eぶらあぼ 2016.10月号
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62左:高橋悠治 右:青柳いづみこドビュッシーをめぐる新しい潮流 〈1916年〉青柳いづみこ(ピアノ/トーク) 高橋悠治(ピアノ)10/15(土)14:00 Hakuju Hall問 東京コンサーツ03-3200-9755 http://www.tokyo-concerts.co.jp青柳いづみこ(ピアノ)連弾とソロで探るドビュッシーとその周辺取材・文:伊藤制子Interview 青柳いづみこが2014年からすすめているドビュッシー没後100年に向けたカウントダウン・シリーズ。今年は『ドビュッシーを巡る新しい潮流』として「1916年」がテーマだ。ドビュッシーに加えて、サティ、ストラヴィンスキー、ラヴェルなどの作品をとりあげる。ここ2、3年共演している高橋悠治との連弾、そしてソロもあるという豪華なプログラムである。 「1916年という年は、ドビュッシーは病のために作曲できませんでしたので、彼自身が関心をもっていた作曲家の作品を中心に構成してみました。とくに気になっていたのは、ストラヴィンスキーだったと思います。伝統的な書法を重んじるパリ音楽院で学び、前衛的すぎると批判されたドビュッシーですが、そんな彼にとってもストラヴィンスキーの音楽はまさに衝撃的で、革新的なものだったようです」 プログラムの中心は「春の祭典」(1913年初演)。高橋との連弾で披露する。作曲家・ピアニストとして活躍中の高橋だが、若い頃オペラのコレペティとして活動した経験があり、あのイタリア歌劇団来日でも裏方で奮闘したという。 「悠治さんはすでに弾かれたことがある『春の祭典』ですが、私は初めてなので、いろいろ教えていただいています。変拍子で有名ですが、数えて合わせるのではなく、リズムが増えていく感じをうまく出せればと思います。オーケストラ版でのそれぞれの声部や、管楽器の音色を弾き分けることも必要になってきますね」 ドビュッシー作品では「聖セバスチャンの殉教」(カプレ編)を青柳がソロで演奏する。 「『春の祭典』と同じく異教をテーマにした音楽ですが、ドビュッシーのほうは洗練された響きが魅力です。つづけて演奏するので、作風の違いに注目していただけると嬉しいです」 フランス六人組が共作した珍しい『六人組のアルバム』は、高橋が弾く。実は彼は子供の頃、このアルバムの中から数曲を弾いたことがあったという。 「悠治さんは弾き方がユニークで、魔法のような音を出すピアニストです。普通の弾き手同士のような予定調和がなく、共演はとても刺激的です。椅子がとても低いのですが、腕がしばしば交差する連弾にはその高低差が好都合ですね。サティの『パラード』、そしてラヴェルの『マ・メール・ロワ』での共演も楽しみにしています」 このコンサートと同時期に、2015年ワルシャワでの取材を元にした書籍『ショパン・コンクール 最高峰の舞台を読み解く』(中公新書)、さらには高橋との初めての共演によるディスク『大田黒元雄のピアノ~100年の余韻~』(コジマ録音)も発売されるという。こちらも楽しみだ。11/8(火)19:00 王子ホール問 王子ホールチケットセンター 03-3567-9990 http://www.ojihall.jp他公演 11/13(日)三鷹市芸術文化センター風のホール(0422-47-5122)アリサ・ワイラースタイン(チェロ) ~バッハと20世紀 無伴奏の夕べ~超絶技巧とスケールの大きな表現を味わう文:飯尾洋一©Jamie Jung 「バレンボイムの秘蔵っ子」と謳われてメジャー・レーベル・デビューを果たし、世界の檜舞台で活躍を続けるチェリスト、アリサ・ワイラースタインが、この11月に無伴奏によるリサイタルを開く。 チェリストが無伴奏のリサイタルを開くとなれば、なんといっても注目したいのはそのプログラム。ヴァイオリンと比べるとレパートリーが限られている分だけ、工夫のしがいがある。聖典といえるのはバッハの無伴奏チェロ組曲。ワイラースタインはこの定番からは第3番ハ長調のみを選択。これにブリテンのテーマ 「ザッハー」、ゴリホフの「オマルアムール」、コダーイの無伴奏チェロ・ソナタを組み合わせた。20世紀から現代の作曲家の割合が多いが、前衛的で難解な作品は見当たらず、むしろ新鮮さを楽しめるのではないだろうか。ワイラースタインの超絶技巧とスケールの大きな表現力をたっぷりと堪能したい。

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