eぶらあぼ 2016.8月号
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55伶楽舎第十三回雅楽演奏会 武満 徹「秋庭歌一具」武満の雅楽でダンス界の奇才が踊る一夜限りの出会い文:渡辺真弓レ・ヴァン・フランセ驚異的なアンサンブルが作品に命を吹き込む文:飯尾洋一11/30(水)19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 東京コンサーツ03-3200-9755 http://reigakusha.com10/24(月)19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 https://www.japanarts.co.jp※全国公演の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。 1985年の発足以来、芝祐靖音楽監督の下、雅楽の古典曲からの復元、現代作品に至るまで幅広い演奏活動を行ってきた雅楽演奏団体の伶楽舎が第十三回雅楽演奏会を開催する。曲目は、芝復曲・構成による「露台乱舞」と武満徹作曲「秋庭歌一具」の2本立て。とりわけ後者は、武満の代表作で、唯一の雅楽アンサンブルの作品である。伶楽舎では既に24回も演奏してきたが、今年が武満没後20年に当たることから、ダンス界の奇才、勅使川原三郎を振付、照明、そして舞に迎え、装いも新たに上演することとなった。勅使川原は、最近も本拠地のカラス・アパラタスでワーグナー作曲による『トリスタンとイゾルデ』やドストエフスキーの『白痴』などで、自在の境地を切り開いているだけに、勅使川原と佐東利穂子の出演がダンス・ファンとしては大いに気になるところだ。会場はメモリアル公演にふさわしく、武満の名を冠した東京オペ 現代最高の名手たちがそろった管楽器のドリームチーム。今年もレ・ヴァン・フランセが来日して妙技を披露してくれる。フルートのエマニュエル・パユを筆頭に、クラリネットのポール・メイエ、オーボエのフランソワ・ルルー、ホルンのラドヴァン・ヴラトコヴィチ、バソン(フランス式バスーン)のジルベール・オダン、ピアノのエリック・ル・サージュといった豪華な顔ぶれが集結する。 レ・ヴァン・フランセを聴く楽しみはふたつある。ひとつは驚異的な演奏水準の高さ。一人ひとりのテクニックが恐ろしく高く、おまけにアンサンブルとなったときに全体の音色が緻密にコントロールされており、レ・ヴァン・フランセでしか聴くことのできないサウンドが生まれてくる。しかも彼らは単に完璧さを求めているわけではない。とりわけパユの演奏に常に感じることだが、演奏する喜びと情熱にあふれ、作品に没頭して音楽に命を吹き込む。まさラシティ コンサートホール。ホールの空間を一つの宇宙に見立てて構想された舞台がどのようなスケールを生み出してくれるのか大いに期待したい。前半の「露台乱舞」は、平安後期から中世にかけて宮中で行われていた歌舞の宴にその瞬間に作品が誕生したかのような生々しさがある。 もうひとつの魅力はレパートリーの新鮮さ。彼らは既存名曲を安易に木管五重奏用に編曲したりはせず、オリジナルの形で演奏可能な曲を選び、ときには現代作品も果敢にとりあげる。今回も1948年生まれの作曲家フィリップ・エルサンがレ・ヴァン・フランセのために書いた「六重奏曲」が日本初演される。さらにベートーヴェン「五重奏曲 変ホ長調」、マニャール「五重奏曲 op.8」、そして得意のプーランク「六重奏曲」が演奏され、実に多彩だ。エキサイティングな一夜になるはず。を再現したもので、管絃、催馬楽、乱舞と今様などを組曲に構成、雅楽の古典様式がたっぷり味わえる内容である。 秋の一夜、雅楽を楽しみながら、平安時代にタイムスリップしてみるのはさぞかし風流なことだろう。勅使川原三郎 ©Norifumi Inagaki伶楽舎 武満 徹「秋庭歌一具」より©wildundleise.de/Georg Thum

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