eぶらあぼ 2016.10月号
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64©Eline Rosフィリップ・ドゥクフレ カンパニーDCA『CONTACT―コンタクト』10/15(土)19:30、10/16(日)16:00 愛知県芸術劇場(あいちトリエンナーレ実行委員会事務局052-971-6111)、10/22(土)18:00、10/23(日)14:00 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 劇場(025-224-5521)、10/28(金)19:00、10/29(土)15:00、10/30(日)15:00 彩の国さいたま芸術劇場(0570-064-939)フィリップ・ドゥクフレ(振付家/演出家)ミュージカルになったファウスト取材・文:乗越たかおInterview いつも楽しい“魔法”が満載のフィリップ・ドゥクフレ。2年前は自作ベスト総集編の『PANORAMA―パノラマ』で喝采を受けたが、なんと今回はミュージカル! しかも題材がゲーテの『ファウスト』だという。 「もうひとつアルフレッド・ジャリの『フォーストロール博士言行録』も使う。神の表面積を測ろうとしている博士で、じつはこっちもファウストなんだ(フォーストロール(Faustroll)は「Faust」と「troll=北欧神話の精霊」の合成語)。ともに神の上を行こうとするところがいいよね(笑)。ミュージカルなので14人の出演者は、ダンサーも役者もサーカス・アーティストも、歌が下手な3人以外は歌う(笑)。しかもノスフェルとピエール・ル・ブルジョワというミュージシャンが生演奏する。ノスフェルは『クロコベッツ』という彼が創作した言語でも歌うんだ。意味がわからない分、世界中どこに行っても同じ程度にしか理解されない、とても国際的な言語といえるね(笑)」 歌、ダンス、映像、そして現代サーカスも活躍する。ドゥクフレはもともとサーカス学校出身で、いま話題のコンテンポラリー・サーカスの先駆けといえる。 「サーカスは、厳しい修練を積んだ特殊技能の人達の集団。僕のような人間は、彼らに新しい視点を提供し、テクニックではなくポエティックな方面から進化させているんだ。今回も、天国を表現するのにエアリエル(空中演技)が重要な役割をしているよ」 本作には女性が箱の中で踊るシーンがある。ドゥクフレは2年前に筆者とのトークで荒木経惟の「贈答品のように女性が箱に納まっている写真」について語っていた。 「そう。日本の女性は、人形に変身する特殊能力があるのかと思うくらい素敵な写真で、刺激を受けたよ。ただ僕の作品では、女性は箱から出て自由になるけどね。僕は日本の文化から大きな影響を受けているんだ」 今回は他にもオマージュのようなシーンも多い。多国籍で出演者の体型がバラバラなのはピナ・バウシュへのオマージュだそうだし、1920年代のドイツ表現主義の要素も色濃い。 「『カリガリ博士』やトリアディック・バレエとか、大好きなんだ。これらを視覚化してくれた舞台美術のジャン・ラバスや衣裳のローレンス・シャルーは素晴らしい仕事をしてくれたね」 最後にタイトルの『コンタクト』の意味を聞いた。 「歌のタイトルから取ったんだけど、権利料が高額すぎてその曲は使えなくなった。でも作品はその方向で深まっていたから、タイトルは残したんだ。だってダンスは、世界中の観客とコンタクトできるアートだからね」 しかしこれは『ファウスト』なので、「悪魔とのコンタクト」もありえるわけだが…。 「たしかに(笑)。その通りだ。でも神とだってコンタクトできる。神から悪魔まで、全ての観客に楽しんでもらえる舞台だよ!」10/29(土)16:00 NHKホール問 ハローダイヤル03-5777-8600/NHKプロモーション音楽祭係03-3468-7736http://www.nhk-p.co.jp他公演 11/1(火)東京芸術劇場 コンサートホール(ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040)、11/4(金)松山市民会館 (テレビ愛媛 事業部089-933-0322)NHK音楽祭 2016 特別プログラム ブラック・ダイク・バンド最高峰に立つ超名門、四半世紀ぶりに登場!文:柴田克彦 今年のNHK音楽祭で異彩を放つのが、ブラック・ダイク・バンド。これ実は、凄い団体なのだ。彼らは、1855年に創設された、英国流“ブラスバンド”の代名詞たる超名門。このジャンルで盛んなコンテストでは、全英選手権23回、全英オープン30回、ヨーロピアン選手権13回の優勝を誇り、350枚以上のディスクをリリースしている。この“ブラスバンド”は、日本でいう吹奏楽にあらず。コルネットや、バリトン、テナー・ホルンなど様々な種類の金管楽器(と打楽器)のみによる独特の編成がなされている。その柔らかくまろやかで光輝な響きと芳醇な音色は極めて耳に心地よく、生音に浸るだけで魅了されること必至。今回は、音楽監督を務めるブラス界の重鎮ニコラス・チャイルズの指揮のもと、オリジナルからクラシック、ポップス、ジャズ、民謡まで、各楽器のソロ曲もまじえた多彩なプログラムが披露されるので、その妙技を多角的に味わえる。何しろ彼らは1990年以来26年ぶりの来日。この機会を逃してはならない!
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