。今年81歳のハンペにとっておそらく最後の《リング》となり、これまでびわ湖ホールで演出した12年の《タンホイザー》や今年の《さまよえるオランダ人》のように、映像などの新しい技術を駆使した、美しい舞台となるだろう」と期待を込めた。そして、ここのところ新国立劇場、東京・春・音楽祭、名古屋などで《指環》の上演が重なっているが「競合と考えるより、いい意味での相乗効果を生み出したい。単独制作についても、びわ湖ホール独自の4面舞台の優れた機構をフルに使えることや業界の枠を超えた自在なキャスト作りなどの利点は大きく、世界と対等に戦えるグローバル・スタンダードを日本で作りたい」と意気込む。取材・文:横原千史◎びわ湖ホールプロデュースオペラワーグナー:《ラインの黄金》(全1幕・ドイツ語上演・日本語字幕付)2017.3/4(土)、3/5(日)各日14:00 びわ湖ホールびわ湖ホールhttps://www.biwako-hall.or.jp/■NHK交響楽団が首席指揮者パーヴォ・ ヤルヴィとの契約延長を発表 NHK交響楽団が、首席指揮者パーヴォ・ヤルヴィとの契約を2021年8月まで3年延長すると発表した。15年9月の就任以来、ベートーヴェン、ブルックナー、R.シュトラウス、現代音楽などのプログラムで好評を得てきた。今年創立90周年を迎えたN響の記念特別演奏会では、マーラー交響曲第8番「千人の交響曲」を披露。今後は17年の2、3月に行われるヨーロッパ公演や、レコーディングをはじめとするプロジェクトが予定されている。ヤルヴィは、「今後数年にわたりN響の素晴らしい楽員達と演奏ができる機会を得ることとなり嬉しく思っている」と語った。NHK交響楽団http://www.nhkso.or.jp/■東京都交響楽団が2017年度楽季 ラインナップを発表 東京都交響楽団が2017年度楽季(2017/18シーズン)ラインナップを発表した。 音楽監督の大野和士は定期8公演を含む8演目12公演に登場。古典派から現代まで幅広い時代の作品を軸とする選曲。細川俊夫「フルス(河)」の日本初演とスクリャービンの交響曲第3番「神聖な詩」(6/30)、R.シュトラウスの組曲「町人貴族」とツェムリンスキーの交響詩「人魚姫」(18.1/10)や、ミュライユ「告別の鐘と微笑み」とメシアン「トゥーランガリラ交響曲」のカップリング(18.1/18,1/20)など。さらに、ハイドンのオラトリオ「天地創造」をスウェーデン放送合唱団とともに披露(9/10,9/11)。年末の「第九」公演にも登場する(12/24〜26)。 終身名誉指揮者の小泉和裕は、定期3公演を含む4公演に出演。R.シュトラウスの交響詩(11/30)など、得意とするドイツプログラムを指揮するほか、フランクの交響曲を都響と初共演(10/24)。桂冠指揮者のエリアフ・インバルは、ショスタコーヴィチの交響曲第7番「レニングラード」(18.3/20)、マーラー「大地の歌」(7/16,7/17)など4演目6公演を指揮。首席客演指揮者の最後のシーズンとなるヤクブ・フルシャは、定期3公演に登場。2010年の就任以来取り組んできたマルティヌーとブラームスの交響曲演奏を完結させる。東京都交響楽団http://www.tmso.or.jp/©Julia Baier左より)山中 隆(びわ湖ホール館長)、沼尻竜典(同ホール芸術監督)、砂川涼子、ヴィタリ・ユシュマノフ、清水徹太郎 写真提供:びわ湖ホール
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