eぶらあぼ 2016.10月号
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98シプリアン・カツァリス(ピアノ)“鍵盤の魔術師”の面目躍如たる多彩なプログラム文:飯田有抄エディタ・グルベローヴァ(ソプラノ)ベルカントの女王の健在ぶりを目撃する!文:石戸谷結子10/14(金)19:00 浜離宮朝日ホール 問 LEGARE 046-872-453710/15(土)15:00 藤沢市民会館 問 茅ヶ崎市楽友協会0467-82-3744※カツァリスの全国公演(リサイタル、協奏曲、広瀬悦子とのデュオ)については下記ウェブサイトでご確認ください。 http://www.legare-music.infoエディタ・グルベローヴァ オペラ名曲を歌う~2つの狂乱の場~11/9(水)19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 コンサート・ドアーズ03-3544-4577 http://www.concertdoors.com他公演10/19(水)茨城県立県民文化センター(029-241-1166)11/12(土)川口総合文化センター リリア(048-254-9900) あふれ出る音楽の喜び、グラデーション鮮やかなピアノの響き―― まさに“鍵盤の魔術師”のごとく、芸術と崇高な戯れを繰り広げるシプリアン・カツァリス。ここ数年、自作品およびオーケストラ曲のアレンジを土台とした即興演奏などで聴衆を湧かせる彼が、この秋も充実した内容のリサイタルを行う。 東京の浜離宮朝日ホールでは(10/ 14)「親和力」をテーマに、音楽文化や作曲家たちをつなぐ考え抜かれたプログラムを披露する。たとえば「ゲーテの作品と詩に書かれた作品」という切り口でベートーヴェンの「エグモント序曲」とメンデルスゾーン=リストの「ズライカ」を並べる。「友人同士のマズルカ」としてフォンタナとショパンのマズルカを取り上げる。さらに「ハプスブルク帝国の代表的な舞曲」や「友人同士のプレリュード」という切り口も用意されている。締めくくりはカツァリスの自作品「さよなら ラフマニノフ」だ。 もちろん古希を過ぎてからも、舞台に立つ歌手はいないではない。しかし、最高音が必要なコロラトゥーラの分野で、オペラの舞台でなお大活躍を続けるソプラノは、まさに古来稀なり、だ。なにしろ、2018年には「デビュー50周年」を祝う記念コンサートが、これまで活動の本拠にしてきたウィーン国立歌劇場、バイエルン国立歌劇場、チューリッヒ歌劇場で開催される。彼女は1968年にブラティスラヴァの歌劇場に《セビリアの理髪師》のロジーナでデビューしている。それからじつに、半世紀にわたりプリマドンナとして第一線で活躍し続けているのだ。 日本には1980年にウィーン国立歌劇場と共に初来日、カール・ベーム指揮の《ナクソス島のアリアドネ》ツェルビネッタで、驚異的な超絶技巧を披露した。その空気のように軽やかで、宙を舞うようにやわらかなコロラトゥーラに、日本の聴衆はすっかり魅了された。それからは来日のたびに日本の聴衆との絆が 翌日の藤沢市民会館(10/ 15)の公演は、前半でたっぷりとショパンを。ノクターン、ワルツ、ポロネーズ、幻想即興曲などを、カツァリスの馥郁たる音色で味わう。後半は、カツァリスにお任せのアラカルトとでもいおうか、シューマン、J.シュトラウスII、ラヴェル、ラフマニノフなどの彩り鮮やかな作品群。さらには「日本の曲」や、自作の「ありがとう ショパン」も加わるという充実ぶり。ピアノという楽器のあらゆる可能性、音楽史的なスペクタクルをも感じさせてくれるステージになりそうだ。深まり、日本にも熱烈なファンが大勢いる。年を重ねても声の艶は失われず、最高音もゆるぎない。独特の大きな弧を描くようにのびる高音と深い表現力に、そのステージを見た人は彼女の魅力のとりこになってしまうのだ。 今回のコンサートでは、これまで彼女が舞台で歌ってきたお得意のベルカント・アリアが並ぶ。しかも《ルチア》と《清教徒》の2つの長い“狂乱の場”まで歌うのだ。さらに近年になって開拓した新しいレパートリー、《異国の女》の珍しいアリアまで。常に挑戦しつづける、グルベローヴァの衰えないエネルギーに、感嘆!©Carole Bellaïche©http://lukasbeck.com
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