eぶらあぼ 2016.7月号
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164CDCDCDCD邦人作品集/渡邊一正&シエナカール・フィルチュの世界/萩原千代マーラー:交響曲第6番「悲劇的」/山田和樹&日本フィルメンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲、べートーヴェン:運命 他/シュトイデ&広響兼田 敏:パッサカリア/藤田玄播:天使ミカエルの嘆き/大栗 裕:大阪俗謡による幻想曲/三善 晃:深層の祭/黛 敏郎(長生 淳編):オール・デウーヴルⅠ・Ⅱ/中橋愛生:科戸の鵲巣/真島俊夫:三つのジャポニスム渡邊一正(指揮)シエナ・ウインド・オーケストラフィルチュ:即興曲変ロ短調・変ト長調、アンダンテop.1-1、夜想曲op.1-2、マズルカ、コラール、言葉のないロマンス、序奏と前奏、ヴェニスの別れ 他萩原千代(ピアノ)マーラー:交響曲第6番「悲劇的」山田和樹(指揮)日本フィルハーモニー交響楽団モーツァルト:《魔笛》序曲メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲べートーヴェン:交響曲第5番「運命」フォルクハルト・シュトイデ(ヴァイオリン/コンサートマスター)広島交響楽団収録:2016.1/23、文京シビックホール(ライヴ)エイベックス・クラシックスAVCL-25892 ¥3000+税コジマ録音ALCD-9161 ¥2800+税収録:2016.3/27Bunkamuraオーチャードホール(ライヴ)オクタヴィア・レコードOVCL-00596(2枚組) ¥3500+税収録:2015.11/10広島文化学園HBGホール(ライヴ)ナミ・レコードWWCC-7814 ¥2500+税シエナ初の邦人作品集。2016年1月定期のプログラムがそのまま収録されている。まずは選曲が魅力的。昭和から平成に至る名作が並び、しかもコンクールの人気曲を中心に、現在の重要なレパートリーが周到に選ばれている。従って終始音楽の密度が濃い。演奏自体は、楽曲の特質に沿ったハイクオリティな“プロの音楽”。余裕十分の響きで安定した表現が成され、緊迫感や情景変化の妙にも事欠かない。この公演は生でも聴いたが、CDではライヴで看過した細部の動きや構成の巧みさに気付かされ、ひいては邦人吹奏楽作品の水準の高さを今一度認識させられる。(柴田克彦)ショパンの弟子であり、リストが絶賛したというカール・フィルチュ。惜しくも14歳で夭逝した。彼の作品を研究するピアニスト萩原千代が一枚のアルバムを作った。この貴重な音源により、フィルチュという天才が当時のロマン的・サロン的なピアノ音楽の所作をいかに敏感かつ知的にとらえていたかがわかる。縦横無尽に鍵盤を駆け巡るパッセージ、内声部の豊かな伴奏型、激しい転調が早熟な才能を伝える。2つの「即興曲」にはそれぞれ、師ショパンのスケルツォ2番や即興曲1番からの明らかな影響も聞こえて面白い。少年の純真さと意欲とが混在する魅惑的な一枚だ。(飯田有抄)山田和樹&日本フィルが2015年より毎年3曲ずつ行っている「マーラー・ツィクルス」の、第2番に続くライヴ録音第2弾。山田自身「会心の出来」と自負する演奏とのことだが、まさにその思いがわかる快演だ。第1、2、4楽章は、覇気漲るキビキビした音楽が展開され、エネルギッシュかつ爽快。一方で第3楽章と第4楽章序奏部はじっくりと丁寧に奏される。特に細部の明確な表出は驚きだし、ソロを含めた日本フィルの充実ぶりも光る。クリアな表現や緻密な構成と、推進力や熱気を共生させた、新時代のマーラーともいうべきこの演奏は、すこぶる魅力的だ。(柴田克彦)広島交響楽団が昨年11月、ウィーン・フィル第1コンサートマスターのシュトイデを迎えて行った演奏会のライヴ録音。2度目の共演となる今回も、ソリストを務めた協奏曲を含め、全て弾き振りによる演奏だが、それが一聴しただけでは信じられないほど、音楽創りは緻密だ。オーケストラはルバートやアーティキュレーションの微妙な変化にも、ヴィヴィッドに対応。そして、透明感ある弦楽器や滋味深い管楽器セクションの音は、ウィーンの色彩を確かに纏ってゆく。名門楽団のコンマスの卓越したリード能力と共に、今の日本における地方楽団の地力の高さも、如実に知らしめる快演だ。(笹田和人)
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