eぶらあぼ 2016.9月号
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168CDCDCDCDアルス サクソフォン・デュオ作品集/冨岡祐子&田中拓也さびしいみすゞ、かなしいみすゞ~金子みすゞの詩による歌曲集~/小泉詠子&田中 梢ツィゴイネルワイゼン~名曲コレクション/三浦文彰J.S.バッハ:パルティータ(全曲)/辰巳美納子ロバ:アルス/ピアソラ:ブエノスアイレスの夏、アレグロ・タンガービレ、来るべきもの、悪魔をやっつけろ/ロッセ:キシミックス/グバイドゥーリナ:2本のバリトン・サクソフォンのためのソナタ/バルトーク:44のデュオより/ガルデル:首の差で冨岡祐子、田中拓也(以上サクソフォン)髙島 豊:〈みすゞ、ふるさと仙崎をうたふ〉、〈さびしいみすゞ、かなしいみすゞ〉、〈命のゆくえ〉、〈幻想(まぼろし)〉小泉詠子(メゾソプラノ)田中 梢(ピアノ)ヴィエニャフスキ:華麗なるポロネーズ第1番/ドヴォルザーク:4つのロマンティックな小品/タルティーニ:悪魔のトリル/グルック:メロディ/ブロッホ:ニーグン/サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン三浦文彰(ヴァイオリン)田村 響(ピアノ)J.S.バッハ:パルティータ第1番~第6番辰巳美納子(チェンバロ)マイスター・ミュージックMM-3085 ¥3000+税ナミ・レコードWWCC-7815 ¥2500+税収録:2016.5/30,5/31、紀尾井ホール(ライヴ)エイベックス・クラシックスAVCL-25902 ¥3000+税コジマ録音ALCD-1160,1161(2枚組) ¥3400+税ひとたび名手が対峙すれば、決して「1+1=2」ではなく、その可能性は無限大に広がる。それを実証するような快演だ。共にソリストとして、そしてアンサンブルとして先鋭的な活動を行う、サキソフォニストによるデュオ。フランスの作曲家ロバによるタイトル曲は、重音奏法が深い奥行きを形創る。そして、グルーヴ感に満ちたピアソラ、2パートがパズルのように組み合わされるロッセ、音律の枠を超えるグバイドゥーリナ、原曲のヴァイオリンとは全く雰囲気の異なるバルトークと来て、最後は洒落たガルデルのタンゴで幕。ソプラノ、テナー、バリトンの楽器を自在に持ち替え、多層的な響きの宇宙を構築してゆく。 (笹田和人)作曲者は1960年生まれ。大学合唱団に在籍中に独学で作曲を始め、作品が1995年の全日本吹奏楽コンクールの課題曲に採用されるなどの実績がある。解説書によれば、これは13年前から書き溜めてきた金子みすゞの詩による歌曲を選って編んだ歌曲集で、その際、詩の内容によって4群に分けられている。どれも戦後の日本歌曲の流れの中にある正統的な作風。近年オペラでぐんぐん存在感を示している小泉詠子が、ここでは日本語歌唱の巧みさを示している。また、ピアノ・パートを能弁に語らせる作品が少なくないが、その要求に田中梢が十全に応えて好サポート。(宮本 明)『真田丸』メインテーマの演奏でも話題を集める俊英ヴァイオリニストが、今年5月に実力派ピアニスト・田村響と行ったリサイタル・ツアーの最終公演のライヴ録音。プログラムの中から、人気のある小品のみがピックアップされている。全体に、艶やかな音をたっぷり鳴らして、華麗なテクニックと情感豊かな歌い回しを聴かせる内容。これらが最上の効果を発揮した「悪魔のトリル」をはじめ、「メロディ(精霊の踊り)」の精妙な節回し、「ツィゴイネルワイゼン」の情熱的な表現など、随所で魅せられる。田村の雄弁なピアノも大きく貢献。密度の濃い小品が詰まった好ディスクだ。 (柴田克彦)本場オランダに学び、ソリストや通奏低音奏者として活躍するチェンバロの名手。ソロ・アルバム第2弾では、壮年バッハの野心作「パルティータ」全曲を取り上げた。この作品においては、舞曲という点ばかり重視し、過剰なルバートまみれの演奏も散見するが、辰巳は大バッハというフィルターを通した舞曲の在り方を追究し、全体として早めのテンポを選択。それでいて、音楽的に必要な揺らぎはきっちり掬い取り、楽章間の関係性も熟考して、非常に流れの良い快演に。現代の名工、ブルース・ケネディの手になるリュッカースのレプリカの清冽な音色も、全篇から溢れ出すかのよう。(寺西 肇)
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