eぶらあぼ 2016.8月号
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53福島復興祈念 キャサリン・ジェンキンス チャリティーコンサート~いわき市市制施行50周年記念英国のディーヴァが「心の復興」支援文:東端哲也イヴリー・ギトリス(ヴァイオリン)音楽とは、“生きる”こと文:寺西 肇8/28(日)16:00 いわき芸術文化交流館アリオス問 アリオスチケットセンター0246-22-5800 ビザビジョン03-5778-3403http://iwaki-alios.jp第一夜 9/11(日)19:00 第二夜 9/14(水)19:00 紀尾井ホール問 テンポプリモ03-5810-7772 http://www.tempoprimo.co.jp 昨年10月、世界的ソプラノ歌手のキリ・テ・カナワらを招き、いわき芸術文化交流館アリオスで福島の復興を願うチャリティーコンサートを成功させた日立グループ3社が、今年はスーパー・ヴォーカリスト、キャサリン・ジェンキンスを迎え、音楽による「心の復興」支援活動を継続する。 英国王立音楽院出身のジェンキンスは、クラシカル・クロスオーヴァーの先進国である英国で2004年にデビュー以来、アルバム・チャートのカテゴリーを超えてヒット作を連発した。近年は女優業にも進出して活躍を続ける彼女は、従来から慈善活動に熱心なことでも知られている。11年12月に来日した際にも、東日本大震災の被災地である宮城県の複数の小学校を訪問し、歌の贈り物や歌唱指導などの交流を積極的に行い話題を呼んだ。 「次のコンサートは、いつだ?!」。御年94歳のヴァイオリン界のレジェンド、イヴリー・ギトリスは、退院するや否や、こう捲し立てたと言う。今春に予定された来日公演が、体調不良を理由に中止され、ファンを落胆させたのが嘘のよう。巨匠は2週間の入院生活を終えると、フランスやスペインで充実したステージを聴かせるなど、より精力的な活動を展開。「音楽とは、生きること。そして、生きることは音楽」との自身の言葉を体現している。 そんな不屈の巨匠が、日本のファンにも“完全復活”を宣言する。2夜にわたるリサイタルは、気心の知れたアルメニア出身のピアノの名手、ヴァハン・マルディロシアンがパートナー。まず第一夜では、ベートーヴェンの第5番「春」とヒンデミット、2つの名ソナタを軸に、マスネ「タイスの瞑想曲」など小品もたっぷりと。そして、第二夜はモーツァルトの第28番とフランク、やはり2つの名ソナタを核として、「美しきロスマリン」「愛の悲しみ」など、クライスラーを中心に名旋律を添える。 プログラムは現時点で未定だが、オペラ・アリア、歌曲、民謡、アンセム、ミュージカル・ナンバー、そしてジャズ・スタンダードと幅広いレパートリーを誇る彼女だけに、バラエティーに富んだプログラミングに期待が高まる。8月には、エリザベス女王90歳の誕生日や(2015年に母親となった)自身への祝福を込めて書かれた新曲などを収録したニュー・アルバム『セレブレーション』の国内盤リリース(イギリスでの発売は今年4月)もあり、ちょうど今年がいわき市の市制施行50周年の記念にあたることから、コンサート当日の盛り上がりは既に約束されたようなものかもしれない。 愛器の1713年製ストラディヴァリウス“Sancy”と自分との関係を「馬と騎士」に、音楽を「永遠に共に過ごす、私の宇宙」となぞらえて、「生きていること自体が、チャレンジだ」と言い切るギトリス。今回は、春に予定していた公演よりも、さらに充実した内容となっている。気力ともに充実した老騎士が自ら広げた、愛馬を駆っての「真剣勝負」の場。それは、聴衆にとって、巨匠の美音と熱い息吹に触れる、愉悦の時間が増えたことを意味する。©venni
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