eぶらあぼ 2016.7月号
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160CDSACDCDCDアンプロンプチュ/横山幸雄一柳 慧:交響曲第8番&第9番/下野竜也、ハンヌ・リントゥ&都響俊英たちの瞬とき間 with 佐藤卓史/新倉 瞳ハルモニームジーク~オペラの序曲とアリア/オイロス・アンサンブルシューベルト:4つの即興曲D899・D935横山幸雄(ピアノ)一柳 慧:交響曲第8番「リヴェレーション2011」・第9番「ディアスポラ」下野竜也、ハンヌ・リントゥ(以上指揮)東京都交響楽団シューマン:アダージョとアレグロブラームス:チェロ・ソナタ第1番ラフマニノフ:チェロ・ソナタ新倉 瞳(チェロ)佐藤卓史(ピアノ)モーツァルト:《フィガロの結婚》序曲、《魔笛》より、《後宮からの誘拐》より/ロッシーニ:《セビリアの理髪師》序曲/ウェーバー:アダージョとロンドオイロス・アンサンブル(木管アンサンブル)ソニー・ミュージックダイレクトMECO-1034 ¥3000+税収録:2012.8/28,2015.1/23、サントリーホール(ライヴ)カメラータ・トウキョウCMCD-28327 ¥2800+税収録:2015.12/11、浜離宮朝日ホール(ライヴ)ナミ・レコードWWCC-7811 ¥2500+税マイスター・ミュージックMM-3079 ¥3000+税※リマスタリングによる再リリースシューベルトが晩年に書き上げた即興曲全曲を、横山幸雄が持ち前の澄み切った端正な音で奏でる。D899は、1曲目から気持ちよく鳴らされる気品ある和音で惹きつけ、湧き出すままに書き留められたかのように刻一刻と変化する心情を、どこまでも自然に表現する。D935の4曲では、なめらかなレガートによる繊細な歌と力強い和音を完璧なバランスで絡み合わせ、シューベルトが音楽に施した細やかな装飾も一つひとつ丁寧に聴かせてくれる。感情を抑えながら歌うような場面でも、どこか華やかさが感じられるのは、横山ならではの音によるのだろう。未体験の美しいシューベルトの世界が広がる。(高坂はる香)第8番が録音からリリースまで4年間かかったのはカップリング曲検討のためだったのだろうか。第9番を合わせたのは結果として最適である。両曲は姉妹作的な趣があるからだ。第8での『リヴェレーション』は黙示録を、『2011』はあの震災と原発事故を表す。第9の『ディアスポラ』は、原義としてはユダヤ人の祖国喪失及び離散を指すが、一柳は第二次世界大戦での記憶 ――破局と離散―― を念頭においている。震災。黙示録的な福島原発事故。戦争。原発からの広島への「言及」など…。作曲者はこれらを単純化させずに音楽的イデーの中に多層的に結実させており、改めて一柳の手腕に瞠目する。(藤原 聡)バーゼル音楽院で超絶技巧を誇る名手トーマス・デメンガに師事して早熟の才能にさらに磨きをかけ、カメラータ・チューリッヒのソロ首席チェリストとしての活躍もめざましい新倉瞳、そして内外から厚い信頼を寄せられるピアニスト佐藤卓史。まさに次世代を担う俊英の共演が実現した。シューマンが充実の時期に書き上げた「アダージョとアレグロ」の歌心、ブラームスが長い年月をかけ丹念に完成させた「チェロ・ソナタ第1番」の仄暗い情熱をロマンティックに紡ぎ出し、ラフマニノフ「チェロ・ソナタ」では劇的なクライマックスに向けてのスリリングな掛け合いが圧巻だ。(東端哲也)「ハルモニームジーク」とは木管楽器を主に、ホルンやコントラバスを加えた室内アンサンブルによる演奏スタイルで、18世紀後半に流行。その基本レパートリーのひとつは、オペラの編曲だった。本CDは、日本の第一線で活躍中の、オーボエの広田智之や古部賢一ら、錚々たる9人の名手によるアンサンブルが、モーツァルトやロッシーニの有名作品の編曲を中心に取り上げた名盤のリマスター盤。オペラの幕開けの期待感は、少し前のめり気味の勢いある表現で。旋律と伴奏を往き来する場合は、巧みに表現を変えて。あるいは、原曲ならば弦のピツィカートで表現される部分は、跳ね気味に。その愉悦を、いかんなく表現してゆく。(笹田和人)
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