eぶらあぼ 2016.10月号
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208CDSACDCDCDR.シュトラウス:ドン・キホーテ&ばらの騎士 他/ヤルヴィ&N響ラフマニノフ:チェロ・ソナタ(ファゴット編)/岡崎耕治成田博之バリトン・リサイタル2016ヴィヴァルディ:フルート協奏曲集/アンチロッティR.シュトラウス:交響詩「ドン・キホーテ」、交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」、「ばらの騎士」組曲パーヴォ・ヤルヴィ(指揮)NHK交響楽団トゥルルス・モルク(チェロ)佐々木 亮(ヴィオラ)ラフマニノフ:チェロ・ソナタ(ファゴット編)/クルフト:ファゴット・ソナタ/魚返明未:2つの小品/フォーレ:シシリエンヌ/グリエール:即興曲岡崎耕治(ファゴット)岡崎悦子(ピアノ)ヘンデル:樹木の蔭で/ヴェルディ:《リゴレット》より〈あいつは刀で人を刺す〉〈悪魔め鬼め〉/トスティ:四月、君をもう愛さない/デ・クルティス:忘れな草/中田喜直:木兎(みみずく) 他成田博之(バリトン)石野真穂(ピアノ)ヴィヴァルディ:フルート協奏曲「海の嵐」「夜」「ごしきひわ」、ピッコロ協奏曲RV443、協奏曲RV107/ルソー:ヴィヴァルディの春マリオ・アンチロッティ(フルート)イ・ソリスティ・ディ・ペルージャクラウディオ・ブリツィ(クラヴィオルガン)パオロ・フランチェスキーニ(ヴァイオリン) 他収録:2015.10/14,10/15、サントリーホール(ライヴ)ソニーミュージックSICC-19020 ¥3000+税マイスター・ミュージックMM-3087 ¥3000+税収録:2016.5/1、王子ホール(ライヴ)オクタヴィア・レコードOVCL-00601 ¥3000+税カメラータ・トウキョウCMCD-28337 ¥2800+税ヤルヴィ&N響の『R.シュトラウス:交響詩ツィクルス』第2弾。今回は「個性的な人物」を描いた作品が並ぶ。まず「ドン・キホーテ」は、“大交響詩”ではなく、“コミカルで哀しい人間物語”として表現されている。ドラマティックで表情こまやかなモルクのソロが(佐々木のヴィオラも)それに大きく貢献。これほど説得力のある同曲の演奏は稀だ。俊敏で引き締まった「ティル〜」、しなやかで艶美な「ばらの騎士」組曲も聴き応え十分。共にヤルヴィの特徴である細部の明瞭さが鮮烈な効果を発揮している。ブックレットの詳細な解説も含めて、充実の1枚。(柴田克彦)長くN響首席を務め、現在はソロ活動の一方、後進の指導にも力を注ぐ岡崎。無伴奏から室内楽まで、多様なステージや録音に取り組んできたが、悦子夫人との阿吽の呼吸によるデュオは、その核を成す。今回は、チェロ作品から岡崎自身が編曲した、ラフマニノフの名ソナタがメインに。わが国きっての名手の滋味に富む深い音色が、濃厚なロマンティシズムを増幅。続けて収録されたクルフトのソナタの、洒落た雰囲気との落差も面白い。さらに、ジャズ界で活躍する魚返明未(おがえりあみ)への委嘱作など、色彩は実に豊か。「ファゴットの未来を創ってゆく」との、岡崎の覚悟も伝わってくる。(笹田和人)この数年の間に、多くのオペラで主役級を歌い、現在の日本を代表するバリトンの一人として立ち位置を確立している成田博之。その最大の魅力である強く豊かな声を目一杯に聴かせるアルバム。その意味ではやはり、ヴェルディのアリア〈あいつは刀で人を刺す〉などが最も聴きごたえがある。これでもかと攻めてくる二枚目バリトンの風格漂う美声。トスティ〈四月〉〈君をもう愛さない〉などイタリア歌曲も同様のアプローチで、ともかく声の力で直球勝負という風情。拍手やブラヴォーの連呼も入って、その魅力に酔った会場のファンの感興もたっぷりと伝えてくれる。(宮本 明)温かな美音で幅広いレパートリーを吹きこなすイタリア人フルーティスト、アンチロッティによるヴィヴァルディの協奏曲集。母国のバロック演奏の長い歴史を踏まえつつ、古楽の成果も決して無視せず、むしろ巧みに包含し、現代的で流れの良い快演を繰り広げている。バックの器楽陣も、ブリツィのクラヴィオルガンをソリスティックに扱い、その音色を核にアンサンブルを構築することで、ヴィヴァルディのスコアが孕む、フルートとの“対話”の側面を浮き彫りに。ピリオド楽器のエッジの効いた表現もいいが、モダン楽器によるスタイリッシュな快演にも底なしの地力がある、と再認識させる。(寺西 肇)

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