eぶらあぼ 2016.8月号
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49ゲヴァントハウス弦楽四重奏団 & 仲道郁代(ピアノ)200年超の伝統の響きで味わう超名曲文:柴田克彦東京フィルハーモニー交響楽団 ハートフルコンサート 2016聴く人を優しい気持ちにするコンサート文:飯尾洋一9/29(木)19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 https://www.japanarts.co.jp※全国公演の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。8/15(月)18:30 サントリーホール問 東京フィルチケットサービス03-5353-9522 http://www.tpo.or.jp 積み重ねがモノをいう弦楽四重奏にとって、伝統ほど強い武器はない。その意味で最強というべきゲヴァントハウス弦楽四重奏団が、秋に来日公演を行う。彼らは、1809年ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のメンバーによって創設された、世界最古の弦楽四重奏団。このジャンルの確立者ハイドンの没年から今日に至るまで、同楽団の首席奏者を軸に活動してきた。共演者の顔ぶれは、クララ・シューマン、ブラームス、グリーグなど音楽史そのもの。そうした歴史が染み込んだ滋味深い響きと模範的な解釈、緻密な表現力を併せ持つ演奏で、聴く者を魅了している。 現メンバーは、1987年に22歳でゲヴァントハウス管の首席コンサートマスターに任命され、93年から同四重奏団の第1ヴァイオリン奏者を務めるフランク=ミヒャエル・エルベンを中心とした4名。 さらに今回は、デビュー30周年を迎えた人気ピアニスト・仲道郁代が広がり 終戦記念日の8月15日、今年も東京フィルが黒柳徹子のトークを交えて『ハートフルコンサート』を開催する。毎夏恒例のこのコンサートでは、親しみやすい名曲の演奏の合間に、黒柳徹子がユニセフ親善大使として各地を巡った際の近況が報告され、子どもたちが健やかに日々を過ごせることの大切さを改めて実感できる特別なコンサートとなっている。 今年はリオデジャネイロ五輪が開催されるオリンピック・イヤーということもあり、まずは今井光也の「東京オリンピック・ファンファーレ」と古関裕而の「東京オリンピック・マーチ」で幕を開け、続いて黒柳徹子の語りとオーケストラによって小森昭宏作曲の音楽物語「窓ぎわのトットちゃん」が演奏される。『窓ぎわのトットちゃん』といえば累計800万部という戦後最大のベストセラーを加える。演目は極め付けの名曲集。ハイドンの「ひばり」は、ひばりのさえずりに似た主題で知られる、古典派の中でも親しみやすい1曲であり、ドヴォルザークの「アメリカ」は、通常ならメインを成す弦楽四重奏の大看板。アメリカ滞在中の作曲者が望郷の念をこめたメロディの数々が琴線を刺激する。そしとなった黒柳徹子の自伝的物語。これを「トットちゃん」自身の語りで音楽物語として楽しむことができる。初演以来、たびたび上演されてきた人気の演目だ。 指揮を務めるのは尾高忠明。黒柳徹子とは長年の親交があり、ふたりのて仲道を加えたシューマンのピアノ五重奏曲。ライプツィヒゆかりの作曲者による同形態の代表曲にして、豊麗なロマンとダイナミズムが共生した魅力作である。この曲は円熟味を増す仲道と名手たちの応接が実に楽しみだ。滅多にないほど旋律美に富んだ本公演は、室内楽入門にも最適!絶妙な掛けあいも見どころのひとつ。型にはまらない率直な語り口ににじみ出る黒柳徹子の温かい人柄が『ハートフルコンサート』の大きな魅力となっている。聴く人を優しい気持ちにしてくれることだろう。仲道郁代ゲヴァントハウス弦楽四重奏団 ©Jens Gerber2015年の公演より ©三好英輔黒柳徹子尾高忠明 ©Martin Richardson

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