eぶらあぼ 2016.8月号
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46京都岡崎音楽祭『OKAZAKI LOOPS』~駆け巡る第一線のアーティストが提示する新しい形の“音楽祭”文:乗越たかおグジェゴシュ・ノヴァック(指揮) 東京ニューシティ管弦楽団復興支援が生んだ巨匠ツィメルマンとの邂逅文:柴田克彦9/3(土)、9/4(日) ※9/2(金)(前夜祭)ロームシアター京都、みやこめっせ、京都国立近代美術館 他問 OKAZAKI LOOPS 実行委員会事務局 075-711-2980※詳細は下記URLでご確認ください。 http://www.okazaki-loops.com11/1(火)19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 東京ニューシティ管弦楽団 チケットデスク03-5933-3266 http://tnco.or.jp 今年リニューアルオープンした「ロームシアター京都」がある岡崎地域には、様々な文化施設が集まっている。それらを“使い倒す”アートの祭典が『OKAZAKI LOOPS』である。ディレクターは、広上淳一(クラシック音楽)、高木正勝(音楽)、名和晃平(美術)、首藤康之(ダンス)、細尾真孝(伝統工芸)という各界からの錚々たる顔ぶれだ。 特筆すべきは『LOOPSオープニング』。振付家・ダンサーである中村恩恵の構成・演出・出演で、首藤康之も出演する。中村と首藤はともに世界で活躍し、その豊かな世界観と、深い音楽への理解で共働も多い。さらに新国立劇場バレエ団からもダンサーが参加し 巡り合わせは、時に思わぬ結果をもたらす。東京ニューシティ管の11月の定期演奏会に、かのクリスチャン・ツィメルマンが出演するニュースは、大きな話題を呼んでいる。これは彼が、ポーランドの作曲家クナピクの協奏曲の日本初演を行うと同時に、東日本大震災の復興支援を申し出ていた公演。ところがポーランドでの世界初演が延期されたため、日本での演奏も叶わなくなった。ならば出演中止かと思いきや、彼は被災者支援を優先。演目をベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番に変更し、予定通り(ツィメルマンと指揮者は無償にて)出演することと相なった。 こうなると別の楽しみが生じる。それはもちろん、世界屈指のピアニスト、ツィメルマンが弾くベートーヴェンの協奏曲が聴けること。バーンスタイン&ウィーン・フィルとの録音から27年、ストイックに音を吟味し、細部に神経をて、華々しく開幕を飾る。ピアノの福間洸太朗が共演するのも話題だ。 ベルギーのダミアン・ジャレの新作『VESSEL』は、強力な磁場でねじ曲がったかのような身体造形が、固体と液体の境を超越する名和晃平の舞台美術と渾然一体となる。森山未來も出演する。 「『ALMA MUSIC BOX:死にゆく星の旋律』コンサート with 京都市交響楽団」も注目だ。「ALMA MUSIC BOX」は「史上最大規模の電波望遠鏡『アルマ』が受信した、星が死ぬ間際のデータ」を、音としてオルゴール盤に置き換えたアート作品。そのメロディをもとにミュージシャンが創った曲を、広上淳一指揮による京都市交響楽団が世界初演する。張り巡らした演奏法を究める今のツィメルマンが、デリケートで叙情的な第4番をいかに奏でるか? 興味津々であるのは論をまたない。また、元々のプログラムの中でも、ゴルチャコフ編曲の「展覧会の絵」が大注目だ。モスクワ音楽院の教授だった編曲者が1954年に発表した同版は、原曲のピアノ版に沿ったもので、ラヴェル編に比べるとロシア風の色合いが強く、打楽器を多用した響きが耳を刺戟する。指揮は、ツィメルマンと同じくポーランドに生まれ、現在ロイヤル・フィルのパーマネン 映画やCM音楽などで活動を展開する高木正勝は、アイヌなど多様な文化の音楽を融合させたコンサート『大山咲み(おおやまえみ)』を行う。 このフェスの恐るべきところは、盛りだくさんの企画が、ほぼ2日間で行われることだ(9/2は前夜祭)。サブタイトルどおり「駆け巡る」こと必至の、忘れがたい経験になるだろう。ト・アソシエイト・コンダクターを務めるグジェゴシュ・ノヴァック。見どころの多い当公演は、東京ニューシティ管が掲げるモットーの“いつもなにかがあたらしい”を実感する好機でもある。広上淳一 ©Greg Sailor首藤康之 撮影:繰上和美『VESSEL』パフォーマンスイメージ名和晃平 撮影:表 恒匡クリスチャン・ツィメルマン ©KASSKARA/DGグジェゴシュ・ノヴァック
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