eぶらあぼ 2016.6月号
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78韓国 光クァンジュ州市立交響楽団 創立40周年記念 日本公演ロシア音楽と自国作品の熱演に期待文:飯尾洋一郡 愛子 40周年記念リサイタルⅡ 柔和な響き~メゾソプラノの魅力41年目の新たな第一歩文:宮本 明6/30(木)19:00 東京芸術劇場 コンサートホール問 日本オーケストラ連盟03-5610-7275 http://www.orchestra.or.jp6/18(土)14:00 Hakuju Hall問 グローバルアーツ03-5981-9175 http://www.koriaiko.com 今年創立40周年を迎える韓国の光州市立交響楽団がこの6月に日本公演を開催する。光州といえば1980年の光州事件をまっさきに思い起こす方も少なくないだろう。韓国の民主化運動に大きな役割を果たした光州は、現代芸術の祭典「光州ビエンナーレ」など芸術文化の都市としても知られている。光州市立交響楽団は76年に市民主導によって設立され、以来、290回の定期演奏会をはじめ500回を超える演奏会を開催してきた。2010年には光州民主化運動30周年としてマーラーの交響曲第2番「復活」を演奏したほか、文化庁芸術祭主催の「アジア オーケストラ ウィーク」に招かれて初来日し、マーラーの交響曲第1番「巨人」他で熱演を聴かせてくれた。 今回の来日公演のプログラムは、チェ・ソンファンの「アリラン幻想曲」、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番、 メゾソプラノ郡愛子のキャリアのスタートは1975年日本オペラ協会公演の三木稔のオペラ《春琴抄》(初演)。昨年11月には東京芸術劇場コンサートホールで、その《春琴抄》を含む邦人オペラのアリアや歌曲、童謡、流行歌など日本のうたづくしの記念リサイタルでファンとともにデビュー40周年を祝った。 しかしそれだけで終わらないのが日本のオペラ界屈指のエンターテイナーである彼女らしいところ。歌いたいうた、見せたい自分がたくさんあるのだ。「あれもこれもと考えていたら1回で収まらなくなってしまった」という結果、記念リサイタルは半年おきの全3回に発展した。 その第2弾『柔和な響き~メゾソプラノの魅力』は、前回とは対照的に西洋の楽曲が並ぶプログラム。「祈り」「願い」「心のふるさと」をテーマに、オペラ・アリア、バッハの宗教曲、歌曲と、どれも40年の間に心血を注いで取チャイコフスキーの交響曲第4番。「お国もの」とロシア音楽の組合せで、大いに舞台をわかせてくれることだろう。 指揮は日韓両国で多彩な活躍をくりひろげるベテランの金洪才。現在、韓国のウルサン・フィル音楽監督を務める。ラフマニノフのピアノ協奏曲第り組んできたレパートリーを歌う。共演はピアノの藤原藍子。祖父は藤原歌劇団創立者である「われらのテナー」藤原義江だ。彼は郡のデビュー数ヵ月後に亡くなっているが、ずっと藤原歌劇団をホームにオペラ活動を重ねてきた郡にとってはやはり大きな存在。往年の録音から学ぶことも今なおたくさんあるという。その遺伝子を受け継ぐピアニストとの共演は、40年間を振り返る総集編であるのはもちろん、41年目の新たな第一歩だ。なお、40周年リサイタル第3弾は今年11月に予定されている。2番では、1995年生まれの気鋭ムン・ジヨンが独奏を務める。現在、韓国芸術総合学校に在籍中のムン・ジヨンは、2014年にジュネーブ国際コンクール第1位、15年にブゾーニ国際ピアノコンクール第1位を獲得している。新星の登場に胸が躍る。ムン・ジヨン光州市立交響楽団金 洪才

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