eぶらあぼ 2016.9月号
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669/29(木)19:00 王子ホール問 サンライズプロモーション東京 0570-00-3337http://uenokohei.comCD『Listen to…』日本コロムビア COCQ-85295¥3000+税8/24(水)発売上野耕平(サクソフォン)若き名手が奏でる“歌う”サクソフォンが興奮を呼ぶ取材・文:宮本 明Interview サクソフォン界のホープ上野耕平が第2弾のアルバム『Listen to⋮』を8月にリリース。9月には記念のリサイタルも開く。サクソフォンのためのオリジナル作品を集めたデビュー盤『アドルフに告ぐ』から一転、クラシック名曲による編曲作品集だ。 「“歌いたかった”のです、サクソフォンで。サクソフォンって、もしかして人間の声以上に“歌える”楽器だと思うので。でも有名なメロディだけを吹く、安易なイージーリスニングは絶対作りたくないと思いました」 安易でないどころか、聴き進むうちに目が点になるのが「熊蜂の飛行」(網守将平編曲)。原曲の旋律がそのまま使われているのは、たぶん2割に満たないのでは。フリージャズの即興のようなプレイが爆発する。 「変化球が一つ欲しかったので、とにかく“ヘンタイな熊蜂”(笑)にしてほしいと頼みました。速弾きのイメージのある曲ですが、そうではない『何じゃこりゃ!』を期待して。結果、想定以上のものになって難しかったですけど」 20分近い大作「カルメン・ファンタジー」も新たに生まれた(山中惇史編曲)。 「フルート用でもヴァイオリン用でもない、サクソフォンのための『カルメン・ファンタジー』が欲しいとずっと思ってました。これは超絶技巧を売りにせず、歌で聴かせる、音楽的に豊かな作品です。オペラ全編を観たぐらいの充実感があると思います。フルートやヴァイオリンの人がこれを演奏したいと言ってくれるのを待ってます(笑)」 曰く「超裏コンセプト」もあるのだそう。 「オーケストラ曲をやりたかったんです。サクソフォンはなかなかオケに入れてもらえないので、いいよ、じゃあ自分でやるからという(笑)。ムソルグスキーの『モスクワ川の夜明け』はそんなにメジャーではないと思いますけど、中学生の頃、知らない曲をインターネットで聴き漁っていた時に、メータとベルリン・フィルのヴァルトビューネの映像を見て、いつかやりたいと思っていた曲です」 1992年生まれ。今年24歳の若者の目は、音楽の新たな地平を見つめている。 「100年後に古典として取り組まれるような音楽を、われわれがこれから作っていかなければと考えています。もちろんベートーヴェンやモーツァルトは柱として大事ですが、同じことを繰り返しているだけでは、クラシック音楽は廃れる一方です。それに気づくことができたのは、新しい楽器で古典のレパートリーがないサクソフォン吹きだからこそ。表現の幅も広いし、サクソフォンでよかったなって、いつも思っています」9/16(金)19:00 王子ホール問 王子ホールチケットセンター03-3567-9990 http://www.ojihall.jp他公演9/10(土)パルテノン多摩(小)(042-376-8181)9/11(日)所沢市民文化センター ミューズ キューブホール(04-2998-7777)マハン・エスファハニ(チェンバロ)古楽界に新しい風をもたらす俊英が登場文:寺西 肇©Marco Borggreve 「繊細にして躍動的」と絶賛される新世代チェンバリスト、マハン・エスファハニはイランのテヘランに生まれ、アメリカで育った。世界各地で研鑽を積んだ後、ヨーロッパの古楽シーンの最前線で活躍し、昨年には弱冠30歳にしてイギリス・ギルドホール音楽院の教授に就任。昨年6月のライプツィヒ・バッハ音楽祭では、解釈・テンポ取りともに驚くべき“超個性的”なゴルトベルク変奏曲を聴かせていた。 注目の来日リサイタルは、エスファハニが「聴き手の心へダイレクトに語りかける」と評する、大バッハのフランス組曲から第4~6番を軸に。前半にはピーター・フィリップスや、ジャイルズ&リチャードのファーナビー父子らイギリス初期バロックの小品を、後半ではフランソワ・クープランのクラヴサン組曲第4巻の第24組曲からの5曲を添える。「チェンバロをピアノと比較するのではなく、独立した楽器として見てほしい。そして、いつか主流の楽器になれば」と語る俊英。その熱き情熱に、いち早く触れたい。
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