eぶらあぼ 2016.10月号
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滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールは、関西随一のオペラ劇場として、一流のオペラやバレエに加えコンサートも開催。また、国内外の実力派アーティストが充実したアンサンブルやソロも披露するほか、講座なども開催しています。このコーナーではびわ湖ホールが主催する注目の公演をご紹介します。びわ湖ホールPreviewびわ湖ホールチケットセンター077-523-7136 https://www.biwako-hall.or.jp/文:横原千史エラール・ピアノで聴くフランス音楽の味わいとドイツ歌曲の奥義に触れる若杉・長野音楽基金 小山由美 ドイツ歌曲研修Ⅱ11/28(月)~11/30(水) 各日14:00 びわ湖ホール 小ホール小山由美 昨年に引き続いて、世界的メゾソプラノ歌手、小山由美のドイツ歌曲研修が開催される。 これはびわ湖ホール初代音楽監督若杉弘氏とその夫人で声楽家の長野羊奈子氏からホールに遺贈された「若杉・長野音楽基金」による公開セミナーである。「将来性のある音楽家の育成」という基金の趣旨に従って、長野氏の弟子でもある小山由美がびわ湖ホール声楽アンサンブルの団員にドイツ歌曲演奏の奥義を伝授する。小山由美は、びわ湖ホールでもワーグナーの《トリスタンとイゾルデ》のイゾルデ、《ワルキューレ》のフリッカ、《さまよえるオランダ人》のマリー、ベルクの《ルル》のゲシュヴィッツ伯爵令嬢など、難役を小山由美のドイツ歌曲研修見事にこなし、感銘深い歌唱を聴かせてくれた。またオペラ以外に宗教曲やリートのリサイタルでも聴衆を魅了している。ドイツ語の発音も明瞭で聞き取りやすい。ドイツ歌曲を指南するにはうってつけの人材といえる。昨年のドイツ歌曲研修も好評であった。昨年は1日でウィーン古典派歌曲を中心にレッスンしたが、今年は3日間に拡大される。取り上げる作曲家も、定番のシューベルトの他、それほど取り上げられないが旋律豊かで魅力的なメンデルスゾーン、詩情たっぷりの傑作の多いシューマン、渋めで深みのあるブラームスと楽しみは尽きない。小山の優れた解釈と指導は、若いアンサンブル・メンバーに、多くの刺激を与え、その歌唱をより良いものに変えてゆくことだろう。そのプロセスをつぶさに目の当たりにし、歌曲芸術の奧深さを体験できるのは、音楽家や音楽学生には大いに勉強になるだろう。音楽愛好家にとっても、驚きの体験を楽しむことができるに違いない。ライヒャから贈られたエラールに感激して、「熱情」と「ワルトシュタイン」の大ソナタを作ったのは有名だ。その後ショパン、リストら多くの作曲家に霊感を与えている。上野も上記のように、様々な時代のエラールを使ってCDを録音してきた。今回の1927年のエラールはまさにドビュッシー、ラヴェルにふさわしく、上 日本を代表するピアニストの一人、上野真が、びわ湖ホールで『公開録音コンサート』を開く。極めて広範なレパートリーをもつ上野真は、これまで多くの作品を演奏・録音してきたが、近年は作曲と同時代の歴史的楽器を使っての演奏・録音活動を盛んに行っている。最新CD、1906年製ベヒシュタインによるドビュッシー、スクリャービン、ラヴェル、シェーンベルクを弾いたアルバムは、『レコード芸術』9月号で特選盤の高い評価を受けた。 上野は今回、びわ湖ホールロビーに常設されている1927年製エラールを演奏する。曲目はドビュッシーの「ベルガマスク組曲」と「前奏曲集 第1巻」。そして、ラヴェルの「ソナチネ」と「古風なメヌエット」。エラールはベートーヴェン時代から名器の誉れ高く、彼が親友の1927年製エラール・ピアノ上野 真野自身も述べているように、第二次大戦前の「ヨーロッパの伝統的なサウンドを色濃く残している」ことだろう。もともと高い技術と美しい音色を兼ね備えた名ピアニストが、様々な歴史的名器の体験を経て、ドビュッシーとラヴェルの独特の香りと明晰さをもった音色に、どこまで迫ってくれるか、大いに楽しみである。上野 真 ピアノ・リサイタル公開録音コンサート上野 真ピアノ・リサイタル 月の光…1927年製エラールへの誘い11/23(水・祝) 15:00 びわ湖ホール 小ホール
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