eぶらあぼ 2016.7月号
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32トゥガン・ソヒエフ ©Marco Borggreve10/14(金)19:00 マリインスキー劇場管弦楽団 10/31(月)19:00 NHK交響楽団11/18(金)19:00 パリ管弦楽団 11/22(火)19:00 サンフランシスコ交響楽団特別プログラム10/29(土)16:00 ブラック・ダイク・バンドNHKホール問 ハローダイヤル03-5777-8600/NHKプロモーション音楽祭係03-3468-7736http://www.nhk-p.co.jpNHK音楽祭 2016メモリアル・イヤーの芸術家たちを称えて取材・文:飯尾洋一 この秋もNHKホールを舞台にNHK音楽祭が開催される。例年トップレベルのオーケストラが招かれる同音楽祭だが、今年も豪華なラインナップが実現した。ワレリー・ゲルギエフ&マリインスキー劇場管弦楽団(10/14)、トゥガン・ソヒエフ&NHK交響楽団(10/31)、ダニエル・ハーディング&パリ管弦楽団(11/18)、マイケル・ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団(11/22)がそれぞれ充実したプログラムを披露してくれる。 オーケストラ公演のテーマは「偉大なる芸術家たちへ」。それぞれメモリアル・イヤーを迎える芸術家たちにスポットを当てているのが特徴だ。 まず、ワレリー・ゲルギエフ指揮マリインスキー劇場管弦楽団がとりあげるのは、ベルリオーズの大作、劇的交響曲「ロメオとジュリエット」(日本語字幕付)。こちらはシェイクスピア没後400年にちなんだ選曲である。ユリア・マトーチュキナ(メゾソプラノ)、ディミトリー・コルチャック(テノール)、ミハイル・ペトレンコ(バス)とマリインスキー劇場合唱団の声楽陣が加わる。ベルリオーズ作品のなかでもとりわけ魅力的な楽想にあふれた作品であり、全曲を聴ける機会は貴重だ。 NHK交響楽団を指揮するのは、若きカリスマ、トゥガン・ソヒエフ。没後20年を迎えた武満徹の「マイ・ウェイ・オヴ・ライフ―マイケル・ヴァイナーの追憶に―」、ハイドンの交響曲第104番「ロンドン」、ブラームスの交響曲第2番が演奏される。ソヒエフとN響の強力コンビのこと、スケールの大きな音楽を作り出してくれるにちがいない。 パリ管弦楽団は新音楽監督のダニエル・ハーディングとともに来日する。ブリテン没後40年ということで歌劇《ピーター・グライムズ》より「海の間奏曲」とセレナードの2作品がとりあげられるところに、さっそくハーディング色が出ている。ジョシュア・ベルの独奏によるメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲、ドビュッシーの組曲「ペレアスとメリザンド」も楽しみ。 アメリカ西海岸の雄、マイケル・ティルソン・トーマス指揮サンフランシスコ交響楽団は、ユジャ・ワン独奏によるショパンのピアノ協奏曲第2番と、没後120年のブルックナーの交響曲第7番を演奏する。ブルックナーはやや意外な選択だが、このスーパー・オーケストラならではのゴージャスなサウンドを堪能させてくれることだろう。 なお、他に特別プログラムとして、英国の名門ブラスバンドのブラック・ダイク・バンド(10/29)も公演を行なう。新国立劇場 團伊玖磨《夕鶴》人の性サガを鋭く描く、日本を代表する不朽の名作オペラ文:唯野正彦7/1(金)19:00、7/2(土)14:00、7/3(日)14:00 新国立劇場 オペラパレス問 新国立劇場ボックスオフィス  03-5352-9999http://www.nntt.jac.go.jp/opera2011年公演より 撮影:三枝近志 写真提供:新国立劇場 フォークトによる“白鳥の騎士”で湧いた《ローエングリン》の熱気さめやらぬ新国立劇場2015/16シーズン掉尾を飾る《夕鶴》は、“日本発のオペラ”として海外での上演も珍しくない不朽の名作。こちらは白鳥ならぬ「鶴」が主人公だが、共通するテーマは、誰しもが一度は経験する“過ち”。知ってはならぬことを知ったがために失ってしまう“愛”だ。「鶴女房(鶴の恩返し)」を題材とし木下順二が書いた戯曲『夕鶴』に團伊玖磨が曲をつけた。これまで国内外で800回以上の上演を誇る。なかでも栗山民也の演出による本プロダクションは「コミュニケーションの断絶」という普遍的なテーマに「現代の問題」を重ね合わせた名舞台。このオペラを見終えたとき、美しくも儚い抒情性あふれる音楽が深く心に染み透り、人間にとって何が一番大切なのかを、誰もが自身に問いなおすこととなる。指揮は日本人作曲家の作品に定評ある大友直人。作曲家自身の指揮で歌った澤畑恵美(7/1,7/3)と2011年公演で高い評価を得た腰越満美(7/2)が主人公「つう」役。《沈黙》での迫真の歌と演技で新境地を開いた小原啓楼(7/1,7/3)ほか、盤石の布陣。ダニエル・ハーディング ©Julian Hargreavesマイケル・ティルソン・トーマス ©Art Streiberワレリー・ゲルギエフ©Marco Borggreve

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