eぶらあぼ 2016.7月号
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46佐東利穂子 ©Saburo Teshigawara森谷真理宮本益光鈴木 准髙橋 維ガエタノ・デスピノーサ妻屋秀和勅使川原三郎 ©Norifumi Inagaki9/17(土)、9/19(月・祝)各日15:00 愛知県芸術劇場問 クラシック名古屋052-678-5310 http://aichitriennale.jpあいちトリエンナーレ2016 オペラ《魔笛》勅使川原三郎が新たに描くモーツァルトの名作文:渡辺真弓 愛知県を舞台にした現代アートの祭典<あいちトリエンナーレ2016>が8月11日~10月23日、名古屋、豊橋、岡崎の3都市で開催される。同企画は今年で3回目。ここではメインのプロデュースオペラ、モーツァルト《魔笛》についてご紹介しよう。《魔笛》は、モーツァルトが最後に作曲した名作中の名作オペラ。王子タミーノと王女パミーナが試練を乗り越えて旅を続ける物語は、『虹のキャラヴァンサライ 創造する人間の旅』というトリエンナーレのテーマそのものでもある。 注目すべきはまずスタッフの顔ぶれ。演出に世界的に活躍するダンサー、振付家の勅使川原三郎を、指揮にイタリアのパレルモ出身で、現在ミラノ・ヴェルディ交響楽団の首席客演指揮者を務める気鋭のガエタノ・デスピノーサを迎える。トリエンナーレならではのコラボレーションからどんな《魔笛》が誕生するのか興味津々だ。というのも、勅使川原は、オペラ演出のキャリアが豊富で、昨年も藤倉大作曲の新作オペラ《ソラリス》を台本から演出まで担当、パリなど3都市の上演を成功させたのが記憶に新しい。今回も、演出から装置、照明、衣裳まで自ら手がけるが、中でもダンス・シーンも大きな話題となりそうだ。 「オペラは巨大建築のようなもので、動くオペラを創りたい。愛知県芸術劇場は間口が広く、照明に重点を置いて演出したいと思う。歌手の方々には最高の歌を歌ってほしい」と抱負を語っている。 ドイツ語上演だが、セリフは日本語のナレーション。勅使川原のパートナーである佐東利穂子がダンサーとして出演するほか舞台上で進行役を務める。東京バレエ団のソリストたちが出演するのも話題だ。 歌手陣もトップ・レベル。賢者ザラストロにライプツィヒを拠点に国際的に活躍する妻屋秀和、夜の女王に同役に定評ある髙橋維、タミーノに実力派の鈴木准、パミーナにウィーン在住の森谷真理、パパゲーノに宮本益光、その恋人パパゲーナに醍醐園佳といった強力な面々が揃い、華やかな声の饗宴が繰り広げられることだろう。 指揮のデスピノーサはヴァイオリニストとしてキャリアをスタートし、作曲も手がける多才な人。名古屋フィルと愛知県芸術劇場合唱団との初共演も楽しみだ。9/1(木)19:00 Hakuju Hall問 プロアルテムジケ03-3943-6677 http://www.proarte.co.jpイアン・バウスフィールド(トロンボーン)最高峰の音色とスライドの妙技に酔う!文:柴田克彦 「まさに離れ技」と英誌に絶賛されたイアン・バウスフィールドは、いま聴きたいトロンボーン奏者の筆頭格。それゆえ9月の日本でのリサイタルは見逃せない。1964年生まれの彼は、ロンドン響の首席奏者を12年間務め、2000年には英国人初のウィーン・フィル(&ウィーン国立歌劇場管)首席奏者に就任した。そして様々な一流指揮者や著名楽団と共演し、08年にはムーティ指揮ウィーン・フィルの日本公演でもロータの協奏曲を披露。現在は、英国王立音楽院等で教鞭をとりながら、ソリストとして世界の第一線で活躍している。その演奏はまさしく変幻自在。英誌は冒頭の言葉に続けて、「音楽づくりのエッセンスを的確にとらえ、恐ろしいほど難しいパッセージさえも軽やかに奏で、呆然とさせられる」と賞した。 今回は、美しい音色となめらかなフレージングで魅せるラフマニノフなどの歌曲や、超絶技巧で圧倒する「ヴェニスの謝肉祭」ほか演目も多彩。しかも会場は300席のHakuju Hallだけに、間近で妙技に接する貴重な機会となる。

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