eぶらあぼ 2016.7月号
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48第22回 浜松国際管楽器アカデミー&フェスティヴァル教授陣によるトランペットナイト8/3(水)19:00 アクトシティ浜松 音楽工房ホール問 プロアルテムジケ03-3943-6677*詳細はオカムラ&カンパニーのウェブサイト(http://okamura-co.com)にアップされる予定。CD『トランペット・テールズ』日本アコースティックレコーズNARD-6004¥3000+税6/21(火)発売取材・文:寺西 肇イエルーン・ベルワルツ(トランペット)“多様性”こそ、人生のスパイスInterview 北ドイツ放送交響楽団の元首席トランペット奏者で、現在は凛とした美音と幅広い表現力を武器に、ソリストとして国際的に活躍するベルギー出身のイエルーン・ベルワルツ。「“多様性”こそ、人生のスパイス」と語る名手が発表したCD『トランペット・テールズ』は、ジャンルを超越した様々な楽曲が、スタイリッシュにそして彩り豊かに演奏されている実に魅力的なアルバムだ。 「料理で特徴的な味が他を引き立てるように、音楽では“多様性”という強烈なスパイスが常に必要です。私は今回、有名な曲と新しい作品の両方を選びました。スタンダードな名曲はやはり重要ですが、自分が普段から取り組んでいる現代ものやジャズなど少し軽い感じの楽曲も、ぜひ聴いていただきたいと考えていました」 当盤の堅固な枠組みを成すのは、ベルギーの名トランペット奏者テオ・シャルリエ(1868~1944)の「エチュード・イン・スタイル」からの3曲。無伴奏による、静謐で荘厳な楽想は、単なる“練習曲”のイメージを覆す。 「母国の優れたトランペット奏者の系譜の中で、シャルリエは最も偉大な1人。ベルギーのトランペッターは、彼のエチュードを吹いて育っているといってもよいでしょう。その書法と和声の処理が大好きで、常に刺激を与えられています」 また、細川俊夫の「霧のなかで」は、ベルワルツが2年前に初演したトランペット協奏曲から、2015年秋のリサイタルツアーの録音のために、作曲者の手でピアノ伴奏版に改められた。 「ヘルマン・ヘッセの同名詩に基づいて書かかれた作品です。基本的なアプローチは変わりませんが、効果は全く違いますね。ピアノが“小さなオーケストラ”と化す一方で、より親密に、しかも柔軟に演奏できますから」 ピアノの中川賢一も、心地よい緊張感に満ちた快演を聴かせている。さらに、「トランペットが声のように扱われ、会話のよう。旋律も美しく、深遠な傑作」と語る武満徹「径」をはじめ、リゲティやジャズまで、自在な編曲を伸び伸びとしたプレイで披露。 「あるジャンルや作曲家の音楽を『知らないから』といって、聴かないことがあるかもしれませんが、それはあまりにも勿体ないことです。もう一度言いましょう、“多様性”こそが、人生のスパイスだ、と」 そして、「私にとって、いかにして人々に音楽を届け、聴衆の心を揺さぶり、“旅”へと連れ出し、作曲家の声を伝えるかが、最大の課題です。それができればこの上ない喜びですし、自分の責任でもあります」と熱く語るベルワルツ。「常に真摯であることが大きな力となり、音楽の真の美への道に導いてくれます。そんな、自分自身を正直に表現できるアーティストでありたいですね」と締め括った。 またベルワルツは、8月には浜松で、12月には東京と名古屋のコンサート*に出演する。こちらも要チェックだ。7/14(木)14:00 王子ホール問 王子ホールチケットセンター  03-3567-9990 http://www.ojihall.jpギンザ・ブックカフェ・コンサート Vol.2 「わたしが愛した音楽たち。」江國香織(作家)×上森祥平(チェロ)×三和睦子(チェンバロ/ポジティフ・オルガン)音楽を慈しむ作家・江國香織とともに過ごす夏の午後文:宮本 明江國香織上森祥平三和睦子 ©Yuji Hori 音楽を愛する作家がナビゲーターとしていざなう『ギンザ・ブックカフェ・コンサート』。1年前に平野啓一郎で始まった企画の2回目は、直木賞作家の江國香織がゲスト。「私は言葉の持つ力を信じているが、即効性という点で、言葉はやっぱり音楽にかなわない」とは、『空から降る音楽』というエッセイの彼女の言(このエッセイでは、当公演で演奏されるオルガン曲の入ったCDにも触れている)。さまざまな作品の中に登場する音楽のシーンからは、ジャズにポップスにクラシックに、守備範囲の広い音楽好きであることがうかがわれる。 公演はコンサートを中心に据えた3部構成。コンサートは上森祥平(チェロ)と三和睦子(チェンバロ/オルガン)を招いて、「無伴奏チェロ組曲」など数曲のバッハを中心に据えたバロック・プログラムだ。コンサートの前には江國による『わたしと音楽』と題されたトーク、そしてコンサート後の第3部では、出演者とのクロストークも。どんな話題になるだろうか。公演名に「カフェ」が付くのは飾りではなく、コンサート前後にはお茶のサービスも。素敵な銀座の夏の午後が過ごせそうだ。

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