eぶらあぼ 2016.9月号
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67パリ管弦楽団と紀尾井シンフォニエッタ東京の名手たちによる室内楽版 マーラー交響曲第4番精鋭アンサンブルで織り成す“小編成”のマーラー文:飯尾洋一11/29(火)19:00 紀尾井ホール問 紀尾井ホールチケットセンター03-3237-0061 http://www.kioi-hall.or.jp 演奏者、曲目ともに注目すべき楽しみな公演が実現する。パリ管弦楽団と紀尾井シンフォニエッタ東京の名手たちが紀尾井ホールに集い、マーラーの交響曲第4番室内楽版を演奏する。紀尾井シンフォニエッタ東京のコンサートマスターでパリ管弦楽団の副コンサートマスターを務める千々岩英一を中心に、井上静香(ヴァイオリン)、篠﨑友美(ヴィオラ)、エリック・ピカール(チェロ)、池松宏(コントラバス)、ヴィセンス・プラッツ(フルート)、フィリップ=オリヴィエ・ドゥヴォー(クラリネット)他、そうそうたる12名のアンサンブルにソプラノの小林沙羅が加わる。 マーラーの交響曲第4番の編曲者は、シェーンベルクの友人であり弟子のエルヴィン・シュタイン。1918年、シェーンベルクはウィーンに私的演奏協会を設立して多くの同時代作品を上演した。その際、マーラーらのオーケストラ作品を演奏するために、このような室内楽版が生み出された。 マーラーの交響曲のような大編成の作品を室内楽版で演奏するとは一見逆説的だが、フルート、オーボエ、クラリネット、ヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、ピアノ、打楽器、ハーモニウムというコンパクトな編成にもかかわらず、この編曲は予想外の再現度の高さを感じさせる。そして、この編成だからこそ見えてくる作品の骨格があるのではないだろうか。 ほかにドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」、ヨハン・シュトラウス2世の「皇帝円舞曲」「南国のバラ」も室内楽版で演奏される。発見にあふれた一夜となるはず。パリ国立オペラ座少年少女合唱団天上から響く清純なレクイエム文:加藤浩子 世界を代表する歌劇場といえば、必ず名前があがるのがパリ国立オペラ座。17世紀にさかのぼる歴史を持ち、スタンダードなレパートリーに加えてフランス語オペラの伝統を守り続けてきた名門だ。 そのオペラ座で活躍する少年少女合唱団が、パリ国立オペラ座少年少女合唱団。オペラ座のオーケストラや合唱のレベルの高さは有名だが、少年少女合唱団も例外ではない。500名の精鋭を擁し、《カルメン》のようなオペラの舞台はもとより、コンサートを含めると内外で年間およそ180回の公演を行っている。技術の高さ、澄んだ美しい歌声に加え、個性を大切にするフランスらしい、自由でのびやかな歌いぶりが魅力だ。とりわけ1999年にガエル・ダーシェンを音楽監督に迎えて以来、演奏水準は飛躍的に向上し、レパートリーも広がった。 この10月、パリ国立オペラ座少年少女合唱団が待望の初来日を果たす。来日のために選ばれた70名が歌うプログラムのメインは、母国フランスの大作曲家ガブリエル・フォーレの「レクイエム」。モーツァルト、ヴェルディと並んで「3大レクイエム」の1曲とされる名曲中の名曲だが、3曲のなかでも日本人好みの端正な美しさに溢れている。実は本合唱団の前身は、セーヌ聖歌隊という教会音楽の合唱団。実力が認められてオペラ座の専属となったが、教会作品は十八番である。 天上の歌声による、フランス宗教音楽の名作プログラム。空気が澄んでくる秋に耳を傾けるのに、ぴったりのコンサートではないだろうか。10/26(水)19:00 東京芸術劇場 コンサートホール問 テイト・チケットセンター03-3402-991110/28(金)19:00 神奈川県民ホール問 tvkチケットカウンター045-663-999910/30(日)14:00 文化パルク城陽問 文化パルク城陽0774-55-101011/1(火)18:30 フェスティバルホール問 フェスティバルホールチケットセンター06-6231-2221http://www.tate.jp左より:千々岩英一/エリック・ピカール/ヴィセンス・プラッツ/フィリップ=オリヴィエ・ドゥヴォー/小林沙羅 ©Nippon Columbia

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