eぶらあぼ 2016.8月号
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388/9(火)~9/9(金) キッセイ文化ホール(長野県松本文化会館)、まつもと市民芸術館、ザ・ハーモニーホール(松本市音楽文化ホール)、あがたの森文化会館 他問 チケット・インフォメーション・ダイヤル0570-084-735 http://www.ozawa-festival.com2016セイジ・オザワ 松本フェスティバル今年も松本が世界トップレベルの音楽で満たされる!文:山田治生 『サイトウ・キネン・フェスティバル松本』から『セイジ・オザワ 松本フェスティバル』(OMF)に名称を変更してから2回目の開催となる今年、総監督・小澤征爾がサイトウ・キネン・オーケストラ(SKO)を相手に指揮するのは、ブラームスの交響曲第4番。昨年、OMFで指揮する予定であったが、体調不良のため変更になった曲目。SKOとは1989年のヨーロッパ・ツアーで取り上げて、CD録音しているものの、松本では初披露となる(オーケストラ コンサート Aプログラム 8/18,8/22)。小澤の円熟を聴くのにこれ以上の曲はないであろう。演奏会前半は、ファビオ・ルイージがオネゲルの交響曲第3番「典礼風」を振る。メトロポリタン歌劇場首席指揮者やチューリヒ歌劇場音楽総監督を務めるルイージは、3年連続のOMF登場。SKOのメンバーからの信頼も厚く、今年は、Bプログラムのマーラーの交響曲第2番「復活」も手掛ける(8/19,8/21)。 今年のオペラ公演は、小澤征爾音楽塾オーケストラがピットに入るラヴェルの《子どもと魔法》(9/6,9/9)。松本の《子どもと魔法》といえば、2013年に小澤征爾が指揮した公演のCDがグラミー賞を獲得したことでも知られる。今回も当初は小澤が指揮する予定であったが、体調面の配慮から小澤に代わって、エリック・ミーリアが指揮することになった。マリー・ルノルマン、アナ・クリスティ、ジャン=ポール・フーシェクールら外国人歌手も参加。演出はデイヴィッド・ニース(2013年とは別のプロダクション)。 そのほかに小澤総監督が出演するコンサートに『セイジ・オザワ 松本フェスティバルGig』がある(8/28)。2013年に村上春樹によって命名された『Gig』。ジャズ・ミュージシャンとの共演や若いアーティストの登場のあるこのコンサートで、今年、小澤が指揮するのは、マーカス・ロバーツ・トリオとの「ラプソディー・イン・ブルー」。また、今回の『Gig』では、マーカス・ロバーツ・トリオと村上寿昭指揮SKOとの共演で、マーカス・ロバーツの「ラプソディー・イン・ディー」(委嘱新作)の世界初演もある。村上は、小澤征爾の愛弟子であり、リンツやハノーファーの歌劇場で活躍している俊英。SKOを相手にプロコフィエフの「ロメオとジュリエット」(抜粋)やイベールの「ディヴェルティスマン(喜遊曲)」も指揮する。 この4月に7年ぶりにベルリン・フィルと共演して名演を聴かせた小澤だけに、自らの名が冠されたこのフェスでも渾身の演奏を繰り広げることは間違いない。9/11(日)15:00 彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホール問 彩の国さいたま芸術劇場0570-064-939 http://www.saf.or.jp/arthall彩の国さいたま芸術劇場 ピアノ・エトワール・シリーズ vol.29田村 響 ピアノ・リサイタル挑み続ける俊英の冴え渡るピアニズム文:飯田有抄©武藤 章 全国各地でのコンサート出演に加え、現在は京都市立芸大専任講師として後進の指導にもあたる田村響。29歳の彼が、29回目を迎えるピアノ・エトワール・シリーズ(彩の国さいたま芸術劇場)に登場する。20歳でロン・ティボー国際コンクールを制してから9年。多忙なスケジュールと周囲からの期待に萎縮した時期もあったという。だが、ザルツブルクでの研鑽を終え、日本での学位取得や関西を拠点とした新たな活動を始め、自らの視野を広げようと常に挑戦を続けてきた。 そんな田村が今、向き合おうと選んだプログラムはベートーヴェンとショパン。前半のベートーヴェンは「悲愴」と「ワルトシュタイン」という同主調(ハ短調とハ長調)のソナタだ。暗から明へという物語を意図したという。後半のショパンは、4つのスケルツォを全曲披露する。第3番と第4番は、田村にとって初挑戦の曲目だ。迷い、挑み、エネルギーを放つ田村のピアノが冴え渡るステージとなりそうだ。小澤征爾 ©Shintaro Shiratoriファビオ・ルイージ ©BALU Photographyジャン=ポール・フーシェクール マーカス・ロバーツ・トリオ
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