eぶらあぼ 2016.10月号
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72©Wataru Nishidaビヨンド・ザ・ボーダー音楽祭 2016コンサートⅠ 10/14(金)19:00 コンサートⅡ 10/16(日)17:00 横浜みなとみらいホール(小)問 コンサートイマジン03-3235-3777 http://www.concert.co.jp鈴木理恵子(ヴァイオリン)横浜を舞台に温かい“想いの輪”を広げたい取材・文:渡辺謙太郎Interview ヴァイオリニストの鈴木理恵子が音楽監督を務める『ビヨンド・ザ・ボーダー音楽祭』が2年ぶりに開催される。鈴木が生まれ育った港町・横浜を舞台に、日本と海外の芸術交流を図る企画で、2008年の開始以来、これで5回目(10年の掛川での開催も含む)となる。 「04年頃から、中国、タイ、インドネシア、カンボジアなどに演奏旅行をする機会が増え、現地の人々と共演する中で心が通い合う経験を何度もしました。言葉ではなく、芸術を通じて時間と空間を共有することで、温かい“想いの輪”を広げたくて、この音楽祭を始めたのです」 今回は北欧の彩りを加えたり、鈴木の夫でピアニストの若林顕が出演したりと、さらなる魅力を増している。 「私も若林も、スウェーデンなど北欧での演奏経験が昔から多かったのです。彼はアジアや北欧の音楽に造詣が深く、2つの地域を繋ぐアドバイスを色々と与えてくれました。今回は北欧とクラシックの名作を中心に、インド古典劇、古典雅楽、ホーメイ(ロシア連邦トゥバ共和国に伝わる喉歌)、舞台芸術などをボーダーレスにお届けします」 2つのメイン公演の会場は、いずれも横浜みなとみらいホール(小ホール)。オープニングの『コンサートⅠ』では、美術家・松原賢の巨大かつ繊細な作品をバックに、時代も文化も異なる傑作がひとつの新しい世界を創り出す。 「9月発売の新譜の収録曲でもあるモーツァルトのソナタ『K.305』で軽やかに幕開け。その後は、武満徹さんの『悲歌』や、この音楽祭のキーマンの一人、マッツ・ヤンソンさんのピアノ・ソロ(スウェーデンの現代作曲家フロディンの『カデンツァ』の世界初演)などが続き、最後はグリーグの劇的なソナタ第3番で終わる構成です」 最終日の『コンサートⅡ』は、出演者全員によるガラ・コンサートだ。 「3部構成の公演を予定しています。第1部は、入野智江ターラさんの踊りと和楽器による『インド古典劇から笙と琵琶のいにしえの響き』。第2部は、『ケルト・北欧音楽からフランスのジャズへ』と題した音楽旅行。第3部の『フィナーレ』では、クラシックから、ホーメイの第一人者・巻上公一さん、笙、楽琵琶、松原さんの美術まで、様々な芸術が融合した饗宴を繰り広げます」 今回は他にも、鈴木と若林のデュオで「気軽にクラシック」と題した約1時間の公演(10/15 13:00 アートフォーラムあざみ野)や、「アウトリーチ」(10/15 16:00 象の鼻テラス)を開催。3日間にわたる新感覚の音楽祭を濃密に、かつ多角的に楽しみたい。カナディアン・ブラス“最強”の金管アンサンブルがやってくる!文:東端哲也11/20(日)19:00 東京文化会館(小)問 プロアルテムジケ03-3943-6677※全国公演の詳細は右記ウェブサイトでご確認ください。 http://www.proarte.co.jp ©Bo Huang 世界中で抜群の知名度を誇る人気金管五重奏団、カナディアン・ブラスが11月に来日。46年の歴史の中で幾度もの変遷を経てきた彼ら。結成当時から残る重鎮テューバのチャック・デーレンバックはバロックからジャズに至る膨大なレパートリーの要。トランペットは今やグループの顔となるムードメーカーにして多才なクリス・コレッティと、2012年にジュリアード音楽院卒業と同時に加入したケイレブ・ハドソンのコンビが務め、優れたソリストで現代音楽にも強いアキレス・リアルマコプーロスがトロンボーンを担当。そこに04~07年に在籍していた元メンバーであるホルンのバーナード・スカリーが加わり、今回の最強アンサンブルが実現。 プログラムはJ.S.バッハ「小フーガ ト短調」やシューマン「子供の情景」などから、クレスポ「ペルーのワルツ」のような定番、ガーシュウィン《ポギーとベス》やビートルズ・ナンバーまで多彩。聴衆との絶妙なコミュニケーションにもご期待を!

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