eぶらあぼ 2016.11月号
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218演奏家自身による言葉によって、知っているようで実は知らない、楽器の構造や演奏の技法などを解き明かしてゆく好評シリーズ「楽器の秘密」に、世界的ハープ奏者の吉野直子が登場。デビュー30周年を迎えて、いっそう滋味を増した音色で、サルツェード「夜の歌」やルニエ「いたずら小鬼の踊り」、リスト「愛の夢」など、魅力的な旋律の数々を披露する。彼女ならではの興味深い話題にも、大いに期待できそう。大バッハが構築した巨大な伽藍「ゴルトベルク変奏曲」に、気鋭のチェンバリストが対峙する。水永牧子は桐朋学園大からドイツ・フライブルク音大大学院に学び、2000年にはブルージュ国際コンクールのアンサンブル部門で第2位と聴衆賞を獲得、幅広い活躍を続ける実力派。巧みに当時の流行歌を盛り込むなど、遊び心も満載の傑作について、「その才能の豊かさや偉大さに心を打たれる。心に残る演奏ができれば…」と語る。10年にわたって、日本の伝統楽器と声楽による、新たな歌曲の創造を目指してきたシリーズ「邦楽器とともに」。活動をより深化させるため、このほど「日本歌曲協会」が設立された。新たな門出を祝う記念のステージは、ソプラノの佐竹由美ら名ソリストを迎え、尺八や箏など邦楽器に西洋楽器を交えた器楽アンサンブルと共に。これまでの公演で、再演への要望が多く寄せられた、特に魅力的な9作品が披露される。国内外の一線楽団と共演するなど、幅広い演奏活動の一方、ラジオでのトークでも人気を呼ぶチェロの遠藤真理。そして、2002年にチャイコフスキー国際コンクールを制して脚光を浴び、国際的な活躍を続けるピアノの上原彩子。デュオによるベートーヴェンの第5番とラフマニノフ、2つの名ソナタに加えて、それぞれのソロもたっぷりと。しなやかに人生を歩む女性としても共感を集める2人が、瑞々しく交歓する。たおやかな感性で、ウィーン・フィルの首席奏者ら世界の巧手から、共演者としても絶大な信頼を寄せられる、名手・三輪郁。今回はまず、第13番と第14番「月光」の2つのソナタに「6つのバガテル」と、ベートーヴェンの佳品を。そして、「4つの情緒ある風景」などR.シュトラウス、さらに、リスト編曲によるワーグナーの楽劇「トリスタンとイゾルデ」から「愛の死」と、彼女らしい骨太なプログラムで臨む。高木早苗は東京芸大からミュンヘン音大大学院に学び、ドイツでもリサイタル活動を行った実力派ピアニスト。現在はステージ活動の一方、後進の指導やチャリティ活動にも力を注ぐ。リサイタルは、シューベルト最晩年の傑作・ソナタ第20番が軸に。ここへ、リストの「バラード第2番」、バッハの「半音階的幻想曲とフーガ」、メシアン「幼子イエスに注ぐ20のまなざし」から第19曲など、多彩な作品を配置する。月の11水永牧子(チェンバロ)楽器の秘密 シーズンⅡ 第6回 ハープ吉野直子(ハープ)日本歌曲協会 第11回 邦楽器とともに新しい日本歌曲の夕べ三輪 郁(ピアノ)高木早苗(ピアノ)遠藤真理(チェロ)&上原彩子(ピアノ)11/5(土)19:00近江楽堂(東京オペラシティ3F)11/16(水)13:30かつしかシンフォニーヒルズ アイリスホール11/10(木)18:30すみだトリフォニーホール(小)11/9(水)19:00東京文化会館(小)11/18(金)19:00東京オペラシティ リサイタルホール11/12(土)17:00フィリアホール文:笹田和人第10回「邦楽器とともに」より ©Akira Muto ©Naoya Yamaguchi (Studio☆DiVA)遠藤真理 ©中山かつみ上原彩子 ©三浦興一 ©小島竜生 ©m.nishino

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