eぶらあぼ 2016.7月号
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50はず。これまでもヴィオラの芸域の広さのおかげでいろんな音楽体験ができましたが、最近指揮を学ぶことで自分の役割も見えてきた気がします。今回は自分へのお祝いというよりは、これまで支えてくれた周囲へ感謝の気持ちを示したいですね」川本嘉子 生誕半世紀記念 チャリティイベント7/20(水) 第1部 14:00 第2部16:00 第3部18:00Hakuju Hall問 Hakuju Hallチケットセンター 03-5478-8700https://www.hakujuhall.jpCD『シャコンヌ~無伴奏ヴィオラ作品集~』マイスター・ミュージックMM-3080¥3000+税6/25(土)発売Photo:Yoichiro Nishimura川本嘉子(ヴィオラ)深遠なる無伴奏の世界を紡ぐ取材・文:東端哲也Interview サイトウ・キネン・オーケストラや水戸室内管の常連で、昨年の「東燃ゼネラル音楽賞」奨励賞受賞も記憶に新しい、日本が誇るヴィオラ奏者・川本嘉子。待望の新録音ではしっとりと艶やかに深遠なる「無伴奏」の世界を紡ぎ出した。 「バッハの無伴奏曲はどれも軽い気持ちで演奏できる作品ではないので、お話しをいただいてからは、できるだけ前向きに自分を奮い立たせてレコーディングに臨みました。チェロ組曲も、特に調弦を変えて収録した5番が手ごわかったのですが、やはり『シャコンヌ』(無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番の終曲)は移調によって音色も変化し、身体に荷重がずっしりとかかるので、練習するだけでヘトヘト(笑)。収録も最後になりましたが、技巧に流されることなく本来の舞曲が持つテーマを、ヴァリエーション豊かに膨らますことができたと自分では満足しています」 バッハと同時代のテレマンによる無伴奏ヴァイオリンのための「12のファンタジー」から、教会ソナタの形式に沿った構成を持つ第7番も必聴だが、ロマン派時代のベルギー出身のヴュータンがヴィオラのために書いた「カプリッチョ ハ短調」は、シューマンをして「小さなパガニーニ」と言わしめた鬼才の芸風を巧みに伝える。 「テレマンは一つひとつのフレーズに古典としての雰囲気を滲ませることに留意し、音程も“古めかしさ”を狙いました。ヴュータンは手の小さい私にとってはことさら難曲で、これまでそれとなく避けていたのですが(笑)、今回のタイミングで録音できて嬉しいです」 7月にはHakuju Hallで『生誕半世紀記念』と題した3部からなるチャリティ・イベントを実施。多彩なゲストを迎え、自身にとっては初めてシューマンを中心としたプログラムを用意する。 「第1部は医師でピアニストの上杉春雄さんをゲストに、そのユニークな視点ならではの講演会とセッションを。演目は『女の愛と生涯』を予定しています。このほか第3部ではピアニストの小菅優さんをお迎えすることが決まっていますが、第2部のスペシャル・ゲストは当日まで秘密ですのでお楽しみに! ハーモニーの美しいシューマンは、倍音がヴァイオリンより多いヴィオラで弾く方がずっと心地いい8/11(木・祝)~9/4(日) 軽井沢大賀ホール、軽井沢ユニオンチャーチ、軽井沢ニューアートミュージアム 他問 軽井沢大賀ホールチケットサービス 0267-31-5555http://kimf.net軽井沢国際音楽祭 2016都会から逃れ、自然の中で音楽に浸ろう文:笹田和人昨年の模様 Photo:半田勇二 120年以上にわたり、世界的な避暑地として、癒しの時間を提供してきた軽井沢。この地で毎夏開かれている「軽井沢国際音楽祭」は、前身となる「Karuizawa & Music」のスタートから、15回目の節目に。今年は、期間中の週末には必ず、街のどこかでコンサートが開催されるという。 まずは、若手を対象として講習会(8/11~8/18)が先行スタート、成果を披露するステージも(8/14,8/18)。シリーズ「軽井沢おんがく散歩」は、ヴァイオリン小林美恵やクラリネット横川晴児(同音楽祭音楽監督)らのモーツァルトの五重奏曲(8/27)や、ヴァイオリン倉富亮太らによるベートーヴェンの弦楽四重奏曲第9番(8/28)など、音楽祭発祥の地・軽井沢ユニオンチャーチを中心に、個性的な5つのステージを用意。また、軽井沢大賀ホールでは、小林や横川、ピアノ野平一郎ら豪華な顔ぶれが集結し、多彩な室内楽の“響演”を(9/3)。さらに、出演のプロ奏者や受講生、アマチュア奏者らが一堂に会してのフェスティバル・オーケストラも、横川のタクトにより、ストラヴィンスキーの組曲「火の鳥」(1919年版)などの響きでホールを満たす(9/4)。
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